声優道

超ベテラン声優からあなたへ、声優になるための極意を伝授します。


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山口勝平の声優道

どうしたら役者になれるのか、右も左も分からないまま福岡から上京した山口さん。今では声優として数々の人気アニメや洋画吹き替えで活躍するかたわら、舞台俳優としても高い評価を得るまでになりました。その道のりには一体どんなことがあったのか、そしてどんな思いでここまでたどりついたのか。役者という仕事は続けていくほど大変になる、という山口さんが、その根底にある思いを語ってくれました。

プロフィール

山口勝平 やまぐちかっぺい……5月23日生まれ。悟空所属。主な出演作は『らんま1/2』(早乙女乱馬)、『犬夜叉』(犬夜叉)、『名探偵コナン』(工藤新一/怪盗キッド)、『ONE PIECE』(ウソップ)、『アイシールド21』(雷門太郎)、『DEATH NOTE』(L)、『Dororonえん魔くんメ~ラめら』(えん魔)、『ペルソナ4』(クマ)ほか。劇団21世紀FOXの劇団員として数々の舞台にも出演している。

悟空 オフィシャルプロフィール

②共演者との絡みがあってこそ演じ分けられる

高橋留美子作品を通して自分の成長が見られた

 

平野文

 役者としての大きな分岐点になったのは、やはり『らんま1/2』ですね。あの作品との出会いがなければ、声優としての僕は存在しなかったと思います。アニメの録音監督をしていた斯波重治さんが、たまたま僕が出演していた舞台を見て、声をかけてくださったんです。最初に受かったのは『魔女の宅急便』のオーディションでした。でも、『魔女宅』はオーディションから収録までが半年くらい開いていたので、その間に『らんま1/2』のオーディションに受かって収録が始まりました。『らんま1/2』は途中にちょっとお休み期間を置いて3年半くらい続いたんですが、第1話と最終話ではずいぶん演技が変わっちゃっていますね。最初はまだ声優としての声もできあがっていなくて、ただ喜怒哀楽だけを素直に表現しようとしていたような気がします。

自分が声優に向いているかどうかも分からず、とにかくもっているものをすべてぶつけるだけだったんですが、それが少しずつ経験として積み重なって、声優としての自分ができあがっていきました。だから『らんま1/2』を見ていると、僕の歴史というか、そのときどんなことを考えてなにをしてたいたのかが全部分かるんですよ。成長記録みたいなものですね。
原作の高橋留美子先生に初めてお会いしたのは、『らんま1/2』の放映が終了した後の打ち上げパーティーでした。そのとき初めてご挨拶したら、「乱馬らしい乱馬くんをありがとう」とおっしゃってくださったんです。なによりも印象に残ったのは、留美子先生が上げた好きな乱馬のセリフが「それは俺のタクアンだ」たったことですね。ほかにもたくさんかっこいい決めゼリフがあるにも関わらず、乱馬と親父が食事のことでケンカしているシーンを見て、「あ、乱馬がしゃべってる」と感じてくれたそうなんです。声優冥利に尽きる褒め言葉だと思いました。

その後、同じ高橋留美子先生原作の『犬夜叉』でも主人公を演じさせていただくことになるんですけど、僕自身すでに『らんま1/2』で主人公を演じているので、犬夜叉役はないだろうと思っていたんです。それでも『犬夜叉』は連載がスタートしたときから読んでいましたし、留美子先生ならではのコミカルさやホラーテイストを全部盛り込んだような作品世界が大好きだったので、オーディションを受けられるだけで幸せでした。留美子先生が、犬夜叉候補のひとりとして僕の名前を挙げてくださったみたいなんですが、制作サイドの考えもあって、自分の名前をいわずにセリフだけを読むという形でのオーディションになったんです。その結果、先生が犬夜叉の声だと選んでいただけたというのがすごくうれしかったですね。

役者って、自分の成長を測る尺度がないんです。数学ならば難しい数式が解けるようになったとか、ダンスならば新しいステップができるようになったとか、それなりに上達の度合いが実感できるときもあるんでしょうけれど、芝居って自分が成長しているのか横ばいなのかそれとも落ちているのか、まったく分からない状態で続けていかなくちゃならないものなんです。でも僕は、高橋留美子先生という作家の作品に、声優としてのスタート時点から出演させていただけて、さらに10年以上経ってからまた演じる機会がある。『らんま1/2』と『犬夜叉』が、成長を測る物差しになっている部分があるという意味でも、貴重な体験をさせていただいたなと思っています。

 

ルーティンワークでも新鮮な気持ちを保ち続けたい

 

 

山口勝平

 長く演じている役といえば『ONE PIECE』のウソップがありますが、何が困るってツッコミが多いんですよ。毎回毎回新鮮な演技というわけにはいかないし、定着させるためにある程度ルーティンワークにしなくちゃいけない部分もあるんですが、ツッコミのパターンがすでに出尽くしちゃってるんです。新しい演技が出てこないなんて、それこそ自分の感性が衰えちゃったんじゃないかと心配になるんですが、よく考えたら10年以上ツッコミをやっていればそりゃあパターンも出尽くしますよ(笑)。そういう開き直りから新しいパターンが生まれることもあるんですが、例えルーティンワークであっても自分の中でマンネリ化しないように新鮮な気分を保ち続けていかなければならないのが大変といえば大変ですね。 
『ONE PIECE』の現場は本当に一緒に過ごしている時間も長いし、ルフィ役の田中真弓さんをはじめ、結構やんちゃな方も多いので、何があっても大概のことでは驚かなくなりました(笑)。

ただ、全員が恐ろしくプロフェッショナルなので、ただの馴れ合いで仲良さそうに見える現場じゃないんです。こと芝居についてはそれぞれが絶対に譲れないものをもっているので、常にしのぎの削り合いですね。先ほどのツッコミのことも含め、すでに自分のもっているものをすべてさらけ出していかないと対応できないほどの作品になっているので、演じていてすごく楽しいんです。役者もベテランになればなるほど勢いだけの芝居ができなくなるんですが、『ONE PIECE』をやっていると最終的には芝居なんて勢いと熱なんだなと原点に立ち返ることも多いんです。

まだ物語としては半分くらいまでしか進んでいないらしいんですが、この後10年続いたらどうなるんでしょうね(笑)。僕らもどんどん歳をとっていきますし、楽しみでもあり、怖くもあります。でも登場人物の中でもウソップはかなり自由度の高いキャラクターですし、声のトーンも上から下まで全部使いますし、ギャグからシリアスまで全部突っ込めるんです。どんな役でも僕が演じるからには、多かれ少なかれ僕に似てる部分が出てきてしまうものですが、ウソップは自由度が高いだけに僕自身に一番似ているのかもしれませんね。

ただ、今までにいろいろな役を演じてきましたが、わりと出たとこ勝負で演じているので、役作りのコツっていうものが思いつかないんですよ。ですから、イベントなどで絵がない状態で演じるときなど、自分でやっておきながら「似てないな」と思うことさえあります(笑)。多分、そのキャラクターの絵を見て、そのキャラクターのセリフが書かれた台本を見ると、意識しなくても切り替えられるんですけどね。僕はそんなに器用なタイプでもないし、声の種類も使い分けられるほどたくさんあるわけじゃありません。だからこそ、無意識のうちに頑張って演じ分けようとしているのかもしれませんけれど、周囲の役者さんとのセリフのやりとりがあってこそ演じ分けられているというのも大きいと思います。

先輩から学ぼう!

声優相談室、柴田がカツ
最強声優データベース、声優名鑑

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