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上村祐翔演じる謎の青年「テイ」に迫る!朗読劇『TAMERS』に寄せる一年越しの想いとは

上村祐翔

9月4日(土)、5日(日)に東京・有楽町のよみうりホールにて開催される朗読劇『TAMERS』。近未来を舞台にしたサイバーサスペンスという本作は「異種格闘技型」と銘打たれ、様々なジャンルで活躍する出演者が集結した魅力作となっています。

その中の座長を務め、いまだ詳細が明かされないキャラクター・テイを演じるのは声優・上村祐翔。様々なキャラクターを演じてきた彼のさらなる挑戦となる朗読劇に対する想いを聞きました。

一年経った今だから増した深み

――まず、本作の出演が決まった時のお気持ちをお聞かせ頂けますか?本公演は、本当は一年前に開催されるはずのものでした。

一年半前最初に決まった時は、僕の普段させて頂いている声優のお仕事とはまた違った、映像や舞台で活躍している俳優さんや芸人さんだったり、色々なジャンルの方が集まっての朗読劇ということで、本当にワクワクしていたんですが、当時は自分自身がまだ朗読の経験があまり多くなかったんですね。それがこの一年くらいで舞台上に立って朗読する機会が増えたので、当初のテイマーズに臨む気持ちとしては「稽古で重ねたものをしっかり出せるようにしよう」という思いが強かったんです。改めて今回出演させて頂くにあたって、コロナ禍で自分の仕事も予定通りに行かないことも増えたりして、そんな中で自分の生活に立ち返って丁寧な時間を過ごしてみたり、仕事の中でやはり皆さんと長い間同じ時間を過ごせるというわけでもなくなったので、その分自分自身を見つめ直す時間がすごくあったんです。そういう中で朗読劇を行うという意味では、以前よりも、より深みを持たせて演じられるんじゃないかな、と。一年前に中止、延期になって「残念だな」と思って頂いた皆さんが「またやってくれるの、嬉しい」と感じて頂いているので、いい意味で期待を裏切ることができるような形で臨みたいなと思いました。

――共演者の皆さんについて、一年前からご一緒されている美山さん、シソンヌさん、そして今回の公演からご一緒される太田さん、中島さん、神楽さんという顔ぶれですが、皆さんについての印象などお聞かせください。

久しぶりにお会いした美山さんはなんかすごく大人っぽくなったなーと。美山さんも「朗読劇はやったことがない」と一年前はおっしゃっていたんですけど、今回までにいくつか経験をされたということで、自信というか、余裕みたいなものを感じて。それが演じるリエにすごくいい要素になってそうで、とても頼もしいなって思っています。
シソンヌさんはいい意味で何も変わっていない笑! お二人の独特なテンポ感であったり飄々としている感じは変わらないなーと思って。そこに奥深さというか、ミステリアスな部分をじろうさんにも長谷川さんにも感じるので、どういうものをセリフとして出してくださるんだろうという期待が高まりますね。
新しく参加されるお三方のうち、中島さんは、まずお会いした印象としては本当に爽やかで、僕にも「どういう風に朗読劇って臨めばいいですか?」など積極的に聞いてくださって。今の印象としては「爽やかなイケメン好青年」というイメージがあります。これからよりコミュニケーション取っていきたいですね!
太田さんはオンライン上で行った本読みの時に、役に合っているなとすごく思ったんですよね。鋭いシャープな印象を受けました。素直そうな方で、きっとお芝居が好きなんだろうな、と思ったので、稽古の中で掛け合いだったり同じ空間でお芝居できるのがとても楽しみです。
神楽さんはまろやかな雰囲気をお持ちの方なんですよ。舞台上で声を聴いて、いらっしゃるだけで空気が和むような方だなという印象でした。それぞれのキャラクターとキャストさんの良さが活きている感じがしているので、いいカンパニーになればいいなと思っています。

一番底知れないキャラクター・テイ

――今回の朗読劇は一見難しいテーマですよね。最初に台本をもらって読んだ時の印象は?

最初に読んだ時は結構話の内容ももちろんなんですが、各キャラクターが考えていることや裏にある思惑みたいなものを掴み取るのにすごく時間がかかった記憶があります。「TAMERS」というタイトルもどうしてこのタイトルになったのかから紐解いていかないと、裏に見えるものを理解して演じないと、これは難しいなという風に思ったんです。でも演出の伊藤靖朗さんとお話させてもらう機会が一年前も結構あって、その中で役柄を落とし込んでいきました。ただ、一年前のその当時の僕がテイを演じていたら相当難しかっただろうなとは思いますね。今こうして時間が経ったからこそ改めて、より理解が深まった状態で彼を演じられることができそうなので、当時そのまま公演できればよかったなと思いつつも、ある意味ありがたい充電期間というか、準備をさせて貰える期間ではあったなぁと。

――ちなみにサイバーサスペンス、近未来というテーマですが、ご自身は近未来お好きですか?

近未来よりは古風なものが好きで、本もできれば紙で読みたいタイプですね。声優業界でもA4サイズの紙台本の場合があるのですが、人によってはタブレット端末でサッサッサっと見ていらっしゃる方もいるんですけど、個人的にはそれができなくて。読んでる感じがしにくいので僕はやってないんですけど、「TAMERS」はもはやそれを凌駕した時代ですよね(笑)。なんか置いてかれちゃうな、って気もする。でも僕、子役時代に『A.I.』という映画の主人公のデイビッドくんの役を吹き替えさせて頂いたことがありまして。それもちょうど20XX年くらいの数十年後の未来でロボットが主流になっている時代の話だったので、そこでの経験を思い出しながらやっているところもあります。やっぱり難しさはあるので、サイバーサスペンスってすごいなと思います。アニメのお仕事でも宇宙とか完全な近未来の設定の話はありますが、本作は人間がサイバー空間に普通にいるといういう、自分たちが普通に生きている中での延長線上にありそうな世界というのは意外と触れる機会がないので、新鮮な気持ちで臨ませて頂いています。すごく面白いなと思います。

――「謎の青年」としか明かされていないテイ。どんな人物なんでしょうか?

登場人物の中では最もフラットな立場にいるので一番底知れない感じがあるのかな。基本的には誰よりも穏やかで、誰よりも冷静で、あんまり他の人に揺さぶられないタイプの青年なので、だからこそ「この人は何を考えているんだろう?」っていうのを皆さんに随所で読み取って頂くというか、疑問に感じていただければいいなと思っています。

――ミステリアスですね。役作りはかなり難しい印象ですが…?

リエとかショウカが感情をしっかり出すところでちょっとテイはどこか俯瞰している部分もあるんですよね。感情の振れ幅が大きくない分、細かいニュアンスをつけるのが難しいです。伊藤さんは一つ一つのワードの背景、イメージを大切に演出されるので、一単語に対する脳内のイメージを汲み取りながら演じる難しさがある。そのワードがポンと出た時に「あれ?」っていう違和感につながったりするので、あまりやりすぎるのもわざとらしくなることもあり、僕の今までの経験を試されている部分なのかなと感じたりしてます。

静かに見守るフラットな存在に

――1回目の稽古を終えての手応えはいかがですか?

僕の役柄は人を見ている場面が多くて、それに対応するっていうお芝居なので、そういう意味ではまだ1回目だし、初めましての方もいらっしゃる舞台上の稽古だったので、若干探ってる部分は皆さんそれぞれがあったと思います。僕は中心に立ってみなさんの様子を見ている分、よりそれは感じました。朗読劇というものに慣れていないというのもあるんですけど、お互いを見ないじゃないですか。演出上台本に目を落としてマイクに乗せて読む形なので、そこでの空気感というか、会話としてぶつけ合えているのかなというのがこれから改善の余地もたくさんあるし、きっと変わっていくものだろうなと思いました。

――今回座長として大切にしている点はありますか?

本作は群像劇に近いので、僕としてもテイに近い目線で見ているという感じです。この作品では、それぞれのキャラクターの思惑がどう動いているのかっていうのが垣間見えるようになっているので、多分キャストのみなさんは「ここではどういう気持ちなんだろう」「どういう思いでこの台詞を発したんだろう」って考えて、リハーサルを重ねるごとに、次に持っていく作業が大事になると思うんです。だからこそ「異種格闘技」なんだろうなって思っていて。戦いに近い部分があるというか。すり合わせて行きつつも、それぞれの持ってきたもののぶつけ合いが非常に大事になっていく予感がしてます。今回3公演やらせていただきますけど、全てが全て、全く同じ色にはならなそうです。それが、ちょっと面白そうだなと思っています。座長という意味では、僕もそんなに経験値積んでいるわけではないですけど、今回初めてというキャストさんもいらっしゃるので、少しでもサポートできればいいなと思いますし、僕としても普段関わらない皆さんとご一緒させて頂けるので、盗めるものは盗みつつ、本作を通して今後の役者活動に活きるような経験をお互いに刺激し合えればと思ってます。
安定感は出していたいというか、僕が真ん中にいることで皆さんが思い切ってお芝居に臨めるのが理想的な形なんだろうなと。衣装が僕は白なんです。白い衣装というのもフラットなイメージがあるし、リエとショウカは赤と青でコントラストがついていて、実際掛け合いもコントラストがあるので、そういう掛け合いの中で、静かに皆さんを見守れる立場でいたいなと思います。

――本作は生演奏とともに行われる朗読劇ですよね。稽古で生演奏を前に感じながらの朗読を体感されたと思うのですが、印象はいかがでしたか?

稽古終わりに音楽監督の土屋雄作さんとお話させて頂いたんですが、やっぱりこう、普通のBGM とはこちら側も聴いていて感覚が全然違って、目の前で演奏されているというアクションを見るだけで更に「やってやるぞ!」っていう気持ちにさせて貰えました。その音楽があるからこそお芝居も高まっていくし、お互いに高め合っていっている感じっていうのを稽古でもすごく感じられたので、稽古場から本番の読売ホールになるとより響き方とかも変わると思うので、お互いに役者側はお芝居で応援し、音楽で応援してもらうという形をどんどん作って行きたいと思わせていただきました。だから逆にいうと感情は乗りやすくなる分、あまりそこに揺さぶられすぎないよう、いい塩梅を目指したい。自分の気持ちいい部分と、音の気持ちいい部分が重なればいいなという、まさに生の醍醐味だなと体感しています。

いい意味で期待を裏切りたい

――朗読劇ならではの特別な思ってありますか?

声を届けるのがメインで、スタンドマイクに声をのせるアフレコに近い形だなと思っているので、会話する役者は舞台上では実際には横並び。お客さんに前に届けようという意識をしすぎると距離感やバランスが違うので、アフレコでやっているような取り組み方、アプローチで臨めればいいなと思いつつ、舞台上で演じるので、視覚的要素も強いんですよね。”この人、声だけで演じているな”と思われるような佇まいを大事に、衣装も素敵なので、形から役に入れるようにしたいなと思います。表の舞台や映像作品で活躍されているキャストの皆さんの中で、こういう点を率先して参考にしたいなと思います。

――コロナ禍での再公演で初演。少し特別な気持ちですか?

みなさんの前に立つ機会という意味ではコロナ以前とそこまで大きく変わらないんですが、やっぱり頭の片隅にこういう状況の中来てくださる方は、「県を跨ぐのは…」とかいろんなことを考えていらっしゃると思う。そういったいろんな考えを乗り越えてきてくださると思うので、観に来てよかったなと思って頂けるような公演にしたいなと思っています。そのためには、自分が作品に対してちゃんとした姿勢で臨むべきというかちゃんと理解した上で楽しめればいいなと思っています。それがきっとお客さんの「観に来て良かった」につながると思うので。本番までの作品作り、稽古など裏での皆さんとのコミュニケーションは大事にして行きたいと思っています。

――公演を楽しみにしているファンにメッセージをお願いします。

延期中止された「TAMERS」がこうして皆さんの応援もあって改めて公演できるということで本当に嬉しいなと思うと同時に、皆さんに素敵なものをお届けしたいという思いがどんどん高まってます。色々なことを考えながら今回観に来てくださると思いますので、そういう意味で期待を裏切ることのできるものを届けたいです。なかなかここまで分野の違う方々のお芝居を同じ空間で観られるっていうのはないことだと思うので、僕自身も楽しみですし、きっと皆さんもそこが一番楽しみなんじゃないかなと思うので、朗読劇という形ではありますが、そこに縛られない感じの皆さんの織りなす化学反応を楽しんでいただければ嬉しいです!

公演概要

異種格闘技型朗読劇『TAMERS(テイマーズ)』
日程:9月4日(土)16:00開場/17:00開演
9月5日(日)①11:30開場/12:30開演 ②15:30開場/16:30開演
会場:有楽町よみうりホール(東京都)
出演:上村祐翔 / 美山加恋 / シソンヌ/ 太田夢莉 / 中島健 / 神楽千歌
脚本・演出:伊藤靖朗
音楽監督:土屋雄作
主催・企画・制作吉本興業株式会社
チケット: 前売・当日ともに7,000円(税込)
FANYチケット:https://yoshimoto.funity.jp/kglist/?kw=TAMERS
チケットぴあ:Pコード:507-929
ローソンチケット:Lコード:34868
※出演者は変更する場合がございますので予めご了承ください。
※未就学児のご入場はご遠慮下さい。
※車椅子をご利用の方は、チケットご購入前に「FANYチケット予約問合せダイヤル」 までお問合せください。
チケットに関するお問い合わせ先:FANYチケット問合せダイヤル
電話番号:0570-550-100(10時~19時/年中無休)
公式Twitter @TAMERS_y