声優道

超ベテラン声優からあなたへ、声優になるための極意を伝授します。


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中尾隆聖の声優道

中尾さんは児童劇団から役者としてのキャリアをスタート。ラジオドラマ、テレビドラマなどを経て、現在は声優としてたくさんの人気キャラクターの声を演じるまでになった。そこに至るまでにはどんな紆余曲折があったのか。役者としての糧になっているという若き日の経験をたっぷりと語ってもらった。

プロフィール

中尾隆聖 なかおりゅうせい・・・2月5日生まれ。81プロデュース所属。主な出演作は『それいけ!アンパンマン』(ばいきんまん)、『ドラゴンボール改』(フリーザ)、『ONE PIECE』(シーザー・クラウン)、『スイートプリキュア♪』(ノイズ)、TV『にこにこぷん』(ぽろり)、『ドレミファ・どーなっつ!』(レッシー)。そのほか、ドラマティック・カンパニーの舞台作品に多数出演。

①さまざまな方と触れあい、話を聞いた経験がなければ、きっと何もできない人間だった

少年のフィルターを通して演じるということを考えた

nakao2-513 私がこの業界に入るきっかけになったのは児童劇団です。なぜ児童劇団に入ったのか記憶が定かではないのですが、私としてはごっこ遊びの一環みたいな感覚だと思います。劇団といってもそんなにしっかりしたレッスンがあるわけではなく、遊ばせてもらっていたような感じでしたね。当時は昭和30年代ですから、娯楽といえば映画、大終焉激、歌舞伎などで子役が活躍する場なんてほとんどありませんでした。テレビ局が開局してソフトが足りなくなってきた頃から、少しずついろいろな作品に出させていただくようになったんです。

 初めてのレギュラーはラジオドラマの『フクちゃん』。新聞の4コママンガが原作で、10分ほどの帯番組でしたが、オーディションで主人公の相棒・キヨちゃん役に受かって、就学前から小学校5年生くらいまで演じていました。この世界が性にあっていたのか、学校に行っているより面白かったですね。そのうちに児童劇団から芸能事務所に預かりという形で移籍して、それからテレビドラマや洋画の吹き替えのお仕事が増えていきました。最初は顔出しのテレビドラマの仕事と声の仕事を半眼で受けていましたが、スケジュール調整が難しい。ドラマは1回の収録に週6日くらいスケジュールを抑えていかなければなりませんから。まさか収録中に「声の仕事があるので3時間だけ抜けます」というわけにもいかないですし(笑)。

 アニメで初めての主役をいただいたのは中学1年の時、『宇宙パトロールホッパ』のジュン役でしたが、そのあたりから声の仕事の割合が高くなっていきます。役者を一生の仕事にしたいと思い始めたのもその頃です。役者は食えないものだという意識がありましたが、好きなことを続けるためだったら、何をやっても生きていけるだろうと思っていたんです。でも私は児童劇団上がりの、言わば現場のたたき上げできちんと演技の勉強をしたことがなかった。だから、役者を続けていくなら新劇の劇団で本格的に演技の勉強をしたいという思いがありました。

 私は家庭の事情で祖父母に育てられたのですが、小さい頃から私が仕事で得てきたお金を祖父母が貯金していてくれて、高校入学のときに「このお金で大学に行くのもいいし、好きなことに使ってもいい」と手渡されたんです。そこで考えたのが、その貯金を元手に店を経営して生計を立て、並行して好きな芝居を続けようということ。でも、実際にはお店を始めるにはまだ資金が足りない。というわけで、役者の仕事のかたわら。バーテンや弾き語りのアルバイトを始めたんです。おかげで学校ではほとんど寝てました(笑)。でもそれが許されていたんですから、良き時代だったのかなと思います。

 

新宿のど真ん中で始めた店。
その経験がなければきっと何もできない人間になっていた

 そんな生活を続けていたところ、ある日アルバイト先のバーの常連さんから「いい物件があるんだけど、店をやってみない?」と声をかけられたんです。手持ちがあまりないと言ったら「足りない分はなんとかしてあげるよ」と無担保でお金を貸してくださって、役者仲間と10坪ほどの店を出すことになったのですが、今から考えると変な話ですよね。ところがその物件の場所が、ゲイタウンとして知られる新宿二丁目。でも、当時はそういった知識もないまったくの素人、新宿二丁目がどんな街なのか店を始めてから知ることになるのですが。今さら辞めるわけにはいかない。それから5年間がんばって借金を全額お返ししました。ただ、「ありがとうございました。これからは自分たちの力でやっていきます」と言ったまでは良かったのですが、それから2年で店を潰すハメに(笑)。高校を出たばかりの若造が、いきなり新宿のど真ん中で店を始めて借金を返すなんて、それは大変なことでしたが、楽しかったですね。あの街でさまざまな話を聞き、人生経験を積ませていただきました。あの時代がなかったら、きっと何もできない人間だったと思います。

 

先輩から学ぼう!

声優相談室、柴田がカツ
最強声優データベース、声優名鑑

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