声優道

超ベテラン声優からあなたへ、声優になるための極意を伝授します。


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三石琴乃の声優道

『美少女戦士セーラームーン』の月野うさぎ&セーラームーンや『新世紀エヴァンゲリオン』の葛城ミサトなどのヒロイン役から、『ドラえもん』の野比玉子といった大人の女性まで、幅広い演技でファンを魅了してきた三石琴乃さん。その「声優への道」とは・・・・・・。

プロフィール

★三石琴乃 みついしことの…12月8日生まれ。東京都出身。フリー。主な出演作はTVアニメ『美少女戦士セーラームーン』(月野うさぎ/セーラームーン)、『新世紀エヴァンゲリオン』(葛城ミサト)、『おるちゅばんエビちゅ』(エビちゅ)、『ワンピース』(ボア・ハンコック)、ナレーション『ウチくる!?』ほか。

マイクでしゃべることが好きで声優を目指した!

当時は本当に、ひと言しゃべるだけでも大変……

声優を目指す前は、保育士さんになりたいとずっと思っていました。でも高校生のとき、少子化の影響もあって資格を取ってもどうやら就職は難しいらしいと聞いたんです。そこで興味をもったのが声優という仕事。当時よく聴いていたラジオドラマがきっかけでした。小学5年生から放送委員会に入っていたのですが、そんなことも“マイクでしゃべる”仕事への興味につながったんだと思います。その興味に後押しされて高校卒業後に勝田声優学院に入ったのが、声優への道の第一歩でした。

養成所時代は、運よくスタジオ見学などに行く機会もあり、割と早くから生の現場を感じることができました。そこでちょっとしたお仕事をもらったりもしたのですが、当時は本当に、ひと言しゃべるだけでも大変……。引っ込み思案な性格でしたからね。仲間たちとお酒を飲んでいても自分から口を開くのはとても苦手で、いつもあいづちばかり。でもそんな壁も仕事を通して乗り越えてきたように思います。
初めてオーディションを受けて仕事が決まったときは、もう天にものぼるような気持ちでした。企業用PRビデオの仕事でしたが、今とは違って完全アナログな時代だったので、ひとつNGを出してしまうと、周囲にかけてしまう迷惑がはんぱじゃないんです。

三石琴乃

誠実に演じる、この気持ちが大事

よく“アニメ声優”という言われ方をしますが、それはごく狭いエリアの話。私たちはもっと広くて興味深くて生々しい世界で仕事をしています。一般的には “アニメ声優”と言ったほうが理解されやすいので、それはそれでいいとは思いますが、演じる側の意識がそれでは長く続かないでしょう。
『美少女戦士セーラームーン』以降、どこに行っても「セーラームーンの・・・・・・」と言われ、役にぶら下がっている状態が気持ち悪く、ジレンマに感じていた時期もありました。

今となっては何と呼ばれようがまったく平気で、キャラクターたちは私の宝物になっていますが、当時はわけも分からずもがいていました。そんななかで「とにかく与えられた役を誠実に演じよう」という気持ちに支えられたような気がします。その気持ちは、役者を志してからずっと私の幹になっている部分でもあるんです。今後も、この幹に栄養をあげて太く大きく育てながら、何でもやってみようと思っています。
実際、養成所の仲間と創立した「劇団あかぺら倶楽部」で舞台活動をしていましたが、長い稽古期間に自分を試したりチャレンジしたりすることで、瞬発力勝負のアフレコ現場でも楽しむゆとりが出て、気持ちも充実していくものだと感じています。あの舞台活動がなければ、今の私はないと思いますよ。

アニメーションの難しさといえば『新世紀エヴァンゲリオン』の葛城ミサト役は思わぬところで苦労しました。約11年前に本放送が終わって映画も終わり、その後しばらくゲームやパチンコなどでミサトを演じる機会がたびたびあったのですが、これは相手役のいないひとりでの収録。スイッチをふたつくらい切らないと演技できないんです。そんな中でミサトというキャラクターがどこかでひとり歩きしてしまった部分があって、2007年9月に10年ぶりに映画になったとき、その垢を落とすのがとても大変でした。シリーズ開始当初はミサトより私のほうが年下だったのに、今ではすっかり年上になってしまった・・・・・・。そういったことも、難しさのひとつだったと思います。

自分から動くこと…これがいちばんの近道

最近ではアニメの他にもゲーム、パチンコなど、声優の活躍の場も広がってきているようにも見えますが、だからと言って、プロの声優として生き残っていくチャンスが増えているということではありません。デビューしたはいいものの、いつの間にかすっかり見なくなってしまった人もたくさんいます。私の実感としては、やはり強いのは個性的な人だということ。周囲で活躍している声優さんたちもとても個性豊かな方たちばかりで、一緒にお仕事するたびに「なんて私はふつうなんだろう」とヘコむことも多いです。

 ですから、声優になりたいからといって、ただ学校でセリフを映像に合わせる勉強をするのではなく、できるだけだくさんの経験をして人とふれあい、演技の深みや幅を広げていく努力もしてほしいなと感じています。でもそれがいちばん困ってしまうんですよね。私も養成所時代、講師に同じことを言われたけど、いったい何をどうすればいいのかさっぱり分かりませんでした。 たとえば、趣味をとことん極めるとか、映画や芝居を観たり、スポーツしたりするのもよし。アルバイトも面白い、地域のボランティアに参加するのも素晴らしい。旅行だっていいし、本当に何でもあり。一見むだに見えるようなことでも、何があなたを感動させてくれるかなんて誰にも分かりませんよね。つらくて悲しいマイナスな体験だって、役者を目指すなら逆に心を研ぎすませてくれる。図らずともあなたの武器になっていくでしょう。常に心を乾いたスポンジにしておいて、何でも吸収してほしいです。何を経験し、何を実感し、どんな感動をしたのか。それは将来間違いなくあなたにしかない個性になると思います。

 今は私たちの時代とは違って声優の養成所や専門学校もたくさんあり、一見、声優への道が広く開かれているように見えるかもしれません。ですが、必ずしもそういうわけではないのだということは、頭に入れておいてほしいなと思っています。これから自分の選んだ道に向かって一歩を踏み出そうと声優学校を探しているのならば、広告からの情報に頼らず、実際に足を運んで自分の目で確かめてみるべきだと思います。学校見学や体験授業を重ねれば、自分に合った場所が絶対に見つかるはずです。すてきな恩師や先輩、仲間たちと出会えるかは自分しだいなのだから、面倒くさがったり横着してしまったりしては絶対にダメ。そういう姿勢は、きっと演技にも表れてしまうものです。 一にも二にも、自分から動いてみること。とにかくこれがとても大事です 。

好きな気持ちは、夢をかなえる力

もしかしたら、声優になりたいと思いながらも「自分には向いていないんじゃないか」と不安になっている人もいるかもしれません。ですが、「やってみたい」と思った時点で、もう向いているのだと私は思います。もちろん、それは長く続く階段の第一歩なのだと思いますが、とにかく最初の一段を上がらないことには続いていかないわけですから、とても大事な一歩です。 その一歩を踏み出したうえで、学校に行くお金もないし、時間もないし・・・・・・と悩んでいるのならば、まず今日からできることを始めてみるといいと思います。

オススメしたいのは、新聞の音読。新聞などで学べる一般常識はとても重要なスキルですし、つっかえずに一発で読めるような学力も、必要不可欠な力です。 自分が今こうして夢をめざして進んでいけるのだという家族や周囲への感謝の気持ちをもって、今できる努力を自分から進んでしていくことが、声優だけにかぎらず、夢をかなえるための大きな力になるはずです。

先輩から学ぼう!

声優相談室、柴田がカツ
最強声優データベース、声優名鑑

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