声優道

超ベテラン声優からあなたへ、声優になるための極意を伝授します。


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かかずゆみの声優道

アニメ『ドラえもん』のしずかちゃん役をはじめ、ナレーション、ゲーム、ラジオなど幅広いジャンルで活躍する声優・かかずゆみさん。これまでかかずさんが歩んできた声優道を、全3回のトークでお届けします。

プロフィール

かかずゆみ・・・6月18日、埼玉県生まれ。アトミックモンキー所属。主な出演作は、アニメ『ドラえもん』(しずかちゃん)、『創聖のアクエリオン』(シルヴィア)、『機動新世紀ガンダムX』(サラ・タイレル)、『AKB0048』(片桐つばさ)、『ノブナガ・ザ・フール』(ヒラガ・ゲンナイ)、ラジオTOKYO FM『よ・み・き・か・せ』ナレーションほか多数。

 

①何もわからない中でやり遂げた『ガンダムX』

声の仕事については、戸惑いや葛藤がありました

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私は声優という職業を認識したのが遅くて、かなり大人になってからでした。 短大で就職活動をする中、本当にやりたい事は何だろうと考えたあげく、サービス業の内定を断って、憧れだった俳優の世界に挑戦する決断をしました。カメラを意識してカット割りしていく・・・いわゆる画面の中でのお芝居。アルバイトをしながら、そういうレッスンを受けていました。

ちょうどその頃に出会った方が、元所属事務所の方を紹介してくれて、運良く面倒を見てもらえることになりました。私はドラマや映画などの仕事がしたかったので、自分でもオーディション雑誌で募集を見つけては相談、応募をして、エキストラを経験したりしていたんですが、 その方がたまたまアニメ業界に精通した方で、持って来てくれたオーディションのひとつに声の仕事があったんです。画に声を当てるなんて初めての経験でしたが、そのオーディションがきっかけで、声の仕事の難しさや面白さを知る事になりました。まさかこんなに続くとは・・・(笑)

もともと自分が表に立ちたかった私にとって、声の仕事は裏方のイメージが強く、最初は正直戸惑いや葛藤がとてもありました。今でこそ“ジャパニメーション”として日本文化のひとつですが、当時の私は「アニメ=オタク」というイメージが強かったのでしょうね(笑)。そんな私ですから、キャラクターは知っていても、そこに声を当てている声優がどのような方なのかまでは知りませんでした。アニメはアニメ、キャラクターはキャラクター。“声優業界”に関する興味と知識がほとんどなかったんです。 事務所に所属し活動していく上で、当時人気声優と言われる方々のイベントで、チケットのもぎりや影アナなどの仕事を手伝わせてもらったりもしました。まったく知らない世界だったので、ひとつひとつがとても新鮮でした。 

アニメの現場でたくさんのことを学ばせてもらいました

声だけで演じるという事は、予想以上に難しいものでした。それまでレッスンして来た芝居は、自分の表情でも感情を伝えることができたけれども、声だけではそれが思うようにいかない。例えば「声を殺して泣く」ってどうしたらいいんだろう。画が自分の思いと違う表情をしていたらどうしたらいいんだろう。「畑は違えど芝居はできる」と思っていた自分が甘かったなと思いました。 アニメだと振り向くときに分かりやすく「え?」って声を出す事がありますが、普段はそんなに声出さなかったりしますよね。そういう “わざとらしさ” にもなかなか慣れなくて、「私はナチュラルに演じたい」と当時は意地をはっていた部分がありました。でも画に声を乗せるって、ナチュラルさだけでは伝わらない事もあるんですよね。 作風によっては自分が思っている以上に大きく演じないと画に乗らないし、マイク前で一生懸命演じきったつもりでも画面を通して観ると思った程伝わってこない。キャラクターがイキイキしてない。出演作品のオンエアを観ても、当時は私の声だけ浮いている気がして楽しむのは二の次三の次でした。

最初の頃は居残り(での録音)もありました。ダビングをしている現場も見学させてもらいました。でもそのお陰で、盛り上がるシーンで音楽が入って来る時は 台詞はもっと出した方がいいんだとか、声を抑えた芝居はここまでやっていいんだとか、先輩方の芝居も見ながら聞きながら、作品全体を通しての自分の立ち位置というものが分かってきました。養成所に通っていなかった分、現場でたくさんのことを学ばせてもらいました。マイク前での立ち方や台本の持ち方、スタジオでのマナーなど、見て盗んだり教えていただいたり。収録後みんなでご飯を食べに行き芝居について語り合ったり。新人の頃にそういうコミュニケーションがとれる貴重な時間が持てたことは本当にラッキーでした。

デビュー作『ガンダムX』では毎回必死にもがいていました

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アニメのデビュー作は、96年の『機動新世紀ガンダムX』でした。体当たりで挑んだオーディション。無我夢中さを買ってくれたのでしょうか。最終審査で、知らない畑へ飛び込んで来た私に「(この世界で)やってみる気はあるのか?」と聞かれ、「あります!」って即答。←負けず嫌い(笑)。でも、そうは言ったものの現場に入ったら分からないことだらけ。しかも周りからは「あなた誰?」状態。レギュラーになれた嬉しさ以上のプレッシャーに押し潰されぬよう、 毎回必死にもがいていた気がします。

私の演じたサラ・タイレルは17歳の設定。自分の高校生の頃を想像してみると・・まだまだ子ども。でもサラは副艦長なので、すごくしっかりしているキャラクター。艦長を補佐する役目だし、現実では言わないような難しい言葉で指示もたくさん出すんです。 台本の文字に捕われすぎて悩む事もありました。例えば、危機が迫るシーンで台本に「あーーー!」と書いてあると、「あ」で叫ばなくちゃいけないと思い込んでいた私。不自然きわまりなかったです(笑)。気持ちで演じられるようとにかく世界観をつかまなくてはと、過去のシリーズをとことん観直すのが精一杯でした。 ある話数では、休暇中のサラがプールに入るシーンがあったんですね。「これは体験した事あるし想像しやすい!」と思ったのに・・・飛び込むときの「それ!」が言えなかった。今度は距離感がつかめなかったんです。 結局また居残り。「何とかして飛び込まなくては」と、休憩中スタジオの段差を使って飛び込む時の気持ちを確認してました。他の人からはきっと笑われてたと思うけど、必死でした。先輩方には「とんでもない子が入ってきた」と呆れられていたと思います。

当時は凹んで悔しくて、帰ってからは泣いてばかりで、「向いてないのかも。収録行きたくないな」と胃が痛くなるほどでした。自分との闘いが続き1年弱。最終回まで役が残っていたときは、「やり遂げた」という気持ちと同時に、周りの先輩方に「いろいろありがとうございました!」という感謝の気持ちでいっぱい。関わった作品、スタッフさん、先輩方には本当に恵まれていたと思います。この場を借りて「ありがとうございます!!」

 

先輩から学ぼう!

声優相談室、柴田がカツ
最強声優データベース、声優名鑑

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