声優道

超ベテラン声優からあなたへ、声優になるための極意を伝授します。


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池田昌子の声優道

洋画の吹き替えが始まったばかりの時期から、つねに第一線に立って活躍されてきた池田昌子さん。オードリー・ヘプバーンは池田さんの声でしか想像できないという人も多いはず。そんな池田さんが歩んできた声優道、そして現在活躍する声優さんや声優を目指す人へのメッセージを、3回に分けてお送りします。

プロフィール

池田昌子 いけだまさこ……1月1日生まれ。俳協所属。主な出演作はアニメ『銀河鉄道999』(メーテル)、『エースをねらえ!』(お蝶夫人)、『火の鳥』(火の鳥)、『こんにちは! アン』(ナレーション)、『刀語』(語り)、洋画『ローマの休日『マイフェアレディ』などオードリー・ヘプバーンの吹き替え、『愛と哀しみの果て』などメリル・ストリープの吹き替えなど多数。

①スクリーンの中の美しい女優さんに声を当てられるのが幸せだった

1本のアフレコで舞台を作り上げたような充実感

池田昌子

 私はすごく引っ込み思案で、口をきくのも恥ずかしがるような子だったんです。それで母や小学校の先生が大変心配しまして、団体の中で過ごすようになれば多少は改善されるかもしれないということで、児童合唱団に入ることになったんです。その児童合唱団がミュージカルなどのお芝居をやるようになって、そのうちに児童劇団に変わったんですね。そこで何年か児童劇をやっていたんですが、性に合っていたというか、面白かったんです。生のままの自分を人前に出すのは苦手ですけど、役を演じているときには不思議と怖くも恥ずかしくもなく、いろいろな感情を表に出せるんですよ。気がついたときには演じることが好きで、やめられなくなっていたという感じですね。でも、性分というのはなかなか直らないもので、未だにこうやって人前でお話したりするのは苦手です(笑)。

 そのうちに舞台やテレビドラマで、顔出しのお仕事をするようになったんです。そのころはまだ洋画の吹き替えが始まったばかりのころで、声優という言葉すらありませんでした。私はラジオドラマのお仕事も多かったんですけど、声だけで役を演じるというのが面白いなと思っていたんです。ラジオドラマって聴いてくださる人の想像の世界ですから、顔出しでは絶対に演じられない役でも演じることができる、無限の可能性がありますよね。それで、声だけの演技というのがどんどん好きになっていったんです。

 洋画の吹き替えも同じですね。スクリーンの中で演じているのは、私なんかよりもはるかに美しくて演技も上手な女優さんなのに、そこに私が声を当てられるんですから、とても魅力的なお仕事に感じました。当時は台本も直訳に近いような形で書かれていたものですから、吹き替えのときには役者やスタッフのみなさんがみんなして「なんとか生きた日本語にできるように」と工夫して演じていたんです。そうやってみんなが力を合わせて作っていくので、スタジオの中も活気にあふれていたし、終わったときには舞台をひとつ作り上げたような充実感がありました。その雰囲気が大好きで、声の演技の世界にどんどんはまりこんでいったんです。

プロデューサーから「声優は裏街道」といわれて反発

池田昌子

あるとき、有名なプロデューサーの方に呼ばれて、「アテレコなんてしょせんは裏街道だ。女優たるもの、表街道を歩かなくてはだめだ」といわれたんです。私は声のお仕事がとても好きでしたから、とても口惜しかったのです。そのころ、顔出しのお仕事も転換期を迎えていまして、アイドルの方とか、有名な映画俳優さんとかがテレビの世界に入ってきて、私たちのような名もない小さな劇団にいるような役者には、役が回ってこなくなっていたんです。そういうこともあって、「裏街道で結構。だったら、裏街道なんていわれないように頑張ろう」。不遜にも、そんな風に思って、そして生意気なことに、それからは顔出しのお仕事は一切辞めまして、アテレコのほうに力を入れていったんです。今から考えるとそのプロデューサーの方も私のことを心配しておっしゃったのだと思います。声の仕事を専門にするきっかけを私に与えてくださったのですから、大変感謝しております。あの「裏街道」という言葉がなかったら、中途半端な役者になっていたかもしれません。

 私は不器用なので、声を作って役を演じ分けることはできません。ですから、役の心を大事にすることで、それが自然にその役の声になって出てくるのがベストだと、大事なのは心だと思っているのですが…。

今は事前にビデオをいただいて、何回も見直して演じる役をつかむことができますが、昔は前日リハーサル室に集まって1回通して見せていただいただけで翌日に本番ということが多かったので大変でした。そのときの集中力は、すごいものがあったと思います。しかも、今は本番で失敗したらそのシーンだけ録り直すこともできますが、当時はロールの最後でトチったら、ロールの最初から録り直しだったんですよ。自分の一言でみなさんに迷惑がかかるのですから、収録のときもものすごい緊張感がありましたね。そう考えると、今はとても楽になったと思います。録音の時の諸々の条件が良くなって、よけいなプレッシャーを感じずに演技に集中できるようになったんですから、とてもありがたいことです。

先輩から学ぼう!

声優相談室、柴田がカツ
最強声優データベース、声優名鑑

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