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【インタビュー】「守りには入りたくない」永塚拓馬のニューアルバム『Jewel』は、アイドルっぽさをとことん追求!【声グラweb限定】

昨年10月、華々しくアーティストデビューを飾った永塚拓馬が、11月9日に2nd mini Album『Jewel』をリリースする。本作は、自身の作詞曲を含む5曲をパッケージ。「守りには入りたくない、挑戦していきたい」と語っていた彼のマインドと、透明感あふれる歌声が美しく輝く。

 

感性をインプットした1年

──デビュー作『dance with me』から約1年。永塚さんにとってどのような1年でしたか?
自分自身を振り返る1年でした。インプットをたくさんした期間だったのかなと思います。作品の制作時間が伸びたことや、収録時間が(コロナ禍の関係で)短くなっていることなどから、自分自身と向き合う時間が増えたのかなと思っています。

──前回でお話をうかがった際に、作詞・作曲の音楽理論を勉強中と明かされていましたが、本作では作詞にも挑戦されています。この1年でさまざまなインプットがあったのだろうなと。
いろいろな方の詩集などを読んでいました。たとえば、最果タヒさんの『さっきまでは薔薇だったぼく』とか。美術館に通ったりもしましたね。美術であればなんでも好きですけど、特に海外の風景画が好きで。ほかにも舞台、アニメもかなり観るようになりました。今までYou Tubeを見ていた時間やスキマ時間を有効活用しています。今は暇さえあればアニメを見ていますね。

──さらにピアノ、ギターの練習もされているとうかがいました。永塚さんはもともと多趣味な印象なのですが、アニメ鑑賞は意識的に?
はい。今は絵を描いていた時間も削ってアニメを見ています。当たり前ですが自分は声優なので、絵より芝居が上手になったほうがもちろん良いですし、ダンスや歌にも時間を割きたいなと。絵も楽しいんですけどね。それは老後の楽しみに取っておこうかと(笑)。

──作品制作はどこからスタートされたのでしょうか。
7月末くらいに2ndミニアルバムがリリースされることが決まって、そこから、ダダダッと準備がはじまったんです。表題曲が決まったあとに「あとの楽曲はどうしようか」という話になって、作詞することになりました。

──永塚さんからコンセプトなどに関して何かアイデアを出されたのでしょうか?
今回は僕発信というより、レーベルさんと相談しながらという感じでした。その中で「アイドルっぽい楽曲をやってみたらどうですか?」という提案をいただいて、「やってみようかな」と。そういった形も楽しかったです。

──ところで、ラストの「エール」以外は、一人称が僕、僕らですが、制作時に意図したものなのでしょうか?
作家さんもバラバラですし、僕が作詞したのは「風と花」だけなので偶然だとは思うんですけど、「Tears Jewel」「終電間際、未だ返事はない」「Shooting star」に関しては、作家の皆さんが僕のことを意識して書いてくださったとうかがっているので、僕自身と同じで一人称が「僕」の歌詞になったのかなと思っています。

作詞曲は「最初は恥ずかしかった」

──ではそれぞれの曲について、曲順を追う形でおうかがいします。MVにもなったオープニングナンバー「Tears Jewel」は、3曲目の「終電間際、未だ返事はない」の作詞も手掛けている鶴崎輝一さんによる楽曲です。タイトルにぴったりのキラキラした曲ですね。
アイドルのようにキラキラした王道の曲なので、皆さん好きになってくれるんじゃないかなと思っています。それでいて、意外と男性声優アーティストがあまりやっていないようなジャンルなのかなと。2曲目の「風と花」のようなバラードや「終電間際、未だ返事はない」のテイストは、多いイメージですけれど。

──レコーディングはいかがでしたか?
スムーズでした! 歌いやすい楽曲なので、そういった意味で早かったのかも。鶴崎さんも来てくださったのですが「バッチリです!」と言ってくれました。

──作詞された「風と花」はバラード。以前のインタビューで「作詞するならバラードで」とおっしゃっていましたが、まさにですね。
「Shooting star」系の曲を作詞するイメージがあまりなくて。どちらかというと、バラードのほうが自分のパーソナリティ的に合うのかなと思っていました。先に曲をいただいたのですが、その時は夜、大人の恋愛ソングという印象で。前回が夜のイメージだったので、今回は朝・昼にしたいなと思いガラリと変えさせてもらいました。

──まさに朝を感じる言葉も入っています。冬の香りも漂う曲ですが、作詞されるうえで意識されたことを教えてください。
リリースが11月ということで、冬のはじまりの季節感を意識していました。詞から匂い、空気感が伝わることを大事にしたいなと思っているので、そこを出せるようにしつつ、今までインプットした引き出しを開けていったという感じです。

──吐息の部分も含め、コーラスも印象的です。かなり録られたのではないですか?
声優活動も含めたこれまでのレコーディングの中で、いちばん録りました。9個くらい録ったかな。

──9個ですか!?
はい(笑)。吐息の部分も、上も下も録って重ねていて。いろいろなパートを録っています。でもシンプルなサウンドで、歌声で作っている曲な分、声に情報は詰め込みたくなかったんです。だから本編を含めて淡々と歌っています。一人で口ずさんでいるような感じ。

──自分が作詞した曲が完成して、あらためて聴いたときはどのような心境でしたか?
初めて聞いたときは恥ずかしかったです(笑)。でも聴いているうちになじんできて。この曲を誰かに好きになってもらえたらうれしいです。正直、言葉の意味とかは考えずに聴いてもらって良くて。肩肘張らずに聴いて、楽しんでもらえたらうれしいなと思っています。

──3曲目の「終電間際、未だ返事はない」は、シティ・ポップっぽい、都会的なサウンドですね。それこそ、肩肘張らずに聴ける曲というか。
今流行っているネオシティ・ポップに近いものがあるのかなと思っています。メロディーを重視してさらっと滑らかに歌っているので、軽く流して聴けるんじゃないかなと。

──それに対して、4曲目「Shooting star」はラップあり、緩急もありと攻めてますね。「dance with me」のMVの振り付けとバックダンサーを担当されたMADKIDのLINさんが楽曲を手がけられています。
今回は作詞・作曲でご協力してもらいました。「dance with me」の流れをいちばん汲んだ曲になったなと思っています。さらにキラキラ感が加味されているので、『Jewel』のイメージに合っている曲になりました。

──この曲のボーカルは全部永塚さんの声ですか?
LINさんに入ってもらっています。自分が歌ったあとにLINさんが入れてくれました。そこも含めて楽しんでもらえるんじゃないのかなと。

──ラストの「エール」は特にキラキラした曲で、“永塚さんのキャラソン”といったイメージがありました。
まさにそんなイメージの曲だと思っています。皆さんがイメージする僕にいちばん近い曲なんじゃないかなと。

──<一歩ずつ ぎゅっと 固めてゆければ 道は 拓けるよ>という言葉をはじめ、サウンド的にも元気をもらえる曲ですよね。
歌詞の通り、どんどんと明るくなっていきます。本当に道が拓けていくかのように。通して聴いて欲しい曲です。

──最後のハンズクラップ、シンガロングは、絶対にライブで盛り上がるだろうなと思いました。
本当はみんなで歌いたいんですけどね。今は難しいですけど、いつか解禁されたらみんなで歌いたいです。

自分に飽きたくない

──『Jewel』というアルバムタイトルは永塚さんがご提案されたものなのでしょうか?

「Tears Jewel」というタイトルは僕が決めているんです。最初は「Tears Dropl」だったのですが、フックを出すために今のタイトルにして。そこからアルバムのイメージを固めていきました。実は「終電間際、未だ返事はない」も別のタイトルだったんです。最初のデモ音源の段階では歌詞も全然違ったんですけど、鶴崎さんがガラリと変えてくださって。違った輝きを放つ曲ばかりなので、色とりどりの宝石のような曲が集まったアルバムになったらいいな、という思いもありました。

──朝焼けがあったり、夜があったりと、その時の気分に合わせて楽しむこともできそうな作品です。

同じ属性の曲がないので、明るい曲が聴きたいときはこの曲、格好良い曲を聴きたいときはこの曲、といった具合に、気分によって楽しんでもらえたらなと。僕自身の印象としては(料理の)“バイキング”です(笑)。いろいろな味の楽曲が詰まっていて、飽きない作品になったのではないかなと思っています。

──飽きさせたくない、というのは永塚さんのこだわりでもありますか?

そうですね。僕の中で“飽きさせたくない”という思いがあります。それと、自分自身も飽きたくない。似たような曲が揃ってても、代わり映えしなくて面白くないなって。いろいろな作家さんが参加してくださるメリットのひとつに楽曲ごとに世界観を変えられることがあると思います。それも活かしていきたいなと。

──お話を聞いていると、永塚さんの幅広い分野に対する好奇心の強さが、音楽活動には顕著に表れているような気がします。
たしかにそうかもしれないです。基本的に食わず嫌いすることがなくて、自分が触れてこなかったサウンドでも「自分がやったらどうなるんだろう?」と興味が湧くんですよね。まだやっていないジャンルにも挑戦してみたいんです。和風とか、ジャズとか。歌に全集中したような曲にも興味がありますし。

──作曲もいつかは?
してみたいです。あ、でも期待はしないでください(笑)。作るとしたら1作目になるので、まだ教科書通りのものしか作れないと思うので。

いつかはコラボレーションもしたい

──ジャケットはキラキラとしたロイヤルな雰囲気。でも王子様というよりも、少しだけカジュアルというか。
ジャケットとMVは僕からもイメージを伝えさせていただきました。最初はもっとカジュアルな雰囲気だったんですけど、「Tears Jewel」に合わせて「宝石っぽいイメージでどうですか?」と。でもかちっとした王子様ルックのようなものにはしたくなかったので、ひらっとした羽織などが良いです、ともお願いしました。前作とはまた違う印象になっているので、ぜひ並べてみてほしいですね。MVもキラッキラにしていただきましたが、撮影は緊張しました。MVの撮影は振り入れを1回だけしたあとにすぐ本番で。広いスタジオの空間に一人だけで踊るので、その感覚に慣れるまでは大変でした。いつかは「余裕でしたね」と言えるようになりたいですけどね(笑)。現場のスタッフの皆さんなど、いろいろな方が僕のために動いてくれているんだと思うと……緊張してしまって、まだ余裕がないですね。

──11/20(日)には浜離宮朝日小ホールで、『永塚拓馬 ファーストイベント トーク&ミニライブ』が開催されます。
「Tears Jewel」と「dance with me」は歌う予定ですが、ほかはどうしようか、と今準備しているところです。浜離宮朝日小ホールはまだ行ったことがないので、「この会場に合う曲は何かな?」と考えています。

──【昼の部】には小松昌平さん、堀江瞬さん、【夜の部】には畠中祐さん、高塚智人さんがゲストとして参加されます。にぎやかになりそうですね。
小松さんはイベントでご一緒するのが初めてなんです。堀江さんも来てくれるので楽しみですね。昼の部の3人のメンバーは予想ができるんですけど、祐と高塚くんと僕、という組み合わせのイメージがまだ沸かなくて。二人とも仲は良いんですけど、3人集まったらどうなるんだろう。夜の部は未知数です(笑)。でも昼の部も、堀江さんがどういうモードでくるのかわからないので未知数と言えば未知数です(笑)。祐は一緒に歌うつもりだったらしくて「歌わないよ」と。今回はミニライブなので、いつかどっちかのライブで共演したいね、という話もしました。

──コラボレーションも面白そうです。
たしかに面白そうですね! 実は土岐(隼一)さんや高塚くん、ほかの声優さんとも「いつか一緒になにかやりたいね」と話をしていて。ただ話をしているだけではあるんですけど、いろいろなことをやっていきたいなって思っています。

──ところでジャケットは赤と黒だったのが、今回は白と青になりましたね。「ひとつの色に決めたくない」とおっしゃっていた永塚さんが次はどんな色を見せてくれるのか、楽しみです。
何色になるんですかね?(笑) とりあえず金・銀ではさそうですね。まだそこは違うかなって思っています(笑)。次のお話をいただいてから、何色にするかを決めたいなと思っています。

取材・文/逆井マリ

 

ながつかたくま●10月4日生まれ。アイムエンタープライズ所属。主な出演作は、TVアニメ『であいもん』(瀬戸咲季)、『ヴィジュアルプリズン』(ヴーヴ・エリザベス)、『SK∞ エスケーエイト』(MIYA)、『僕のヒーローアカデミア』(口田甲司)ほか。

2nd mini Album
『Jewel』11月9日発売


【初回限定盤】CD+DVD 3,740円

 


【通常盤】CD 2,750円

【収録曲】
1.Tears Jewel
作詞・作曲・編曲:鶴崎輝一
2.風と花
作詞:永塚拓馬 作曲・編曲:江上浩太郎
3.終電間際、未だ返事はない
作詞:鶴崎輝一 作曲・編曲:ミヤジマユースケ
4.Shooting star
作詞・作曲・編曲:LIN(MADKID)
5.エール
作詞:lotta 作曲・編曲:松坂康司

DVD
「Tears Jewel」ミュージックビデオ+メイキング映像