声優道

超ベテラン声優からあなたへ、声優になるための極意を伝授します。


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榎本温子の声優道

庵野秀明監督のアニメ『彼氏彼女の事情』で声優デビュー。その後、アニメ『機動天使エンジェリックレイヤー』『ふたりはプリキュア Splash Star』をはじめ、外画吹き替え、ナレーション、ラジオパーソナリティー、イベントMC、シンガーと幅広く活躍している榎本温子さん。そんな榎本さんが歩んできた声優道を、全3回のトークでお届けします。

プロフィール

榎本温子 えのもとあつこ…11月1日、東京都生まれ。フリー。アニメ『彼氏彼女の事情』(宮沢雪野)、『機動天使エンジェリックレイヤー』(鈴原みさき)、『ふたりはプリキュア Splash Star』(美翔舞/キュアイーグレット/キュアウィンディ)、『エレメントハンター』(キアラ・フィリーナ)などに出演。夫は声優の石井マーク。

③長く続ける秘訣は、私の場合は変わっていくこと

長く続ける秘訣は、私の場合は変わっていくこと

 声優デビューして19周年を迎え、ついに20年目に突入しました。本当に長くこの業界にいますが、私の場合は変わっていくことで生き残っているのかなと思っています。私はアイドルをやっていたときも、長くはできないと思っていました。『彼氏彼女の事情』のときも自分は若くて選ばれたから「声優自体も長くできるのか分からない」くらいに思っていました。自分の売りは若いことなんだと、当時から分かっていたんですね。その位置には次々と若い子たちが来るわけだし、ずっと同じところに立っていたら負けてしまう。なので、その時はお芝居の仕事に絞ったんです。_DSC7223_1

 今はアニメじゃなく、ナレーションの仕事に注力しています。そうやって変わっていくことで生き残っていけるんじゃないかと思うので、私はいつも10年後のことを考えています。デビューのときからそうでした。最初の事務所は好きでしたが、そこは若い子を売り出すのが得意な事務所だったので、話し合って円満に退社しました。それから別の大手の事務所に移籍して、それまでにやりたかったいろんなお仕事に挑戦しました。外画やナレーションなど、いろんなお仕事があって、本当は下積みの時にやるべきだった様々なことを経験しました。やったことがないことが多かったので楽しかったですね。2つの事務所には、大変感謝しています。


 私はそれまでずっと主役をやらせていただいて、私自身はそんな風に思っていたわけじゃないのですが、事務所が「榎本さんはトップだから」と、よりスター性を高めるために言ってくれていたそうなんです。当時は事務所内でも「榎本さんに軽々しく話しかけちゃいけない」みたいに言われていたらしくて、今でも下野紘くんあたりは私と一緒になるとちょっと挙動ります(笑)。私も大人が怖かったから、ちょっとツンとしていたんですよね。

 でも次の事務所に移ったら、上の人から下の人までいっぱい所属者がいて、その中に混ざって居心地が良かったです。何より先輩がたくさんいるのが嬉しかったですね。

 いろいろな仕事をやっていく中で、30代になるとアニメのオーディションも減ってきます。最近だと歌って踊れるアイドルアニメのような作品が多いので、当然ギャラの高い人は入れない。だから新人やジュニアだけという世界が多くなってくる。そこで自分はどうしたいのかと思ったときに、「NOTTV ファミ通TV」で天の声というのをやらせていただきました。それがすごく楽しくて、ナレーションの仕事に目覚めたんです。

今の目標は、ゴールデン番組のナレーション

 新しい事務所ではナレーションばかりの人や外画ばかりの人もいましたが、私みたいに派手でMCもできると、どうしてもタレント業に回されるんです。それが嫌ということではないけど、他のこともやりたいのに、やはり役割分担があるので急には方向転換できない。だから現在は事務所を辞め、ナレーションの事務所と業務提携だけして、他のお仕事はフリーでやっています。やっぱりフリーになるときはちょっと勇気が要りましたけど、意外と経理事務的なことも好きだし(笑)。元々自主イベントなどもやっていましたし。今思うと、事務所に管理されるのは苦手だったのかもしれませんね。

 フリーになって良かったことは多いけど、アニメのオーディションはあまりチャンスがないですね。ただ、今まで演じた役に関しては、どこかから連絡が来ます。良い業界だなって思いますね。今はナレーションを勉強する時期だと決めていて、目標は、地上波の“ゴールデンの華”と言われているような番組のナレーションです。また去年からAbemaTVでニュースを読んでいるんですが、報道って私の未来像にはなかったんです。だから、まったく違うことをやっていく可能性もありますね。いろんな声の仕事をしたいなって思います。

アイデンティティをネットに求めるのはやめなさい!

 今の若い人たちの夢はどこに向かっているのか分からないですね。本当にいろいろで、「今だけできればいい」みたいな感覚の人もいますし。現場もぬるくなっている気がします。録音の技術が発達しているので、声にしても口パクにしても編集ができてしまう。芝居が上手くなるような環境がないんですよ。だからみんな同じような喋り方になってしまう。

 _DSC7251_1若い人たちに私から言えることがあるとしたら、今やっている仕事のやり方をずっと続けることはできないから、長くやっていきたいのなら、自分の特色を見つけて伸ばしていくことが大事です。自分と向き合って、もがいて道を探すしかないと思います。今売れている人でも、ずっと売れ続けることってないんです。私も波がありましたし、売れ続けているように見える人でも、実は山あり谷あり。それが芸能界ですから。おごらずに感謝してやり続けることが大切だと思います。このお仕事を長くやってらっしゃる方は人柄も素敵な方が多いので、そういう方がリピートしてお仕事をもらえるんだと感じています。

 中にはSNSで自分の名前を検索して一喜一憂している若い人もいますが、そういう人には「参考程度に見るのはいいけど、アイデンティティをネットに求めるのはやめなさい」と言っています。

自信というのは自分で身に付けないとダメで、与えてもらっているだけだと落ち込むことになります。だから評判を気にし過ぎるのはやめること。やはり生身の相手と顔と顔を合わせて、そこで言ってもらった言葉を大事にした方が良いですよ。本当の自信というのは、「これはできる、これもできる」と一つずつ自分の中の課題をクリアしていくことでしかできないものですから。

先輩から学ぼう!

声優相談室、柴田がカツ
最強声優データベース、声優名鑑

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