サイトアイコン seigura.com

速水奨さんが“ある画商”となってあなたを絵画の世界へ。「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」が1月27日より開催

速水奨

1月27日(土)~4月7日(日)に東京都美術館 にて「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」が開催。第1回印象派展から150周年を迎える2024年、西洋美術の伝統を覆した印象派の革新性とその広がり、とりわけアメリカ各地で展開した印象派の諸相に注目する本展の音声ガイド ナレーターを速水奨さんが務めることが決定。“ある画商”に扮した速水さんとともにギャラリーをめぐるという内容の音声ガイドは、展示されている名だたる画家たちの作品をさらに深く知ることができる。また、オフィシャルサポーターを務める鈴鹿央士さんによる音声ガイドもスペシャルトラックとして収録。絵画の世界に浸ることができる音声ガイドをぜひ体験してみてほしい。

そんな音声ガイドナレーターを務める速水奨さんに、本展のみどころや、音声ガイド収録への思い、印象派について語っていただきました。

音声ガイドナレーター:速水奨さんインタビュー

――音声ガイドを収録するうえで速水さんが意識されていることはどんなことですか?
今回の音声ガイドは、“ある画商”というキャラクターで、ナレーションではなくて、画商の知識や経験をもとに絵をご覧になる方をエスコートする内容です。ですから一番は、歩みを止めて絵をご覧になる方の邪魔にならないように、情報をお伝えするということです。絵を見るアクションに、そっと寄り添えるようなものにしたい。主役ではないので、知識をお伝えして見る方の手助けをできればというスタンスです。

――印象派について、速水さんはどんなイメージをお持ちでしたか?
印象派が誕生してから150年なんですよね。僕が学生時代に美術の授業で習った時には、すごく過去のものだと思っていたんですよ。ところが、実際はたった150年前の美術界の動きだったというところにとても、親近感が湧きました。モネの《睡蓮》に代表される淡いタッチと、ぼかした輪郭。何が人々を引き付けるんだろうかと当時は不思議に思っていたんです、実は。もっと、レンブラントの絵のような、陰影のはっきりしたものとか。そういった時代のもののほうが絵としては、クオリティが高いのかなって思っていたんです。美術の知識がほとんどなかったもので……。

原田マハさんの本をよく読むのですが、その中に印象派の人たちや、ピカソやゴッホなどいろんな時代の美術のお話が出てくるんです。少し前から本を通じて少し画家と身近になったところに、このお話が来まして、これはぜひやらせていただきたいと思いました。

――音声ガイド ナレーターを務められて、印象派に対するイメージに変化はありましたか?
そうですね。印象派は、画家たちがまったく新しいものをゼロから生み出したわけではなくて、今までの技法と違ったものをどうしたら出せるんだろうと考え、そこから派生していったものなんです。フレッシュな、若いエネルギーが集まって、それこそ一つのコロニーみたいな状態で芸術を生み出していったというのが素晴らしい。絵って、止まったものだという感覚があったんです。だけど実際、この絵に込められた思いっていうのは、すごく動いていて、激しい。人間の感情が正しく込められているんだなっていうのが今回、お話を語るにあたって、率直に感じたことです。

――音声ガイド ナレーター就任時のコメントで、「伝統を覆した革新の潮流は大西洋を越え、アメリカへ。ロマンがありますよね」と、仰ってましたが、絵の持つパワーってすごいんですね。
時代というのもあると思います。パリ万博の頃、日本も江戸から明治になったり、産業革命も盛んになったり。世界中のいろんなあらゆるものが変わっていくということは、人の気持ちも変わっていく。そこで生み出された印象派というのが、時代を象徴して、その時の未来を予見したようなものだったんじゃないかと思います。

―展示作品のほとんどが日本初上陸とのことですが、速水さんが特に気になった作品は?
みなさんご存知のクロード・モネ。モネが日本通で、自宅に日本庭園を造って、太鼓橋までかけて、毎日水面を見つめながら、250点にのぼる睡蓮を描いたというのもすばらしい話だし、ポール・シニャックの点描、この世界も素晴らしいです。点を描く際、パレットの中で色を混ぜるのではなくて、キャンバスに点として捉えていって、人の眼が、色を混ぜるという手法らしいんです。見る人間が色を混ぜていく。見る人間の感覚によって絵が完成するのです。

――では、本展のみどころは?
フランスで生まれた印象派が、アメリカでさらに広がっていって、アメリカの景色も描かれていくというところです。当時はアメリカから旅をするといったらヨーロッパへ行くしかなかったらしいんですよ。そこでアメリカの風景をもっと愛でようというキャンペーンがあって。「ザ・テン」と呼ばれるアメリカ印象派の創立メンバーが、グランドキャニオンやヨセミテ公園など、いろいろ描いていくという、すごく物語が広がっていく感じがします。チャイルド・ハッサムの絵は、印象派の手法をもちいて、摩天楼が描かれていたりするんですけど、不思議な感じです。他にも絵の中の窓の外にエンパイアステートビルが描かれている絵があったり。音声ガイドでも注目ポイントをご紹介しています。フランスからアメリカへ旅をしたような印象を持たれるんじゃないかなという気がしますね。

――速水さんご自身はプライベートで美術館や展示会には足を運ばれることはありますか?
フラッと行くことはあります。海外ではイタリアに行った時にも訪れました。フィレンツェやベネチアでも。「教科書に載っている絵がここにあるんだ」って、単純だけど感動しましたね。あとは「最後の晩餐」も見ましたし。システィーナ礼拝堂の天井画なども見に行きました。本物を見るって、すごいことなんだなって思います。知識がなくてもそこに触れるだけで、高揚する気持ちと、逆に落ち着く気持ちというのかな、不思議な感覚を味わえますよね。

――芸術作品に限らず、速水さんがコレクションしているものはありますか?
コレクションといえるほどではないのですが、とても気に入った絵が何点かありまして、うちに飾ってあります。大きなものだと、エルテの「スターフィッシュ」という絵で、20世紀に購入したものです。他にも中国に行った時に買った絵などを飾っています。

――最後に読者の方へ、メッセージをお願いします。
「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」は、ウスター美術館所蔵のものが初上陸するということで、僕も音声ガイドをしながら、これは本当に観たいという作品がいっぱいあります。“ある画商”というキャラクターとしてあなたをエスコートしますので、ぜひ、美術館に足を運んでください。

開催概要

「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」

オフィシャルサポーター:鈴鹿央士(スペシャルトラック収録)
音声ガイドナレーター:速水奨
※八王子会場での音声ガイド貸出しは未定となっております

【日時】2024年1月27日(土)~4月7日(日)
【休室日】月曜日、2月13日(火) ※ただし2月12日(月・休)、3月11日(月)、3月25日(月)は開室
【会場】東京都美術館 東京都台東区上野公園8-36
【開室時間】9:30~17:30 ※金曜日は20:00まで、入室は閉室の30分前まで
【観覧料金(税込)】
・一般2200円(前売2,000円)
・大学生・専門学校生1,300円(前売1,100円)
・65歳以上1,500円(前売1,300円)
※高校生以下無料
※土曜・日曜・祝日及び4月2日(火)以降は日時指定予約制(当日空きがあれば入場可)

【公式HP】https://worcester2024.jp
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)