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『死霊館』『アナベル』シリーズ最新作『死霊館のシスター 呪いの秘密』 ソフィー役・佐倉綾音さんインタビュー

『死霊館のシスター 呪いの秘密』 ソフィー役・佐倉綾音 インタビュー

ヨーロッパで実際にあった心霊現象を映画化した『死霊館』、『アナベル』シリーズ。その最新作『死霊館のシスター 呪いの秘密』が現在公開中! メインキャラクターのひとり、ソフィーを演じる佐倉綾音さんに本作の魅力、そしてホラー作品の楽しみ方をうかがった。

――まずは、出演オファーを受けたときの話をお聞かせいただけますか?

ホラー作品って、人によって得手・不得手がありますよね。「佐倉さんはホラーは大丈夫でしたっけ?」という話から始まりまして。実は知り合いから「私の一番好きなホラー作品なんだよね」とおすすめされて、前作(2018年公開)の『死霊館のシスター』を観た記憶があったので、これも何かの縁だと思い「受けさせてください」とお願いしました。

――『死霊館のシスター』を観ていかがでした?

実は私、ホラーはあまり得意ではなくて……。でも、日本の作品よりは海外の作品のほうがまだ耐えられるんです。
私の場合、「自分の身にも起こるかもしれないリアルな現象」が恐怖の対象であり、「こんなことはさすがに起こらないだろう」というようなものはその対象ではない、と思うようにしていて。海外のホラー映画は後者にあたるんですね。

鑑賞後に独りになったとき、自分の平和を阻害する(恐怖を感じる)最たる要因は「想像力をふくらませること」だと思うんです。現実と物語をしっかり切り離せる人は、ホラー作品を楽しむことができるんだろうな……、と分析できました(笑)。

――収録を終えての感想をお聞かせください。

吹き替えを担当して、いつも思うのは「やっぱり難しい」です。本国で一度正解が出ているところに、私の解釈で演技を重ねる、というのはとにかく「難しい」に尽きます。いまだに「全部自分に任せてください」と言えないのはそういうところもあるんですね。だからこそ、顔出しで演技されている俳優さんへのリスペクトも募るんです。

――アニメのアフレコと吹き替えで、何か違うところはありますか?

生身の人間が動き回っているところに声をあてるのは、自分のなかではかなりプレッシャーが大きくて。技術の面でも感情の面でも気を遣いながら演じています。
実は私がキャストのなかで一番最初にアフレコしたんです。外画で活躍されている方が多くキャスティングされていて、あとでみなさんの演技を聴いたら、想像を超えて素敵な声が入っていたので、うれしい気持ちになりました。

――事前準備に関してはどのような違いがあるのでしょう?

今回のようなホラー映画の準備で、大きく違うのは「日が出ているうちに映像を観ること」ですね。万が一眠れなくなったらイヤだな、というのがありますので(笑)。
また、外画は画面に文字がかかっていることもあるので、現場で細かい部分をサポートしていただきながら作業を進めていくことがあります。なので、事前にあまり演技を固めすぎず、本番に臨むことも多いですね。

――ソフィーを演じるうえで、気を付けたところを教えてください。

彼女は、学校で目立たないタイプの女の子なので、マイクの精度を信じて声を潜めるところは潜めるように、繊細な気持ちで演じました。お芝居には「わかりやすく伝える、近道のようなお芝居」や「観る・聴く人に想像の余地を残すお芝居」があると思うのですが、今回は後者を意識して収録に臨みました。

自然体で演じることができたので「これ以上のアプローチ方法はないだろう」というくらい自信を持てました。最初に声を入れる私がブレてしまうと、後からアフレコするキャストさんにも影響が出てしまうかもしれないですし、その点でいうとよかったなと。
また、ソフィーが感情を解放するシーンが続く場面があるのですが、彼女にとってはそのシーンに至るまでに数時間経っているのに、私にとっては数分で気持ちの切り替えをしなければならなかったので、ちょっと苦戦しました。シームレスに感情がつながるように意識して最後まで演じ切りました。

――演じていて楽しかったことは?

大きい声で叫んだり逃げ惑ったりする作品はあまりないので、楽しく演じさせていただきました。ソフィーは叫ぶことで怖さを発散していると思いましたので「手加減せずに演じてあげよう」と。

――本作ではアクションシーンもありますが、演じる上で意識したことはありますか?

登場人物たちには不測の事態が起きていて、精神的にも身体的にもダメージを受けているんです。一方、私は小さいブースのなかでマイクから顔を外さず、臨場感ある演技をしなければならないんです。それがとても難しいことだというのを改めて感じました。
声優の仕事をしていると、同じようなシチュエーションでお仕事することはあるのですが、アクションシーンで身体的なプレッシャーをしっかり表現することにはずっと難しさを感じています。

――吹き替え作品の難しさはどこにあると思いますか?

「ボイステスト」と呼ばれるテストが行なわれるくらい、元のキャストと声が似ていることが重視される現場があるんです。
身体と表情の表現力で、全身で成立しているところもあると思うのですが、そこの溝を埋めるのがとても難しいんです。「声のトーンが似ているのはいいけれど、年齢感は幼くしてほしい」というディレクションをいただくこともありますし、その都度スタッフさんと方向性を決めることが多いですね。

――吹き替え版ならではの見どころを教えてください。

もし顔を背けたくなるような怖いシーンがあっても、吹き替えだったら声を聴いて物語についてこられるのではないでしょうか。また、外画になじみがない人にとっての「間口」になると思いますし、まだ文字が読めない小さい子にも作品を楽しんでもらえる手助けになるのではないかと。

――佐倉さんはホラー作品があまり得意ではないとのことですが「そんな私でも楽しめる!」という本作のPRポイントがあればお願いします。

本作は恐怖を感じるシーンがとてもわかりやすいんですね。そういう意味ではホラー初心者にもおススメなんじゃないかと思います。また、幻想的な風景も魅力なので、ファンタジー作品が好きな方も楽しんでもらえるのではないでしょうか?
私たちが求めるエンターテイメントとして「普段起こりえないことを追体験できる」というのがあると思うのですが、その最たるものがホラーを始めとした、現実離れした出来事だと思います。
好きなものばかり摂取していてもつまらないかもしれないですし、ホラーを苦手に感じている人は、取り敢えず触れてみるのもいいのではないでしょうか?

――最後に、メッセージをお願いします。

私の演技がホラー作品に触れるひとつのきっかけになれば光栄です。たくさん叫んだので、みなさんも同じ気持ちになって、心のなかで叫んでもらえたらうれしいですね。そして『死霊館』、『アナベル』シリーズにも興味を持っていただければ幸いです。よろしくお願いします!

ヘアメイク:福田まい(addmix BG)

『死霊館のシスター 呪いの秘密』

11月17日(金)よりプレミア配信(吹替版・字幕版)
発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント

公式サイト: https://wwws.warnerbros.co.jp/shiryoukan-himitsu/home_entertainment.html

The Nun II © 2023 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.

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