２年越しに実現した、麻倉ももさん初のソロライブツアー。約１か月間にわたって大阪・福岡・愛知・東京の全国４都市を巡り、11月5日・6日には東京・中野サンプラザホールにて追加公演を開催した。ツアーを完走した充実感と、終わってしまうことへの寂しさが入り混じった11月6日の千秋楽公演の模様を完全レポート！
「こんな気持ちになるんだ、ツアーって」
ソロでは初の全国ツアー、そして初の生バンド編成でのライブと、麻倉さんにとって初めてのことだらけの今回の公演は、まさに「はじめまして」の意味を持つ“Piacere！”というタイトルにふさわしいものとなっていた。初めてのことばかりだからといって緊張感のあるライブになっていたかというとそんなこともなく、ステージの幕が上がるとそこにはスヤスヤと気持ちよさそうに眠る麻倉さんの姿があった。すると目覚ましのベルが鳴り、ふわーっとあくびをしながら体を起こした麻倉さんはそのまま「ネムイケド」を歌う。そんなふうにゆっくりとした空気で始まったオープニングは見ているこちらまでリラックスさせてくれて、麻倉さんの作り出すゆったりとした空間に引き込まれていった。
「Good Job!」ではサムズアップをしながら客席のファン一人一人とアイコンタクトを交わし、「カラフル」では「みんなも一緒に踊りましょう！」と言って、会場の気持ちを一つにまとめていく。麻倉さんのイメージカラーであるピンクのペンライトで染まった客席は、色だけでなく心も一体となっていた。そんな楽しい時間を楽しめるのも、今日が最後――。
「ついに来てしまいました、“Piacere！”の最終公演が。自分でも信じられないし、今３曲歌ったんですけど、このツアーで歌うことがもうないかと思うと１曲１曲歌うのが名残惜しいというか、寂しい気持ちもちょっとあって。『こんな気持ちになるんだ、ツアーって』って、初めての体験をさせていただきました」
初めてづくしのツアーの最終日に、また一つ初めての体験をした麻倉さん。せっかくなので、ここまで共にライブを作り上げてきたバンドメンバーにツアーの思い出を聞いてみると、意外にも（？）いい話がたっぷり聞けて思わず「ありがとうございましたー！」とライブが終わってしまいそうな雰囲気に。そんな麻倉さん自身の思い出は「思い出がいっぱいで、何かあったっけ……？ 忘れるくらい、いい思い出がたくさんできました」とのこと。ツアーの思い出話はいずれまたどこかの機会で聞けることを期待しつつ、ライブはまだまだ続いていく。
「シュークリーム」「Love me, Choose me」「ふたりシグナル」「フラワーズ」とせつなさのある楽曲が続く前半ブロックではダンスパフォーマンスやスタンドマイクでの歌唱など、さまざまな表現に挑戦し、情感たっぷりの歌声で会場を魅了する。いったんステージを降りた後、インターバルとなるバンドメンバーによるインストゥルメンタル演奏では2ndシングル「トクベツいちばん!!」のフレーズが奏でられるという仕掛けもあり、気づいたファンも多かったのではないだろうか。
「皆さんと一緒にこの時間が作れて、本当に幸せでした！」
後半のスタートとなる「eclatante」では楽曲のゴージャスな雰囲気に合わせて優雅にティータイムを楽しんだり、ダンサーが持つ額縁の中で歌ったり、ミュージカルのような演出も。曲の終わりで再び眠りについた麻倉さんが夢の中で歌うのは「ユメシンデレラ」。CD音源のポップなイメージとはまた違った、生バンドならではのゆったりとしたアレンジが印象的だった。3rdアルバム『Apiacere』の収録曲のなかでも「この曲、好きです」と言ってもらえることが多いという「monologue」と、続く「あしあと」では会場がしっとりとした落ち着いた雰囲気に。
そして６年前にリリースされたソロデビュー曲「明日は君と。」から、クライマックスに向けてライブはどんどん盛り上がりを見せていく。すっかりテンションの上がりきった麻倉さんは「満開スケジュール」の曲中でピンクの光を満開にしながら踊る客席をバックに自撮りをするという自由な一面も見せてくれた。そんな楽しかった時間もあっという間に過ぎて、幅広い層から支持される人気曲「ピンキーフック」で「思い残すことなく楽しんでください！」と本編を締めくくった。
アンコールの１曲目には『Apiacere』のLP盤に新規収録された「プリンセスじゃなくても」を披露。そこから「恋のプレリュード」と、どこか懐かしい雰囲気の楽曲を続けた後、麻倉さんはツアーを振り返ってこう語る。
「私自身もこのツアーで大きく成長できたんじゃないかなと思います。この“Piacere！”というツアーができて、本当に、本当に、よかったなと思いました。２年越しのリベンジになりましたけど、最初から最後まで誰一人欠けることなく、楽しく皆さんと一緒にこの時間が作れて、本当に幸せでした！」
盛大な拍手を浴びながら、「最後は皆さんにありがとうの気持ちを込めて、一人一人と目を合わせて歌いますので、ぜひ思いを私に伝えてください」と「彩色硝子」を歌ってツアーの全日程は終了……かと思いきや、鳴りやまない拍手に応えて、またまたステージに帰ってくる麻倉さんとバンドメンバー、ダンサーたち。「こんなに続いたツアーでも、まだ終わりたくないよね！」と笑顔いっぱいの麻倉さんはダブルアンコールとして「ピンキーフック」を再び披露。記念すべき初のツアーは、こうして最高の形で大団円を迎えた。
取材・文／仲上佳克
◇SET LIST◇
M1. ネムイケド
M2. Good Job!
M3. カラフル
M4. シュークリーム
M5. Love me, Choose me
M6. ふたりシグナル
M7. フラワーズ
M8. eclatante
M9. ユメシンデレラ
M10. monologue
M11. あしあと
M12. 明日は君と。
M13. Run for you
M14. Shake it up!
M15. Fanfare!!
M16. 満開スケジュール
M17. ピンキーフック
ENCORE
EN1. プリンセスじゃなくても
EN2. 恋のプレリュード
EN3. 彩色硝子
◇Profile◇
あさくらもも●6月25日生まれ。ミュージックレイン所属。主な出演作はアニメ『アークナイツ【黎明前奏/PRELUDE TO DAWN】』（Medic）、『ヒロインたるもの！～嫌われヒロインと内緒のお仕事～』（瀬戸口雛）、『明日ちゃんのセーラー服』（平岩蛍）ほか。
◇リリース情報◇
麻倉もも
3rdアルバム 「Apiacere(アピアチェーレ)」
発売中
空間オーディオ規格「DOLBY ATMOS」環境を想定し作曲・編曲された田中秀和による「シロクジチュウム」をはじめとした、「麻倉ももが歌う恋愛ソング」を豪華作家陣やミュージシャン・コンポーザーが具現化した6曲の新曲のほか、人気曲「ピンキーフック」など既にリリースされた6曲を加えた全12曲が収録。初回盤type Aには「麻倉もも Live 2020 “Agapanthus”」をフルで収録したLIVE Blu-rayが付属し、初回盤Type Bには「デビュー5周年のお疲れ様小旅行」と題した、豪華100ページにも及ぶコンセプト写真集、アルバムリード曲のMVなどを収録したBlu-rayがが付属する。
初回生産限定盤type A
CD+LIVE Blu-ray
SMCL-774～775 \8,800(税込)
[初回生産限定盤type B]
CD+MV Blu-ray＋写真集
SMCL-776～778 \7,700(税込)
[通常盤]
CD only
SMCL-779 ￥3,100(税込)
【収録内容】
＜CD＞
1.ピンキーフック
2.満開スケジュール
3.eclatante(エクラタンテ)
4.彩色硝子(ステンドグラス)
5.フラワーズ
6.僕だけに見える星
7.monologue
8.あしあと
9.Love me, Choose me
10.ふたりシグナル
11.ネムイケド
12.シロクジチュウム
＜-LIVE Blu-ray- ／Type A＞
麻倉もも Live 2020 “Agapanthus” 11/15公演
1.Agapanthus
2.スマッシュ・ドロップ
3.カラフル
4.トキメキ・シンパシー
5.“さよなら”聞いて。
6.Twinkle Love
7.星空を想えば
8.花に赤い糸
9.今すぐに
10.Good Job!
11.明日は君と。
12.秘密のアフレイド
13.Shake it up!
14.トクベツいちばん!!
15.妄想メルヘンガール
16.Fanfare!!
17.僕だけに見える星
-アンコール-
18.No Distance
19.ユメシンデレラ
20.365×LOVE
＜Music Video Blu-ray- ／Type B＞
1.僕だけに見える星
2.ピンキーフック
3.彩色硝子
4.eclatante
＜写真集／Type B＞
「デビュー5周年お疲れ様小旅行」と題した大ボリューム100ページのコンセプト写真集
▼麻倉もも Official Site https://www.sonymusic.co.jp/artist/asakuramomo/
▼麻倉もも Official Twitter https://twitter.com/Asakura_Staff
▼麻倉もも Official YouTube Channel