声優道

超ベテラン声優からあなたへ、声優になるための極意を伝授します。


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高橋広樹の声優道

少年時代はプロレスラーに憧れ、18歳のとき“エンターテイナー”を目指して役者の道へ。声優としてアニメ『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』『テニスの王子様』などに出演し、また舞台俳優、歌手として幅広いジャンルで活躍している高橋広樹さん。彼が歩んできた声優道を、全3回のトークでお届けします。

プロフィール

高橋広樹 たかはしひろき・・・9月7日、東京都生まれ。マックミック所属。アニメ『マクロス7』(金龍ほか)、『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』(城之内克也、ヘルモス)、『HUNTER×HUNTER』(ヒソカ=モロウほか)、『テニスの王子様』(菊丸英二ほか)のほか、洋画吹替えも多数。男性声優ユニット「STA☆MEN」のメンバーとして音楽活動も展開。11/30~12/4に舞台「Run for Your Wife」(Zeppブルーシアター六本木)に出演する。

②最初の現場では、低い声をうまく出せずにダミ声に

最初の現場では、低い声をうまく出せずにダミ声に

 『マクロス7』で声優デビューした僕ですが、最初の頃の現場では何もできなかったですね。とにかく緊張していて・・。そのときの役はスキンヘッドで筋骨隆々の隊長の役で、オーディションのときの“野獣”の声が良かったんだろうなというのは分かっていたんですけど、緊張で声がうわずって低い声が出ない。

 絵の雰囲気と全然違う声になっちゃうし、ドキドキしているから早口になって口の動きとも合わないし。NGを食らって何度もやり直して、やればやるほどグズグズになっていくという悪循環でした。_DSC6842_atari結局そのキャラクターは、頑張って低い声にしようとして、でもできなくて、ダミ声みたいな感じになっていました。

 高校を卒業後、舞台役者になろうと思い、養成所ではセリフ術を身につけようという感覚だったので、アフレコのレッスンというのは全くしてこなかったんです。当時は、養成所にも(アフレコの)設備が整っていなかったし。だから、ほぼぶっつけ本番みたいな状態でアフレコスタジオに行ってましたね。

NGが続くと、先輩からの無言のプレッシャーが・・・

 その頃の現場では、とにかく言われていることが分からなかった。今、『声優グランプリ』の記事を読んでいる人たちは、業界用語や専門用語も知っていたりするけど、僕の行ってた養成所では「そんなことはいいから、心の方が大事。技術や専門用語は二の次」という感じだったんですよ。

 それでNGを出し続けて10回、20回と同じセリフをやっていると、後ろから舌打ちが聞こえてきたり、台本がバサッと落ちたりするんです。誰かがわざと落とすんですよ、それも結構な大きい音で。これには無言のプレッシャーがありましたね(苦笑)。僕はただただ「すみません」としか言えなかったけど・・・。

 その頃に「お前は芝居が下手だな」って言ってくれた先輩がいて、その方とは今でも仲良しですよ。「お前、本当に下手だな。辞めちまえ」って、ずっと言われてたんですよ。でも、そう言ってくれるのは、愛があるってこと。何も言われないのは、突き放されていることだと思うんです。その意味では、20年ほど前の現場って、すごく愛にあふれていて、“新人が出てきたら育ててあげよう”という雰囲気がありました。怒られながらも「お前は下手なんだから、もっとこうした方がいいぞ」みたいなアドバイスをいただいたりもしました。

 「もっとゆっくりしゃべれ」「もっと声を出せ」とかね、文字にしちゃうと初歩的で些細なことだけど、僕にはすごくありがたかった。なんせ緊張している新人としては、そんなことも意識できない状態にいますから。それに、細かいアドバイスをもらうと、あれもこれもと追いかけちゃってとっちらかったりするけど、単純なことに集中すると余計な邪念がなくなって案外うまくいったりするんです。先輩方はきっとそれを分かってらっしゃって、そういう状態に導いてくださったんだろうなと思います。

 そういうことはその場では気づけなかったし、愛があるとも感じなかったんですよ。でも、昔のアニメは1年間あったので、何度も現場に行くうちに徐々に“愛”を感じるようになりました。そして先輩方と一緒に食事に行ったり、飲みに行ったりさせていただきました。

 当時、男性の声優さんはみんな怖かったですよ。特に10年以上のキャリアのある方は、怖いと思っていました。でも仕事に厳しいというのは、ある意味当然のこと。それはそうですよね。観る方に喜んでいただくために、芝居して録音をする現場ですから。当時の僕は怖いと思っていたけど、今思えば、至極当然だと思います。僕が怒られていたのは叱咤激励であり、良い作品を作るための当然の作業だったんだなって。

『遊☆戯☆王~』に出演して、ベクトルが変わった!?

 僕のターニングポイントになった作品というと、今年絶賛劇場公開をした『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』です。デビュー作の『マクロス7』が終わった後、声優としてのお仕事は全然なくて、たまに『マクロス7』のディレクターさんに呼んでもらっていたくらい。ずっと舞台をやりながら、たまに声のお仕事をさせていただくという感じでした。

 『遊☆戯☆王~』以前にも、いくつかレギュラー番組はありましたが、でも役者1本で食っていけるほどの稼ぎはなかったんです。そんな中、ある制作会社の方に呼んでいただいたことがきっかけで、『遊☆戯☆王~』に出演することができました。これが1年以上のレギュラーになり、この作品に出演させていただいたことでファンの方の存在というのを感じ始めたんですね。

 『遊☆戯☆王~』のすぐ後に『HUNTER×HUNTER』が始まるんですけど、そのとき確実に自分の認知度が上がったのを実感しました。『遊☆戯☆王~』『HUNTER~』と『テニスの王子様』という一連の作品の流れが、僕の20代の声優人生においてすごく大きな意味を占めています。その最初が『遊☆戯☆王~』なのかなっていう気がしています。

 それまでの僕は、ファンに喜んでもらえるのがエンターテイナーだということを考えられていなかった。当時のファンの方には大変申し訳ないんですけど、気持ちが自分に向いていて「自分がどうやったら上手くできるだろう」とか、そんなことばかり考えていました。演劇をやるときも、_DSC6820_atariお客さんに来ていただいて喜んでもらいたいという気持ちはあるんだけど、「自分がどう芝居をするか」という自己顕示欲の方が強かったんですよ。そのとき、あるプロデューサーさんから「それじゃ、観てくれている人は楽しくないよ」と言われて、「それはそうだよな」って思いました。

 そんな僕が『遊☆戯☆王~』をやり始めてから、やっと観てくれている方のことを考えられるようになりました。情けないことですけどね(苦笑)。やっと意識できるようになって、観てくださる方に喜んでいただくということにベクトルが変わったような気がします。

 「このセリフはもっと熱く言った方が喜ばれるよね」みたいな言い方をよくされたのも『遊☆戯☆王~』でした。この作品を経験して、かつて「観客を熱狂させたい」とプロレスラーに憧れていた頃の自分とつながったのかなって思います。

高橋広樹さんが出演する「Run for Your Wife」は11/30(水)~12/4(日)まで、
Zeppブルーシアター六本木にて上演! チケット好評発売中! runforyourwife

Run for Your Wife (作:レイ・クーニー、演出:野坂実)

▼CAST
山寺宏一 as ジョン・スミス
高垣彩陽 as メアリー・スミス
寿美菜子 as バーバラ・スミス
岩崎ひろし as ポーターハウス警部
高橋広樹 as トラウトン警部
小野賢章 as ボビー・フランクリンrunforyourwife2
横田健介 as 新聞記者
水島裕 as スタンリー・ガードナー

▼TICKET
チケット料金:6,800円(全席指定・税込)

▼チケットの購入方法など、詳しくは下記URLをチェック!
http://seigura.com/news/20160927_19717.html

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声優相談室、柴田がカツ
最強声優データベース、声優名鑑

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