声優道

超ベテラン声優からあなたへ、声優になるための極意を伝授します。


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平松広和の声優道

2009年に新しいプロダクション「ガジェットリンク」を立ち上げた平松広和さん。ご自身がアニメや舞台で活躍するかたわら、俳協ボイスアクターズスタジオやワークショップを通して後進の指導に力を入れてきた平松さんの“声優道”をお送りします。

プロフィール

平松広和 ひらまつひろかず……2月29日生まれ。ガジェットリンク主宰。主な出演作はアニメ『重戦機エルガイム』(ダバ・マイロード)、『あした天気になあれ』(久米一郎)、『らき☆すた』(泉そうじろう)、『喰霊―零―』(マイケル小原)、『黒神 The Animation』(北条慎吾)、『涼宮ハルヒの憂鬱』(大森栄二郎)ほか。

僕は名優ではない、それが一番の財産です

サマになって見えちゃう舞台の裏側で、いつもテンパっていました

平松

正直にいうと、僕が声優になったきっかけはかなり不純なんです。僕は愛知出身で、とりあえず一度は東京に出たかったんですが、そのためには親を納得させなきゃならない。それで、僕が小さい頃からアニメが好きだったのは親も知ってたんで、「東京に行ってアニメをやりたい」っていったんです。かなりざっくりした理由ですよね(笑)。アニメ関係の職業もいろいろありますが、その中でも声優は身ひとつでできるから、養成所の教材費が一番安く済むんですよ。それで新聞に広告が出ていた東京アナウンス学院に入学しました。1年間勉強して卒業も間近になったとき、友達に誘われるままに俳協養成所の卒業公演を観に行ったら、それがすごく面白かったんです。そこでもう翌年から俳協養成所に通うことを決めてましたね。

 

僕は名優じゃない、だから悩んでいる人の気持ちが分かるんです

平松僕の一番の財産は、名優ではないことだと思っています。才能がある人は自分が努力しなくてもできてしまうから、できなくて悩んでいる人とは演技に対する取り組みかたにどうしてもズレが出てきてしまうんですよ。僕は下手なりに試行錯誤して努力してきたから、壁に突き当たったときのつらさも、その乗り越えかたも知っています。それを早く教えることで、今、演技を学んでいる人がもっと早く先に行けるんじゃないかと思うんです。

今はナレーションを中心に教えていますが、僕が上手なお手本を示すことができないというのもポイントなんじゃないでしょうか。だって、上手い人のお手本を聞いたら、下手な人はそれだけでメゲちゃうでしょう(笑)。というのは冗談としても、ナレーションはただ文章を正確に読めばいいというものではなく、その文章を一度自分の中に取り込んで、自分の言葉として表に出さなければ、聞いている人に何も伝わらないんです。だから同じ文章を読んでも、人によって個性が出てくる。うまく聞こえる読みかたのテクニックを教えるのではなくて、どうしたらその人だけの読みかたができるのかを教えなくちゃならないんです。僕のナレーションは僕だけのものだから、マネされても困るし、それじゃダメなんです。逆にいうと、どんなナレーションでも自分の言葉として他人に伝えられるようになれば、アニメのキャラクターを演じるのも簡単にできるんじゃないかと思うんです。

 僕は『愛の戦士レインボーマン』の高校生役でデビューして、2作目の『重戦機エルガイム』で主役のダバ・マイロードを演じさせていただきました。もう20年以上昔の作品ですが、未だに「好きです」といってくださったり、作品について熱く語ってくださる方がいらっしゃるんです。
そういう意味では声優ってすごく夢のある、役を通して自分の思いを伝えていける仕事だと思います。でもそこに至るまでにはいろいろとつらい思いもしなくちゃならないし、ときには不条理な思いをすることもあるでしょう。それを乗り越えるための強い意志、「声優になりたい、一生の仕事にしたい」という強い思いがないと、生き残っていくのは難しいかもしれません。だから、楽しく生きていくためには好きなことを仕事にせずに、趣味の範囲に止めておくのが一番いいのかもしれませんね。それでも声優になりたいという人を、僕が少しでもお手伝いできればと思っています。

常に全員が稼動しているプロダクションが僕の目標です

『重戦機エルガイム』のときから始まって、今でも『らき☆すた』などでイベントに出させていただくことがありますが、じつはイベントってすごく苦手なんです。舞台を中心に活動をしているのに変じゃないかと思うかもしれませんが、舞台に上がるときには役を演じているのだから、どんなおかしな格好でも平気なんです。でも、イベントって板に乗るのは自分自身じゃないですか。僕は演じることが楽しいから舞台をやっているのであって、自分を見せたいわけじゃないんです。ひとつの舞台を作り上げるためには、何回も稽古するだけじゃなくて、もっと前からさまざまな下準備が必要になります。そんな面倒な作業も、楽しい舞台のための下地作りだと思うと、楽しくやっていけるんです。そう考えると、僕は舞台がすごく好きなんでしょうね。

アニメのお仕事もときどきさせていただきますが、あっという間に終わっちゃって不完全燃焼になることも多いんですよ(笑)。昨年、ガジェットリンクという会社を立ち上げて、4月からは附属声優養成所もスタートしますが、無数の声優を抱える巨大プロダクションにしたいというような野望はもってないんです。小さくても常に全員が稼働しているプロダクションにしていきたい、それが目標です。附属養成所は僕が直接指導するんですが、レッスンを通して、演じること、表現することの楽しさを解ってくれて、一生の仕事にしたいと思ってくれたらいいですね。

先輩から学ぼう!

声優相談室、柴田がカツ
最強声優データベース、声優名鑑

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