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【ライブレポート】好きな曲を好きなように! バイオリンも加わった豪華な“一人カラオケ”「第四回 雨宮天 音楽で彩るリサイタル」【独自取材】

歌謡曲をこよなく愛する雨宮天さんが、自分の好きな歌謡曲をひたすら歌うだけという異色のライブイベント『雨宮天 音楽で彩るリサイタル』。2年に一度の開催も、ついに第四回を迎えました。より大人になった雨宮さんが見せる、歌謡曲の魅惑の世界。ピアノとバイオリンの生演奏に乗せて、素敵な歌声を聴かせてくれました。

連休最後の雨の日に、しっとりとした歌謡曲の世界に浸る

2017年に第一回が開催されて以来、雨宮さんの歌謡曲好きはファンの間のみならず、広く知られるようになってきた。ラジオの特番で歌謡曲愛を語り、歌謡曲のカバーアルバムをリリースし、ついに今年3月には全曲を自ら作詞・作曲したEP『雨宮天作品集1-導火線-』を発表し、歌謡曲への最大限のリスペクトを披露するに至った。歌謡曲好きとして、ますます円熟味を増してきた雨宮さんが贈る第四回のリサイタル、ここでは5月7日に行われた東京公演・昼の部の模様をお伝えする。



晴天に恵まれる日の多かった今年のゴールデンウイークだったが、最終日となるこの日の東京はあいにくの雨模様。大阪公演が行われた4月29日も雨で、ピンポイントで雨の日にリサイタルが開催される辺り、デビュー当時から雨女と噂される雨宮さんらしい巡り合わせといえるだろう。しかし、しっとりとした雨が降る日にこそ、歌謡曲は聴きたくなるというもの。そういう意味では、雨宮さんは逆に“もっている”のかもしれない。そんな今回のリサイタルは、ちあきなおみの「喝采」で幕を開ける。歌い出しの「いつものように幕が開き」という歌詞が有名なこの曲はまさにオープニングナンバーにふさわしく、荒幡亮平さんのピアノが奏でる音と雨宮さんの芯のある歌声が聴く者を魅了し、歌謡曲の世界へといざなっていく。すると2曲目の「お祭りマンボ」(美空ひばり)でガラッと雰囲気が変わり、会場はにぎやかなお祭りムードに。この振り幅の広さもまた、歌謡曲の面白さだ。

会場に大勢集まったファンを目の前に「私はみんなのことなんて気にせずに、ひたすら自分の好きな曲を好きなように歌って、布教していく回になりますので、どうぞよろしくお願いします」と、改めてリサイタルの趣旨を説明する雨宮さん。このくだりも4回目ですっかり恒例だが、ファンは「ひたすら自分の好きな曲を好きなように歌う」雨宮さんを見たくて来ているので、毎回非常に満足度の高いイベントとなっている。リアルタイムで聴いた世代でなくても、名曲と呼ばれる楽曲たちはどこかできっと聴いたことがあるはず。3曲目の「初恋」(村下孝蔵)もまさしく永遠に歌い継がれる青春ソングで、しっかりと想いを込めて歌う雨宮さんの歌声が心に刺さった人も多かったのではないだろうか。この曲と4曲目の「君は薔薇より美しい」が今回のリサイタルでは数少ない男性ボーカルの楽曲で、特に「君は薔薇より美しい」は原曲を歌った布施明の声量豊かな歌声が聴きどころとなっているが、雨宮さんもオリジナルに負けじと伸びやかな歌声を響かせていた。

ずっと人の心を動かし続けている曲たちをカバーできることの幸せ

中盤からはバイオリン奏者のミ子さんが合流し、雨宮さんとピアノ+バイオリンの3人編成に。雨宮さんの一人カラオケイベントと銘打って始まり、最初は音源のみをバックに歌ってきたリサイタルにも仲間が増えて、雨宮さんも「一人カラオケというには、あまりに豪華なのでは……?」と感慨深げな様子。それでもあくまで“一人カラオケ”を貫くということで、5曲目は山口百恵の「イミテイション・ゴールド」をクールに歌い上げる。ここで衣装チェンジの時間となり、雨宮さんが着替えている間はステージに残った荒幡さんとミ子さんが「火花」や「ロンリーナイト・ディスコティック」など雨宮さんが作詞・作曲した楽曲をメドレーで演奏して会場を楽しませる。そして大胆にデコルテの開いた黒のドレスを身にまとって舞台に戻ってきた雨宮さんが歌ったのは、中森明菜の「難破船」。黒のドレスも「難破船」のイメージに合わせて用意したものだというから、かなりの熱の入りようだ。続けて大橋純子の「シルエット・ロマンス」を歌い、大人な雰囲気の3曲を並べたブロックを締めくくる。歌い終えたところで一息つき、しみじみと「いい曲……」とつぶやく雨宮さん。「本番で歌いながら『なんていい曲だろう!』と思えるって、すごいですよね。世の中に出たのは70年代、80年代とかだから、そこからずっと人の心を動かし続けていると思うと、こうやってカバーさせてもらえて幸せだなと思います」と声を弾ませて語った。

ここで『雨宮天作品集1-導火線-』より、公演ごとの回替わり曲として「初紅葉」を初披露。これは雨宮さんが初めて挑戦した演歌で、この日が初の観客の前でのパフォーマンスにもかかわらず堂々とした立ち振る舞いを見せていた。再びカバー曲に戻り、次に歌うのは松田聖子の「あなたに逢いたくて ~Missing You~」。原曲は1996年リリースとリサイタルのなかでは比較的新しいこの曲は伴奏の音源なしで、ピアノとバイオリンの純然たる生演奏で歌唱する。その優しい演奏と歌声が、じんわりと心にしみこんできた。
ステージも終盤に近づき、東京公演限定曲として東京の地名が入った「六本木心中」(アン・ルイス)を熱唱。冒頭の「ワン、ツー、スリー、フォー!」の掛け声もオリジナルへのリスペクトだ。その熱さを保ったまま、中原めいこの「君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。」で会場のクラップと共に楽しく盛り上がり、最後は『雨宮天作品集1 -導火線-』のリード曲「TRIGGER」でフィナーレを迎える。

歌謡曲カバーアルバムの第2弾『COVERSII -Sora Amamiya favorite songs-』もリリース、「ぜひこれからもこの活動を応援してもらって、少しでも長く続けていけたらうれしいなと思います」と意気込みを見せる雨宮さん。その歌謡曲愛がここからどこまで広がっていくのか、楽しみに見守っていきたい。

取材・文/仲上佳克

◇SET LIST◇
01. 喝采
02. お祭りマンボ
03. 初恋
04. 君は薔薇より美しい
05. イミテイション・ゴールド
06. 難破船
07. シルエット・ロマンス
08. 初紅葉
09. あなたに逢いたくて ~Missing You~
10. 六本木心中
11. 君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。
12. TRIGGER

Profile
雨宮 天●あまみやそら
あまみやそら●8月28日生まれ。ミュージックレイン所属。主な出演作はアニメ『スパイ教室』(リリィ)、『久保さんは僕を許さない』(久保沙貴)、『よふかしのうた』(七草ナズナ)、『彼女、お借りします』(水原千鶴)ほか。

ライブでも披露した楽曲が多数収録!
『COVERSII -Sora Amamiya favorite songs-』
好評発売中
SMCL 822 3,300円(税込)
<収録曲>
01.君は薔薇より美しい (オリジナル:布施明)
02.イミテイション・ゴールド (オリジナル:山口百恵)
03.ウイスキーが、お好きでしょ (オリジナル:石川さゆり)
04.卒業写真(オリジナル:荒井由実)
05.想い出がいっぱい(オリジナル:H2O)
06.ダンシング・ヒーロー(Eat You Up)(オリジナル:荻野目洋子)
07.難破船(オリジナル:中森明菜)
08.あなたに逢いたくて ~Missing you~(オリジナル:松田聖子)
09.喝采(オリジナル:ちあきなおみ)
10.君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。(オリジナル:中原めいこ)
11.ラヴ・イズ・オーヴァー(オリジナル:欧陽菲菲)

◇<Information>
雨宮天 公式Twitter  https://twitter.com/Amamiyastaff
雨宮天 公式サイト https://www.amamiyasora.jp/
雨宮天 公式YouTubeチャンネル https://www.youtube.com/@Sora-Amamiya/featured
雨宮天 オフィシャルブログ「天模様」 https://ameblo.jp/amamiyasorablog/