声優道

超ベテラン声優からあなたへ、声優になるための極意を伝授します。


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緑川光の声優道

『SLAM DUNK』の流川楓、『新機動戦記ガンダムW』のヒイロ・ユイなど、緑川さんが演じた代表的なキャラクターといえばクールな二枚目を思い浮かべる人は多いでしょう。では、緑川さんのようにかっこいい役を演じるためには何をすればいいのか? その近道は意外にも思えるところに隠されているようです。

プロフィール

緑川光 みどりかわひかる・・・5月2日生まれ。青二プロダクション所属。主な出演作は『SLAM DUNK』(流川楓)、『新機動戦記ガンダムW』(ヒイロ・ユイ)、『南国少年パプワくん』(シンタロー)、『スレイヤーズ』シリーズ(ゼルガディス)、『スーパーロボット大戦』シリーズ(マサキ・アンドー)、『スクライド』(劉鳳)、『聖闘士星矢Ω』(光牙)、『リトルバスターズ!』(棗恭介)ほか多数。

①『機動戦士ガンダム』を見て声優に憧れ、青二塾へ

雑誌の養成所特集を見て〝声優〟の仕事が身近に

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声優という職業を意識したきっかけは『機動戦士ガンダム』です。だけど、リアルタイムでは見ていなかったんですよね。子供の僕にとってはストーリーがすごく難しくて、最初はスルーしたんですけど、学校で友達が『ガンダム』の話をしているのを聞いているうちに「面白そうだな」と思って。その頃にはもう放送は終わっていたので、『ガンダム』を見ることはできないなと思っていたら、本屋さんでたまたま見つけたアニメ雑誌で放送終了後の特集が組まれていたんですよ。そこに載っていた声優さんのインタビューを見て「なるほど、こういうお仕事があるんだ」と、子供ながらに思いました。そのときに「声優になりたい!」と思ったわけではないのですが、『ガンダム』の1作目には古谷徹さんをはじめとして、うちのプロダクションの声優さんが多く出演されていたこともあって、何となく名前が頭に残りましたね。「あおに」なのか「せいじ」なのか、どう読んだらいいのかは、そのときはまだわからなかったんですけど(笑)。

のちに再放送で『ガンダム』を見て感動することになるわけですが、その前にどうしても作品のことが知りたくなって、そんなにないお小遣いをはたいてドラマレコードを買いました。そうやって作品に浸っているうちに、感動できるようなロボットアニメに主役で出たいと、漠然と思うようになっていったんでしょうね。最初のきっかけはそこです。
その頃からアニメ誌を買うようになったので、自然と声優さんの情報は入ってきました。その当時できたばかりの青二塾の潜入レポート的な記事もあって、養成所という存在を知ることで自分の中の漠然としたあこがれがちょっと身近なものになりました。ただ、自分の中で進路を決めていても、両親が許す・許さないとなると話は別ですよね。僕は長男だったので、両親は実家の薬局を継がせたいという思いもあっただろうし、ちょっと話をしたところで「まさかこんな田舎にいる子が、東京に行ってまで声優になろうだなんて」と、本気にしていなかったと思います。だから真剣な話をしたときには揉めましたよね。自分はいちおうちゃんと勉強はしていたけど、薬剤師よりは声優になりたかった。そう言ったら「どこでもいいから大学に行きなさい。それからなら」と言われたんだけど、自分が目指していない大学に行っても、どうせ遊んじゃうじゃないですか。その時間がもったいないと思い、「それは嫌だ」と言って。たしか「30歳までに芽が出なかったら諦めなさい」とか「仕送りも数年くらいなら」みたいな条件をつけて、青二塾へ行くのを認められた気がします。

両親と話をするうえで、まったく何も勉強をせずに「声優になりたい」と言っても、説得力がないと思うんですよね。学校の勉強とか役に立たないって思うかもしれないし、実際ほとんどの人にとっては役に立たないものなんだろうけど、みんながそう思いながらやっていることをひとりだけ放棄しちゃう人っていうのは、社会に出ても何かあったら逃げ出すタイプなのかなって。みんなが同じ条件で勉強しているなかで一番を取るヤツというのは、やっぱり強い人間だと思うんですよ。「負けたくない」という気持ちは声優になるということにおいても関係なくはないので、養成所とかのゲスト講師で行ったときには「だから勉強もがんばろうね」と言うようにはしています。

 

がむしゃらに挑んだ卒業公演、そして事務所オーディション

……こんなかっこいいことを言っておいて、僕は青二塾ではわりと遊んでいました(笑)。同年代の子も多かったし、授業中もどちらかというと「うるさい」と言われるようなタイプでしたね。同期で久川綾がいるんですけど、彼女が東京校8期生だったら一番の優等生みたいな感じで、僕が遊んでばかりのいちばんダメなヤツ。ちょっと遊び心が抜けていないところがあったかもしれないです。自分が栃木出身で訛っているのを、はっきりわかっていなかったですしね。あと僕は小学校のときに合唱をやっていたので発声にも自信をもっていたし、それこそ授業中の教科書を読むときに「緑川くんに読んでほしいです」とよく言われていたから、自分で得意かなと勝手に思っていた節はあったかもしれない。だからあとになって挫折するわけですよね。塾生時代はあとからやってくるものと比べたら、そんなに苦労はしていないです。

卒業公演では、東京校8期にして僕が初めて男性の主役だったらしいんですよ。しかも最初にステージに登場してから、途中1回も引っ込まずにエンディングを迎えるという大役で! もちろん、そんなにテクニックがあるわけでもないので、訛りもみんなに手伝ってもらって直したりしながら、一生懸命がむしゃらにやったのを覚えています。いちばん悩んだのは、事務所に残れるかどうかというオーディションの自由課題で何をするかということ。それは絶対に緊張するはずだから、慣れ親しんだことをやりたいなと。自分のプランとしては、まず事務所の人たちに挨拶をして、その途中で見えない敵に襲われて、変身して倒して、挨拶の続きをする……というのを考えました。当時『ウイングマン』が好きで変身ポーズも覚えていたので、それをやろうと。そうしたら同期で普段から仲よくしている同い年の子は「いいね!」と言ってくれたんだけど、年齢が僕より上の方は大反対で「おまえ、主役やってすごくイイ位置にいるのに、そんなバカなことやったら落とされるから!」と怒られてでも、実際やったらウケはよかったですね。社長も笑ってくれていましたよ。当時、青二にいらっしゃった堀川りょうさんがアニメの『ウイングマン』で声をやっていたので、社長の隣にいた専務が「あれ、うちの堀川がやっているヤツですよ」と言ってくれたのも、なおさら印象がよかったのかなあと。

先輩から学ぼう!

声優相談室、柴田がカツ
最強声優データベース、声優名鑑

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