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【インタビュー】山下大輝さんのサプライズ的に発表された配信シングル「ヒトコキュウノ」。緊急インタビュー!!【声グラweb限定】

山下大輝さんの配信シングル「ヒトコキュウノ」が6月14日にリリースされた。今作は、作詞・作曲をシンガーソングライターのeddaが手掛け、ジャケットイラスト、アニメーションMVはクリエイターのかもみらが担当した物語性のある楽曲。これまでと雰囲気や世界観がガラッと変わり、新たな可能性も感じる楽曲について、存分に語っていただきました。

人間のいない
荒廃した未来の物語

ーーアルバムリリース後、初のシングルとなりますが、アルバムを受けてのテーマやコンセプトはあったのでしょうか。
『from here』というアルバムを今年3月に出させていただいたのですが、ここで「大きなエール」というテーマは一区切りにしようと思っていました。なので、サプライズ的に出す今回のシングルは、印象をだいぶ変えたいと思っていたんです。「あれ? 雰囲気変わった?」「世界観変わった?」という仕掛けがあったら面白いのかなと。これまではストレートなバンドサウンドで盛り上げる曲が多かったですが、今回はもっと視野を広げて、そうではない部分も攻めていきたいという気持ちがあったので、新しい曲調、新しい世界観を作っていけたらいいなと思いました。

ーーそれは以前から考えていたことだったのですか?
もともと音楽は何でも聴くタイプなんです。ロック調のバンド曲も好きだし、ファンタジーな世界もすごく好きで。だから、好きなものは全部やりたかったんです。「あれもこれもそれもやりたい!」と最初の段階から言っていたので、その順番を音楽チームが整理してくれている感じです。僕が前のめりになるのを、セーブしてくれているというか(笑)。

ーー今回の曲の歌詞から映像までを見ると、一つの物語になっているような感じがしたのですが、制作はどのように進めていったのでしょうか?
物語性のあるファンタジー的な作品では、ベースを作っていただく方がすごく大事になるので、そういう世界観を持っている方にお願いしたかったんです。その中でもeddaさんは、自分で作詞・作曲をされていて、歌ってもいる。曲をたくさん聴かせていただいたところ、すごく独特の世界観で、1曲の中に1冊の“本”があるんですよね。絵本の世界に飛び込むような空気を作ってくれる素敵な曲だったので、ぜひお願いをしたいなと。そうした経緯の中でeddaさんにご相談をしたら、快く引き受けてくださったという感じです(笑)。eddaさんもすごく気合いを入れて作ってくれている感じがあったので、曲を受け取ったときは「完璧!」って思いました。「これだ!」って。世界観も想像できるというか。登場人物が浮かんだんですよね。だからこそ、今回から始まるテーマに本当にピッタリだったし、雰囲気を変えるという意味では大成功だったのではないかと思います。

ーーまずは曲作りから始めたということですが、eddaさんに具体的なオーダーはされたのですか?
しました。もともと世界観を持たれている方なので、余計なことは言わないほうがいいとは思ったんです。なので、「声の魔法」というか、声を重視した物語を作ってほしいということをお願いしました。当日レコーディングにも来てくださったんですけど、そこではめちゃめちゃ話しましたね(笑)。レコーディング前に1時間くらいずっとしゃべっていた気がします。

ーーそれは歌詞の解釈的なお話ですか?
そうですね。もはやレコーディングというより、アフレコ前の演出のすり合わせのような感じだったので、今までのレコーディングにはなかったことです。気持ちの部分でのすり合わせでは話が弾んだので、世界観作りでは、リンクするものがあるんだなと思いました。このシーンでは、この子はこういう気持ちでいるとか、お芝居のお話をしている感じだったので、僕としてもすごくのめり込んでできました。多分eddaさんも、曲の中に飛び込むタイプの人なんだと思います。こういう素敵な方だから、素敵な曲が作れるんだなと思ったし「曲の生みの親ってすごいんだな」「一つの世界をこの人が作り上げているんだな」と感じたので、話していてワクワクしました。

ーー歌詞の解釈の部分では、一致していたのですか?
けっこう同じ意見が多かったので、そこからどう気持ちを込めたらいいのか、という部分を重点的に話しました。この曲の主人公は、ナンバー16というロボットで、16がいろいろなものと出会って、自分という人生を謳歌する物語なんです。で、ナンバー17に「こんな世界だったよ」って伝える。だから性格をどうしようかというのは考えて……。登場するのが、ナンバー15・16・17だから、それぞれ性格を変えたいという話をしたんです。同じだと繋がっていく感じがあまりしないから、15から受け継いだもの、プラス自分が見つけたものを17に繋げる。そういったポジティブな世界を作りたいということで、性格をどう歌で表現したらいいのかを考えました。ただこれが難しくて……。ほぼほぼ人間なのだけれど、ロボットだから、まだまだ心は無機質で……。歌詞にカギカッコで表記されている部分があるので、そこはナンバー15と16で性格を変えられたらいいなと思いました。曲の中で淡々と歌っていた部分と感情が乗ってくる後半部分での息の感じ、必死な感じ、脈動しているところを、いやらしくない程度に入れていきたいなと考えたんです。

ーーたしかに、この言葉を言っている人が違うから微妙に違うんですよね。
そうなんです。そういうところは、声優だからできる部分でもあるのかなって。やり過ぎるとキャラクターソングになってしまうので、山下大輝の楽曲という部分を踏まえてバランスは考えるんですけど。

ーー表現の部分では、驚かれたのかなと思ったのですが、レコーディング中はいかがでした?
実はあまりミキサールームでの話は伝わってこなかったんです。ただ、感情部分に関して、すごく見てくださっている感じはありました。だから本当に、アフレコでディレクションをしてくださる音響監督みたいでした(笑)。あとはブレスの位置の指示とか……。ここは一息で言ったほうがエモいと思いますなどアドバイスいただきました。

ーーちなみに世界観も決まっていたのですか?
人類がほぼほぼいなくなった未来ということになっています。荒廃してしまった世界の中で、人間を知らないこの子たちが、人間が生きていたであろう場所を巡り、人間ってすごく温かいものだったんだということを知っていく。未来で、こういうことになってしまったらという、空虚の中のちょっとした愛みたいな世界観です。

ーーアレンジはストリングスも入れつつ、ノイズっぽい音も入れていたので、そのあたりも世界観に合っていますね。
編曲の湯浅篤さんがめちゃめちゃこだわられる方なんです! 本当にパーフェクトを求める方で、どんどんこうしたいというのが生まれるんでしょうね。ノイズなどの案も、後からアレンジしてくださったと思うし、そういう部分は多いと思います。最初のデモからかなり変わった印象で、ギリギリまで出来上がりをこだわられていた印象があります。

1stライブはラフな感じで
自分が楽しめるものにしたい


ーーMVは、イラストレーターの方から探されたのでしょうか?
MVではかもみらさんに絵を描いていただいたのですが、アーティスト活動をするようになってツイッターで自分の歌に合いそうな人を密かにチェックしていて、この「ヒトコキュウノ」は、かもみらさんの描く漫画の世界観にピッタリだなと思って。かわいらしい絵柄の中に潜む生々しいリアルさ、現実的なシビアさもマッチしていて素敵だなと思い、オファーをさせていただきました。

ーー映像は曲を作り終わってから制作にはいるんですか?
そうです。完全にできあがってから、その世界観で映像は作っていただきました。

ーーかもみらさんは、かわいらしい部分と、リアルになるところの両方が見られるように練られていましたね。
かもみらさんって、そのギャップをすごく上手く表現されるんですよ。ツイッターを見るとデフォルメキャラクターがたくさん出てくるんですけど、実は描き込むリアルな絵も得意な方で、ジャケットは、そちらのほうでお願いしました。この世界をすごく素敵に表現してくださったと思います。

ーー打ち合わせをしてオーダーしたのですか?
はい。キャラデザも「中性的な顔立ちにしたい」とか。男の子でも女の子でもないように見せたかったんです。あと目も一緒なんだけど虚ろにしたいとか。心臓にはハートを埋め込んで、それが満タンになると死んじゃうという設定も作ったり。

ーーあれは、死んじゃうんですね!
そうなんです。人間として、人生を全うしたという証拠にしたかったんです。あなたの人生は素敵なもので満たされた、これがあなたの人生だったんだよって。声を伝えるためだけに生み出されたものなんですけど、隠れたテーマとして「あなたはあなただけの人生を歩んでほしい」という制作者の願いが隠れているんです。それをあのハートで表現しています。本当に幸せだったあなただけの人生をゴールするんだよという温かいテーマを、空虚な世界観の裏で作りたくて、ここはゴリ押ししました(笑)。

ーーそれはうれしいことだけでなく、悲しいことも含めての感情なのですか?
そうです。いろんな感情というものを手に入れて、自分というものが完成していく感じです。ナンバー16ってこういう性格で、こういうことに悲しんで、こういうものに喜ぶ。16だけの気持ちが満たされて人間として寿命を迎えてほしいんです。そういう願いを込めたので、本当に気合いが入っているんですよ(笑)。

ーーえむめろさんは前回のアクションから引き続き、動画編集を担当しています。
文字の入れ方とか演出の仕方が素敵だなと思うし、いろんな経験をされているから、信頼できるんです。かもみらさんが漫画を得意とされているので、その得意分野で作ってほしいというのがあったから、かもみらさんの漫画をどう動画にしてくれるのか、でした。曲の歌詞だけでなく、かもみらさんがこの世界観をどう捉えているのか、もう一つの視点でも見ることができるから、これも違った面白さだと思います。なので、せっかくなので漫画も今後見せられたらいいなと思っています。物語がしっかりとできているので、そうやって別の展開も考えられるし、もしかしたら、この話の前や後でも、物語を作れるかもしれない。

ーー続編や前日譚ですね。世界観がしっかりできていれば、いくらでも広げられますからね。
いろんな人の力で、めちゃめちゃ密度のある曲に仕上がったし、制作もめちゃめちゃ楽しかったです。ここまで力を込めて前のめりに作れたことがうれしいですし、ものづくりは素敵なことだなと思いました。

ーー最後に、6月17日に『1st LIVE 2023 “from here”』が開催されます。意気込みをお願いします。
2021年に1st EP「hear me?」を出して、22年に「キャンドル」「アクション」というデジタルシングルを出し、23年に1st アルバム『from here』を出したので、2年越しの1stライブなんです。だからちょっと怖い(笑)。どうしたらいいのか迷っています。「ライブってどうやるの?」っていう。「声出しってどうやるんだっけ?」「今回は生バンドだけど、イヤモニも慣れないと」とか。でも1stライブだから、形もみんなと一緒に作っていけたらいいのかなって、気持ち的にはラフな感じでいけたらいいなと思っています。緊張していてもしょうがないし、自分が楽しまなければ仕方がないので、自分が楽しみつつ、みんなが楽しめたらいいですね。あ、でも「Hello」という曲の〈Hello Hello Hello〉は、みんなに言ってほしいな~。アットホームだけど、初めての人にも優しい感じのライブになればいいなと思っています。タイトル通り『from here』のライブなので、ここからもう一歩先に進むという意味も込められたライブになると思います。コロナ禍きっかけで、エールというテーマが始まったので、そこから先へ踏み出すいいタイミングになると思います!

取材・文/塚越淳一

【プロフィール】
やましただいき●9月7日生まれ。アーツビジョン所属。主な出演作はTVアニメ『弱虫ペダル』(小野田坂道)、『僕のヒーローアカデミア』(緑谷出久)、『ポケットモンスター』(ゴウ)、『ダンス・ダンス・ダンスール』(村尾潤平)、『バクテン!!』(吾妻俊介)、『鬼滅の刃』(愈史郎)、『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』(ナランチャ・ギルガ)、『うたの☆プリンスさまっ♪シリーズ』(天草シオン)ほか。

【INFORMATION】
配信シングル「ヒトコキュウノ」
配信日:2023年6月14日(水)
作詞・作曲:edda
編曲:湯浅 篤
ジャケットイラスト:かもみら
各種音楽配信サービスにて好評配信中!
https://A-Sketch-Inc.lnk.to/Daiki_Yamashita_Hitokokyuuno

<数量限定シングルCD「ヒトコキュウノ」>
収録曲:「ヒトコキュウノ」
仕様:紙ジャケ(予定)
価格:¥1,320 (税込)/¥1,200(税抜)
先行販売:1st LIVE 2023“from here”会場で数量限定販売
受注期間:6月19日(月)18:00〜7月2日(日)23:59
「DAIKING」会員限定購入特典:「ヒトコキュウノ」描き下ろしステッカー1枚
受注申込はこちら:https://official-goods-store.jp/yamashitadaiki/

公式HP:https://yamashitadaiki.com/
MEMBER’S CLUB「DAIKING」:https://daiking.yamashitadaiki.com
山下大輝 MUSIC STAFF Twitter:https://mobile.twitter.com/daiking_staff

■山下大輝さんサイン色紙プレゼントのお知らせ

山下大輝さんサイン色紙を、seigura.com読者1名様にプレゼント。下記の応募方法をご確認のうえ、ご応募ください。
●応募期間:6月16日(金)~6月23日(金)23時59分まで
●応募方法:『声優グランプリ』公式Twitterをフォローし、対象のツイートを「インタビューの感想」と共にリツイート(当該ツイートは6月16日19時頃の発信となります)。
●『声優グランプリ』公式Twitter:@seigura ※当選者にのみ、応募で利用されたTwitterアカウントへDMにて当選通知等を送信いたします。

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