声優道

超ベテラン声優からあなたへ、声優になるための極意を伝授します。


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田中真弓の声優道

『天空の城ラピュタ』のパズー役、『DRAGON BALL』のクリリン役、そして『ONE PIECE』のモンキー・D・ルフィ役。日本人なら誰でも知っている名キャラクターの数々を演じてきた田中真弓さんに、声優になるまでの道のりをいろいろ訪ねてみた!

プロフィール

田中真弓 たなかまゆみ・・・1月15日生まれ。東京都出身。青二プロダクション。主な出演作は、アニメ『ONE PIECE』(モンキー・D・ルフィ)、『忍たま乱太郎』(きり丸)、『DRAGON BALL』(クリリン)、『ダッシュ勝平』(坂本勝平)、『うる星やつら』(藤波竜之介)、『中華一番』(マオ)、『ガイキング』(ツワブキ・ダイヤ)、『とっても! ラッキーマン』(ラッキーマン)、『魔神英雄伝ワタル』(戦部ワタル)、『天空の城ラピュタ』(パズー)ほか。

①声が出ない!? それで分かった本当にやりたいこと

歌が大好きな目立ちたがり屋
演劇を愛した少女時代

 子供の頃からとにかく歌うのが好きで、将来は歌手になろうと思っていました。幼稚園児の頃は2~3段高くなっているところがあるとすぐに上がって『赤銅鈴之助(※1)』なんて歌ったりしていましたね。近所のおばちゃんとかが集まってきてくれて、気持ちよかったです。

 中学生になると演劇部に入ったんですが、とにかく好きなようにやっていました。自分で本書いて、演出して、主演して。自分がやりたい本が通るようにみんなに根回ししちゃって。そこまでやるんだったら部長になっちゃえばいいんだけど、そうすると部長会にでなくちゃいけないし、自分の時間がなくなっちゃう。だから、言う事聞く子を部長に据えて、やりたいように演劇部を回していました。ひどいことをしていたと思います(笑)。

 ところが中学2年生の時、なんと本番で声が出なくなっちゃったんですよ。緞帳の前に出ていって「ぼくはコロボックル(※2)。変な名前だ。本当に変な名前だ。」ってナレーションがあるんですけど、袖でちょっとやってみようと思ったら、声が出ないんです。音は出でるんだけど、言葉にならないの。さっきまで出ていたのに、いきなり。だけどそうは言っても本番だし、でるしかないですよね。もう、私だけ何を言っているのかぜんぜん分からないような感じでした。でもみんな練習してるもんだから、ちゃんとセリフを言うんですよ、で、私以外とどこおりなく舞台が終わってから、みんなが寄ってきて「どうしたの?」と。

 病院に行ったら、左軟口蓋麻痺だと言われました。しびれちゃって、弁が閉じなくなるんです。時期が来たら治るということだったんでしたが、「3ヶ月かも知れないし、3年かも…」みたいな感じで、本当にショックでした。

 会話も、ぜんぶ筆談でやっていましたね。「演劇が好きで好きでたまらないのに、このまましゃべれないかもしれない…」そう思って悲嘆に暮れている私のために父が家族会議をしてくれたのを覚えています。「演劇が好きなら演劇に携わる仕事がいっぱいあるじゃないか」と、励ましてくれたんです。 そこで、照明やらなにやら、いろいろと演劇関係の仕事のことを調べてみたんですけど、私気づいたんですよ。「演劇が好きなわけじゃない」って。歌でも踊りでもいいから、目立ちたい! 人前に出たい! 出たいだけなのよ! というのが、私の本性だったんです。

 麻痺はだいぶ長引いて大変だったけど、その本性を知ることができたのは、あの麻痺のおかげだったんじゃないかと思っています。実際、脚本とかも才能なかったと思います。プロジェクト・レビューでも作と演出をやったことがありますけど、「あんたみたいに才能ないやつが書くんだったら辞める!」と出演者に言われたこともありました。でも、たしかにひどい本でしたよ。今思い出しても「そりゃキレるよ!」って思いますもん。そんな紆余曲折もあって「出る以外何もできないから、できることだけやろう」をモットーにしております。

 

※1……福井英一と武内つなよしによる漫画。1957年から59年にかけて、ラジオドラマ、テレビドラマで放送されたほか、映画化も。72年から73年には、フジテレビ系列でアニメ放送された。

※2……アイヌの伝承に登場する小人。コロポックルともいわれる。

 

先輩から学ぼう!

声優相談室、柴田がカツ
最強声優データベース、声優名鑑

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