【声優道】堀川りょうさん

声優総合情報誌『声優グランプリ』25周年を記念し発売された、『声優道 名優50人が伝えたい仕事の心得と生きるヒント』が3月9日から公式サイト「seigura.com」にて期間限定で無料公開中!

アニメや吹き替えといった枠にとどまらず、アーティスト活動やテレビ出演など活躍の場を広げ、今や人気の職業となっている「声優」。そんな声優文化・アニメ文化の礎を築き、次世代の声優たちを導いてきたレジェンド声優たちの貴重なアフレコ秘話、共演者とのエピソードなど、ここでしか聞けない貴重なお話が満載。

それぞれが“声優”という仕事を始めたキッカケとは……。

声優ファン・声優志望者だけでなく、社会に出る前の若者、また社会人として日々奮闘するすべての人へのメッセージとなるインタビューは必見です。

一生迷い続けるということ

▼「さあ、どうする俺?」セリフをまる覚えして臨んだ初収録
▼演じる役を膨らませていくと、セリフは自然に出てくる
▼刺激の多い指導者立場 教えているようで教わっている

【プロフィール】
堀川りょう(ほりかわりょう)
2月1日生まれ。アズリードカンパニー所属。小学校低学年から子役俳優として活動し、数々の作品に出演。声優として『夢戦士ウイングマン』(広野健太)で主役デビュー。以後、『ドラゴンボール』(べジータ)、『名探偵コナン』(服部平次)、『GS美神』(横島忠夫)、『聖闘士星矢』(アンドロメダ瞬)、『まじかる☆タルるートくん』(原子力)ほか多数。青二プロに所属後、現在のアズリードカンパニーを設立。同社代表取締役。

「さあ、どうする俺?」セリフをまる覚えして臨んだ初収録

初めてのアニメの仕事は、オーディションで受かった『夢戦士ウイングマン』の広野健太役。1年間のレギュラーだったんです。決まった瞬間は、「ああ、やったね」と思いました。でも、5秒後には、「さあ、どうしようか」と(笑)。

まず突き当たった壁が、画面を目で追いながら台本を読めないということ。苦肉の策として実行したのは、台本のまる覚えでした。30分番組の本編は約24分、それをきりのいいところで4つに割って、1ロールがだいたい4〜6分ぐらいで収録。アフレコでは、「てにをは」を多めに見てもらっていました。

さあ、どうする俺?

当日のことは今でも思い出します。2月で雪が降っていて、行くとスタジオの前に山のように積もっていた。これからの前途多難さを物語っているようでした(笑)。でも、もともと声優という仕事は好きだし、ここで音を上げたらこけんに関わると思いました。さらに言うと、僕は危機的な状況を楽しんでしまうところがある。「さあどうする俺? どうすんの?」って(笑)。

そうこうしながら収録を重ねていくうちに、5話目あたりからは役に集中しながらも全体を俯瞰できるようになったんです。合わせるというのは慣れであって、車の運転と同じ。何度もやると本能的にできるようになります。それがつまり、身に付くということ。

演じる役を膨らませていくと、セリフは自然に出てくる

そうなってくると、肝心なのはやっぱり芝居なのです。台本は手掛かりに過ぎない。書かれてないところでは、どう生活しているか、何が好きか、と想像する。こんなことは許せないんじゃないかと、役を膨らませていく。すると、セリフというのは自然と出てきます。
どんどん楽しくなって、アドリブも入れられるようになる。さらに、変な役者根性まで出てきてやりすぎちゃって、結果「それいらないよ」って言われたりね(笑)。

もちろん迷うことはありますよ。いつもなのかもしれない。一生迷い続けるんだろうと思います。だけど、今以上のものを求めて模索する気持ちがなくなってはおしまい。清流が清らかなのは、常に流れ続けているから。流れるのを止めると淀んでしまいます。

刺激の多い指導者立場 教えているようで教わっている

僕は今、インターナショナル・メディア学院でレッスン生を抱えています。正直に言うと、若いときには「教える立場になるなんてとんでもない」と思っていました。役が決まるというのは争奪戦であり、サバイバルです。他人に教える手間暇があったら、まず自分がノウハウをつかみたかったんです。

でも、あるときにふと思いました。僕だって、いろんな先輩やお師匠さんに教えてもらったり、影響を受けたりして今がある。そういう方々にお返しをしたいと思ったときには、もう時が許してくれなかったり。さらに考えてみると、先輩たちも上の代から教えてもらっている。

つまり、教えるということは連綿と受け継がれていくもので、後進に伝えることが恩返しになるんだ、と。実際にやってみると、逆に僕自身もすごく刺激を受けます。教えているようでいて、教わっているんでしょうね。

若い人たちを見ていて感じるのは、自分の殻を作ってしまうこと。失敗したくない、良く思われたいって気持ちがあるんでしょうが、それが自身を小さくしている。180度違ってもいいから、感じたとおり思い切りやってほしいです。

仮にオーディションを受けたとき、たとえ合格しなくても、「突拍子もなくて面白いな、ほかの番組のこの役にいいじゃないか」と思わせれば、勝利ですから。殻をみずから破っていく様を見られると、本当にうれしくなりますね。というのも、僕が教えられるのは、技術的なことなんです。

感性や演技センスは、自分でつかみとっていくしかない。人に言われたことはすぐ忘れてしまいますけど、苦労して自分で気づいたことって、忘れないでしょう? 今はわからなくても、5年10年たって、「あのとき堀川が言っていたのはこういうことだったんだな」と、気づいてくれればうれしいです。僕自身がそうでしたから。

夢は、教え子が育ってレギュラーが決まった暁に、焼酎を1本持って「ありがとうございました、おかげで決まりました」なんて来てくれることですかね。多分、泣いてしまいます(笑)。

(2009年インタビュー)

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