声優道

超ベテラン声優からあなたへ、声優になるための極意を伝授します。


main

大原めぐみの声優道

結婚して専業主婦になってから声優の勉強を始め、声優デビューして間もなく国民的アニメ『ドラえもん』の野比のび太役をゲット!! 以後、『ドラえもん』を中心に、アニメ、ゲーム、ドラマCDなど幅広く活躍している大原めぐみさん。これまで大原さんが歩んできた声優道を、全3回のトークでお届けします。

プロフィール

大原めぐみ おおはらめぐみ…4月16日、東京都生まれ。ケッケコーポレーション所属。主な出演作は、アニメ『ドラえもん』(野比のび太)、『それでも町は廻っている』(夏彦少年、末兼レポーター)、『やなせたかしメルヘン劇場』、ゲーム『スぺクトラルジーン』(エンジュ)などに出演。

②“無欲”で臨んだオーディションでのび太役に抜擢

“無欲”で臨んだオーディションでのび太役に抜擢

 私の代表的なキャラクターと言えば、やはり『ドラえもん』の野比のび太です。これまで12年間、私はこの『ドラえもん』という作品に育てていただいた感覚があります。

『ドラえもん』は子供の頃からめちゃくちゃ観ていました。「こんな道具があったらいいな」と妄想したり、勇気づけてもらったり、辛いときに現実逃避させてもらったり……すごく救われた作品です。気がつけば『ドラえもん』が存在していて、毎週この時間にテレビをつければドラえもんに会えるという安心感がありました。ストーリーも『水戸黄門』のように、最後に必ず平和になって一件落着する感じがいいんですよね。2-1

 そんな私がのび太役をやらせていただくようになったのは、事務所の所属になって1年か1年半くらいの頃でした。最初にテープオーディションがあって、「自分がやりたい役をやってください」と言われたので、のび太とドラえもんをやりました。そのときは、大好きな『ドラえもん』のオーディションを受けられるというだけで嬉しくて、自分が審査に通るなんて1ミリも考えていなかったんです。

 その後の2次審査は、スタジオオーディションでした。そこには、自分がすごいと思っていた声優さんたちがいらして、「あの方たちも受けてるんだ~!!」って、なんか夢のような感じでした。そういう方たちにお会いできてラッキー!! みたいな(笑)、ミーハーな感覚だったんですよ。本当に無欲で「ここまでこられただけで幸せ」という感覚しかなかったので、緊張もあんまりしなかったですね。

 そして3次審査に参加しました。そのとき実は、もうあのメンバー(水田わさび、大原めぐみ、かかずゆみ、関智一、木村昴)で決まっていたみたいなんです。それを知らされていなくて「いろんな組み合わせで試しているのかな」と思いながら読み合わせをしていたら「これで決まりです」と言われて……。まさか自分が選ばれるなんて思ってなかったので、「ドッキリじゃないの?」とカメラやドッキリのプラカードを探してしまいました(笑)。頭も真っ白になって「嘘でしょ? どうしよう? 選ばれちゃった」というのが素直な感想でしたね。

 後でスタッフさんから聞いた話ですが、「素直で真っ直ぐなところが良かった」そうです。ヘンな欲もなかったし、「こうやろう」というものもなく、自分の中から自然にのび太くんを出せたのがよかったみたい。『ドラえもん』以前もいくつかオーディションを受けていましたが、何にも引っ掛かりませんでした。そんな私がこんな大きな作品に携われるようになるなんて、本当に驚きでした。

“声だけで表現する難しさ”の壁にぶつかり、居残りを

 『ドラえもん』に決まって嬉しくて「決まったからには頑張ろう」と思っていたんですけど、「自分にできるのかな? やっていけるのかな?」という不安も大きかったのですが、徐々に不安から覚悟に変わっていきました。

 いざ収録に入ると緊張だらけでした。それまで自分が観ていたアニメーションをやってらっしゃる憧れの声優さんたちが現場にいらして、その中で、自分がマイク前に立って芝居で絡んでいくわけですから。その作業って、すごいことだと思いました。

 最初の頃は余裕もなくて、アドバイスをいただいても、自分が要求されていることをちゃんとキャッチできなかったんですよ。現場のスタッフさんも、もどかしかったんじゃないかと思います。自分の気持ちはのび太役とシンクロできていると思うのに、それを声だけで表現することが難しくて。そのとき、音で感情の起伏を表現する難しさという壁にぶつかりました。監督さんからも「気持ちは合っています。でもそれじゃ届きません」と言われて、「どうしたら声だけで観る人に届けることができるのか?」と悩みました。映像だと表情や仕草でも表現できるけど、“声だけ”というのは本当に難しかったですね。

 2-2随分“居残り”収録もやりました。『ドラえもん』では収録前に入って先にリハーサルをして、他のキャストの皆さんが入って収録スタート。皆さんの収録が終わってから、私はその後、自分ができていないところを居残りで録っていました。毎週夜遅くまでやってましたね。

 私に付き合ってくださったスタッフさんはもちろん大変だったと思います。ドラえもん役の水田わさびさんもずっと付き合ってくださって、本当にありがたかったです。わさびさんだけなら録り終わって帰れるところを、ドラえもんとのび太の関係性があるので、一緒に残って見守ってくださったんですよ。

 スネ夫役の関智一さんにも相談させていただいて、「自分の考えている、感じているのび太くんでやれればいい。いろいろ考えなくても、めぐみちゃんはのび太くんなんだから、そのままでいいんだよ」と言っていただきました。また、しずかちゃん役のかかずゆみさんとも「この話はどうやったら面白くなるかな」と話し合ったり、
「このセリフは、こう立てたらいいよ」とアドバイスをいただくこともありました。

 『ドラえもん』のキャストは皆さん忙しい方なので、個々で動いている感じもしますけど、誰かが困っていたらサッと手を差し伸べてくれるんです。私はフォローするよりもっぱらフォローされることが多いので、支えていただいている感覚が常にあります。本当に感謝しています。みんなベタベタした感じではないけど、みんなで良い作品を作り上げていこうという結束力はすごくあると思います。

先輩から学ぼう!

声優相談室、柴田がカツ
最強声優データベース、声優名鑑

ページの先頭へ戻る