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【インタビュー】エレキギター演奏にも挑戦! 直田姫奈2ndシングル「My Truth」は”考察がはかどる楽曲”……!?

直田姫奈

今年の自身の誕生日にアーティストとしてソロデビューを果たした声優・直田姫奈さんが早くも2ndシングルをリリース。今作「My Truth」では、初のエレキギターや、アンニュイな歌い方にも挑戦。歌詞はデビュー曲「ラベンダー・ブルー」との色濃いつながりを感じさせるものとなっていますが、曲に込められた、その“真実”はいかに……?

初のワンマンライブで見えた新たな景色

──1月にアーティスト活動の発表があり、4月にデビューシングルのリリース、5月にはワンマンライブと怒涛の半年間だったのではないでしょうか。

怒涛の日々でした! 中でも大きな節目となったのが、5月4日のファーストライブ『Hina Suguta 1st LIVE -Sings-』(神奈川・SUPERNOVA KAWASAKIにて昼・夜2部制で開催)だったと思います。1月にデビューを発表してからは、そこに向かってとにかく走る!という半年間を過ごして。今回のライブでは「ラベンダー・ブルー」以外、ほぼ新曲という状態でした。用意していた楽曲たちは個性がバラバラだったので「大丈夫かな?」という不安もありましたが、自分が思っていた以上にみんなが音楽を楽しんでくれて「やってて良かった!」って。ようやく皆さんに「直田のアーティスト活動ってどんな感じなんだろう?」というのを音楽でもお伝えできましたし、これまで言えなかったこともお話しできたので、ちょっとスッキリしたところもあって(笑)。ライブが終わってからは「これからも一緒に音楽をやっていこうね」という堂々とした気持ちになれました。

──「直田のアーティスト活動ってどんな感じなんだろう?」というお言葉がありましたが、実際、言葉にしてみるとどのようなものだと考えられていますか?

うーん……なんでしょう。音楽って人によってさまざまな楽しみ方があると思うんです。たとえば、皆さんのスマートフォンで聴いてもらう音楽、MVと共に楽しむ音楽とか。私の場合は「ライブをして完成するんだな」と思う曲が多かったんです。自分の音楽はお客さんの声や反応を交えて、初めて完成するものなのかなと強く感じました。

──ライブを経て、直田さん自身気づかれたことだったんでしょうか?

そうです。声出しやペンライトの振り方、手拍子など、それぞれ皆さんがその場で思うがままに楽しんでくれて、それが形になっていて。そういう音楽活動を続けていけたらいいなという指標になりました。

──ライブ映像を拝見しましたが、皆さん初めて聴いたとは思えないようなリアクションでしたよね。

本当にすごくて! 昼公演を経て夜公演に来てくださる方もたくさんいましたが、とはいえまだ2回目じゃないですか(笑)。ファンの方たち同士が一致団結して「この曲はこの色を振りたい!」などと話し合ってくださったようで。皆さんも私のライブを成功させよう、盛り上げようと、まるでスタッフの一員かのように協力してくださっていて、そう思うと心が温まります。早くも次が楽しみな状態で……早くやりたいですね!

──まさにデビュー曲「ラベンダー・ブルー」も、ライブで育っていくような曲ですよね。そして、「ラベンダー・ブルー」とのつながりを感じる「My Truth」がリリースされます。

この曲単体でも感じるものがありますが、「ラベンダー・ブルー」と並べると、我ながらとんでもないものができた!と思っていました。実は音楽活動をするにあたって(レーベルの制作スタッフの)「どういう音楽をやりたいですか?」「どういう音楽が好きですか?」といお話をさせていただいていて。その中で「ストーリーがあるような、考察が捗るような曲も好きなんです」とお伝えしていたら、“3部作”として「My Truth」が完成して、私のもとに届きました。

──「ラベンダー・ブルー」と同じく、作詞を金子麻友美さんが、編曲をリアジュボーンの三人が手掛けられていて、作曲には、どちらの曲もリアジュボーンの面々が携わっています。もともと「ラベンダー・ブルー」とのつながりを意図して作られていたものだったのでしょうか?

実はもともと別々に作っていただいていた曲でした。「ラベンダー・ブルー」の歌詞が完成したあと、私の音楽制作を担当してくださっている井上プロデューサーが「新曲の歌詞を世界観的につなげてみようかな」と思ってくださったそうです。それで金子さんと相談してくださったそうで、続編として作ってくださいました。

──早くも「やりたい」とおっしゃっていた、ストーリーを感じるような曲が完成したんですね。

はい。それをずっと言いたかったんですが、「ラベンダー・ブルー」をリリースした直後は言えなかったので、ひたすら匂わせの状態になってしまって(笑)。「My Truth」をライブで披露したこともあって、少しずつ話せるようになったことも私としてはうれしいです。「ラベンダー・ブルー」も「My Truth」も、作詞が金子さんということで、なかには「これって、もしかして?」と思ってくださっていた方もいるようです。ついに「そうだよ~!」って言えます(笑)。

──そしてそのつながりが明らかになった今、双方の歌詞を読むとこの主人公に「果たして何があったんだ?」と。

そうなんですよ(笑)。すごく落差があるっていう。「ラベンダー・ブルー」は音楽だけで聴くとかわいらしく、ポップな印象なので、「My Truth」は一変してロックなナンバーに。歌詞も……ちょっとつらい感じなんですよね。

──そうですね。いろいろと想像が膨らむ歌詞で、「ラベンダー・ブルー」と「My Truth」、それぞれの時系列も気になるところです。

実は「My Truth」は「ラベンダー・ブルー」の過去を描いた曲なんです。「この曲を聴くと「ラベンダー・ブルー」の聴き方も変わってくるのかな?と思っています。でも「ラベンダー・ブルー」を知らなくても、共感できる歌詞なんじゃないかな?と。刺さる人には静かに刺さっていく曲になっているのかなって思いますね。たとえば、〈得た確信をミュートして〉という一節には、危うくて、脆い心の内が表れているように思います。かつ、信じたくないという心も表れている。「と、いうことは……?」と問いかけもしています。クイズ形式というか(笑)。

──こういう繊細な心模様に、直田さん自身も共感されるのでしょうか?

いや……私はそういうタイプではなく、白黒はっきりしています(笑)。でも、そういう思いを持っている人たちに触れてきたことはあるので、体験しなくても共感する部分はありますね。

──ではレコーディングでは、主人公を演じるような感覚もあるんでしょうか?

ありますね。初めてレコーディングしたのが「ラベンダー・ブルー」だったんです。それまで、キャラソンの経験はあったものの、単体で歌うことはほとんどなかったのでどうやって表現していいかわからず悩んでいました。でも「ラベンダー・ブルー」の主人公の女の子を演じるつもりで歌ったら、素直に歌うことができて。「My Truth」も同じように歌いつつも……真意が見えないような、アンニュイな雰囲気の入り組んだ感じの歌い方ができたらいいなと思って歌いました。

「ラベンダー・ブルー」と「My Truth」の“真実”

──そのアンニュイなバランスというのが、新たなエッセンスになっていますよね。

「My Truth」は弱くなりすぎず、でも強くもなってはいけない。単調には聴こえたくないけど、色をつけすぎたくもない。その塩梅がすごく難しかったですね。特にBメロはリズムも特徴的で。途切れさせたくないけど、ちゃんとリズムを刻みたくもない。まさに歌詞の〈枝分かれした感情線と どこにも着けない環状線〉という絶妙なバランスの感情を表現したいなと思っていました。挑戦ではあったんですけど、本番の前にキーチェックをさせてもらっていたこともあって、しっかり準備をして、レコーディングに挑むことができました。迷うことなく歌える環境に置かせてもらっています。

──普段はアコギのイメージでしたが、「My Truth」では直田さんのエレキギターも入っています。

プロデューサーと雑談している時に「弾いちゃう?」と(笑)。エレキギターもこの活動のために用意していただいて、本当にありがたいことです。レコーディングでもワクワクしてしまって(笑)。「My Truth」のテーマは“丁寧にリズムを刻もう”だったんです。もともと刻み(カッティング奏法)が好きなんですよ。だからひたすら楽しかったです。また「My Truth」は「ラベンダー・ブルー」やライブでもお世話になっているリアジュボーンさんが楽器も弾いてくださっています。プロのバンドの方と一緒に演奏するのは本当に貴重な経験です。足を引っ張らないように頑張りたいなと思っていました。

──イントロの部分もカッコいいですよね。

完璧に仕上げてくださっています。私も後から知ったのですが、イントロだけは作曲者でもある西川さん(リアジュボーン/Bs.)がガットギターで弾いてくださったそうです。

──これからのアーティスト活動の中で、この曲がどう育っていくのか楽しみですね。

この曲はまさに「ライブで完成したな」と感じた曲だったんです。コールをたくさん入れるような曲ではないですが、みんなが“聴く”体勢に入っていくような、世界観を一変させる力を持っている曲だと思います。ライブでは私と浅井さんのギターの音の違いも、もっとハッキリと感じ取ってもらえるんじゃないかなって。今YouTubeで公開しているライブ映像の「DAYDREAM BEAT」を観てもらえればわかるんですけれども、私と浅井さんのギターの音色はまったく違うんですよね。自分で弾いているということもあるかもしれないんですが、映像でも、今回の音源でも、ちょっと恥ずかしくなるくらい自分の音がはっきりと聴こえてきます。ぜひそこも楽しんでもらえたらうれしいです。

掴んだ充実感を未来の活動へつなげていく

──先ほど三部作という言葉がありました。今後はもう1曲、発表されると考えていいでしょうか?

はい! ライブに来てくださった方はご存じだとは思うのですが、ライブで披露した「ばっかだな」という曲が3部作の3曲目になり、それが時系列的には未来の話になります。この曲を聞くと、すべてがつながるんじゃないかなと。この「My Truth」で突然出てくる〈あの子〉は誰なのか、〈得た確信〉はなんだったのか……ああ、本当は話したいことがいっぱいあるんですが、ネタバレになってしまう!(笑)

──またお話をさせてもらうのを楽しみにしております(笑)。では直田さんが今後挑戦してみたいことはありますか?

いずれは、しっとりめの曲もトライしてみたいですね。この間のライブでコレサワさんの「たばこ」をカバーさせてもらったんです。1番は浅井さんのアコースティックギターと私のギターのみの伴奏で、そのあとにバンドがインして……と、クリックを使わずに呼吸を合わせていて、ものすごく緊張しました(笑)。そういう曲がほかに1曲くらいあっても良いのかなって。ライブではほかにもいろいろな曲に挑戦させてもらいましたが、まだまだ音楽のジャンルはたくさんあるので、皆さんが触れたことのないジャンルにも挑戦して、新しい音楽を知ってもらうきっかけを作りたいです。

──目指していきたいアーティスト像はあるのでしょうか?

ライブを経て、いろいろなことに気づくことができました。私はもともと緊張しいで、ステージに立つ前も、立ってからも、いつも緊張していたんです。でも今回のライブで初めて、1曲目を半分くらい歌ってから緊張がほどけていって、すごく楽しむことができました。もしかしたら、自分だけのアーティスト活動なら、緊張しないでステージを楽しめるのかなと。そして、ライブを通して見えた景色を次につなげていけるように“ライブで回収してライブで出していく”アーティストになっていきたいです。

──先ほど、曲の主人公になった気持ちで、というお話がありましたが、いずれはアーティスト・直田姫奈の目線で歌う日も来るのではないでしょうか。

あると思います。今は歌に登場してくる子になる、という気持ちで歌っていますけども、レコーディングを重ねていく中で、私自身として歌える日も来るのかなって思うとすごく楽しみです。「なんでもできる」って思えるのも、ソロのアーティスト活動だからこそ。今日はライブで披露していた「エヌ・オー」という曲のエレキギターの録音をしていて。制作の人たちも、それができる環境をつくってくださっていて「なんでもやってみなよ」と言ってくれるんです。なんでもトライして、皆さんとキャッチ・アンド・リリースしながら、お互いに高め合う活動ができたらと思っています。

取材・文/逆井マリ

直田姫奈 2nd Single「My Truth」
2024.07.24 Digital Release
COKM-45166
https://columbia.jp/artist-info/sugutahina/discography/COKM-45166.html

 

■プロフィール
直田 姫奈
すぐたひな●4月17日生まれ。兵庫県出身。東京俳優生活協同組合所属。主な出演作は、TVアニメ『その着せ替え人形は恋をする』(喜多川海夢)、『BanG Dream! Morfonication』(桐ヶ谷透子)、『ひとりぼっちの異世界攻略』(ギャルリーダー)ほか。