声優道

超ベテラン声優からあなたへ、声優になるための極意を伝授します。


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平野文の声優道

ラジオDJとして活躍していた時期に、『うる星やつら』のラム役で声優デビュー。現在では声優のかたわら、エッセイ、小説家と多岐にわたる活動を繰り広げ、プライペートでは築地魚河岸の嫁としての顔をもつ平野文さん。その原動力は一体どこにあるのか、そして平野さんにとっての声優道とは……?

プロフィール

平野文 ひらのふみ……4月23日生まれ。青二プロダクション所属。主な出演作は、『うる星やつら』(ラム)、『恋子の毎日』(恋子)、『アニメ三銃士』(ミレディ)、『ノンタンといっしょ』(ナレーション)、『つり球』(ケイト)、『平成教育委員会』(ナレーション)ほか。エッセイストとして『築地市場のさかなかな?』『お見合い相手は魚河岸のプリンス』『築地魚河岸嫁ヨメ日記』など著作多数。。

ツイキャスDJ~ fumi fumi station ~

①声優という仕事の、コンマ1秒を操るテクニックに惹かれた

 人から言われて始めたことが、面白くてしかたがなくなった

 平野文

 声優には子役からこの世界に入ったという人が多いんですが、私もそのひとりです。ずっと児童劇団で芝居をやっていたんですが、17歳のときにディスクジョッキーのオーディションを受けて、ラジオに出演することになりました。

そのころ、FENで放送されていたウルフマン・ジャックのDJを聴いて、私もこんなリズミカルに歌うようにしゃべってみたい、それを英語ではなくて日本語でやってみたいと思っていたので、ちょうど渡りに舟といった感じでしたね。そうしたらお芝居よりDJのほうが楽しくなってしまって、それからしばらくはラジオ一辺倒になりました。DJのどこがそんなに楽しかったのかというと、決められた時間内に自分の言葉でなにかを伝えること。その方が、台本に書かれたセリフで演じるよりも、自由度が高くて面白いと感じたんです。そして、ラジオのDJをやるからには深夜放送をやってみたいと思い、大学卒業をきっかけに文化放送の『走れ!歌謡曲』のパーソナリティを3年間担当させていただきました。
そもそも私が児童劇団に入ったきっかけは、従姉妹が習っていたバレエを見たから。それで私もバレエを習い始めたんですが、その先生がバレエだけでなくミュージカルにも出させてくださり、そのうち子供番組にも出演させてもらうようになって…、そこで「児童劇団で芝居の勉強をやったほうがいいよ」といわれて児童劇団に入ったんです。DJも最初は「オーディションを受けてみる?」といわれただけだったのに、やってみたらすごく面白くて夢中になっちゃった。どんなことでも、自分が実際に体験してみないと面白さは分かりませんね。

 

自分が表に出ることよりも、裏方としての作業が好き

 

 

平野文

 声優の仕事を始めたのも、ラジオを聴いてくださっていたリスナーさんの一言がきっかけなんです。番組に寄せられた受験生のリクエストハガキに、よく「『○○ちゃん頑張って』といってください」みたいなことが書かれていたんですが、それがだんだんと「応援団風に『頑張って』といってください」「看護婦さんのように励ましてください」みたいにエスカレートしていっちゃった(笑)。リクエストされればそれなら…と思って、そういう感じで読んじゃうでしょ(笑)。そうしたら「文さん、アニメの声をやってみたらどうですか?」というハガキをいただいたんです。そういわれて初めて声優の仕事について考えてみたんですが、ふと気がついたんです。DJが曲紹介するときって、イントロが15秒あったら14.5秒まで紹介して、言葉が切れて、残りの0.5秒でリスナーがふっと一息ついたところで歌が始まる、というのが耳心地の良い曲紹介のベスト形なんです。

アニメで絵に合わせて声を当てるというのも、DJの曲紹介と同じくコンマ1秒を操る技術なのではないか。そう考えて、私にもできるかもしれない、やってみたいと思うようになりました。声だけでいろいろな役になれるというお芝居の面ではなく、テクニック的な部分に惹かれたんです。
それで初めて受けたオーディションが『うる星やつら』のラムちゃんでした。児童劇団で芝居のレッスンを受けていたとはいえ、通行人Aとか少女Bなどといった脇役を演じることなく、いきなりメインキャラクターで出演することになってしまいました。でも、本当に楽しかった! ほかの人のセリフのときにはひっそりと息を潜めていて、ラムちゃんの口が開くと同時にしゃべり出す。アニメの収録スタジオには多くても4~5本しかマイクがないので、出演者はマイクごとに、数人が入れ替わり立ち替わりセリフをいうんです。自分のセリフの直前にマイク前に入って、セリフをいいおわったら即座にどく。それも音を立てずに。そんな作業もスポーツ感覚で楽しんでいました。
考えてみたら、児童劇団で芝居をしているときから、自分が作中人物に成り代わって演じるということにはあまり興味がなかったんです。変身願望もなかったし、自分がどんどん前に出てスポットライトを浴びたいという欲もありませんでした。だから演技をすることよりも、コンマ1秒以下の反応が要求されるような、職人的なテクニックを駆使する裏方作業のほうに惹かれるんです。もちろん、芝居の基礎は児童劇団で学んでいましたし、ずっとラジオDJやナレーションなどの仕事のおかげで、マイクの使いかたなど技術的なこともある程度体得していたからこそ、職人技みたいな感覚を純粋に楽しめたのかもしれません。
アニメで演じた役のなかで忘れられないのは、『アニメ三銃士』のミレディ役です。『うる星やつら』の音響監督をされていた斯波重治(しば・しげはる)さんが、新たに『アニメ三銃士』を手がけることになったときに、「この役をやりませんか?」とオーディションもなしにオファーをくださったのです。ミレディは妖艶で色っぽくて意地悪で、ラムちゃんとは対極のタイプ。最初は「できません」とお断りしたんですが、斯波さんは「大丈夫。できます」とおっしゃったんです。『うる星やつら』でずっとお世話になっていたこともあり、「じゃあ、ついていきます!」と斯波さんの言葉を信じて演じさせていただくことにしました。ラムちゃんのときは、イメージとして声帯をちょっと上に向ける感じで声を出していたんですが、ミレディはキャラクターの絵を見た印象から、逆に声帯をちょっと下に向けるイメージで演じました。ミレディ役のおかげで、それまで自分のなかにはないだろうと思っていたもの、いうなれば自分のなかでずっと眠っていた原石のようなものを、斯波さんに引き出していただいた気がします。

先輩から学ぼう!

声優相談室、柴田がカツ
最強声優データベース、声優名鑑

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