【声優道】島本須美さん

『めぞん一刻』のときに生んだ娘と
共演することができました

女性の場合、出産するとお母さん役が回ってくるんですが、私の場合、出産のタイミングで始まったのが、『キテレツ大百科』と『となりのトトロ』でした。『キテレツ大百科』では、お父さん役の屋良有作さんも同じ時期にお父さんになったんですよね。回ってくる役が変わってくるのは、その辺りの年代なのかもしれません。

私が子供を産んだのは『めぞん一刻』のときです。当初は番組が1年で終わる予定でしたが、半年伸びて1年半になってしまったので、途中少しお休みをしてご迷惑をおかけしました。そのとき生まれた子供に、(音無)響子さんの娘と同じ〝春香〟とつけようかと思いましたが、秋生まれだったので避けました(笑)。今では、その娘ももうすっかり大人になりました。彼女も声優になって、『蟲師』に親子で出させていただきました。親子役ではありませんでしたが(笑)。

今までいろいろなキャラクターをやらせていただきましたが、昔からあんまり器用な声優でもなかったし、〝うまい〟っていう役者でもなかったんですよね。自分で言うのもなんですけど、ナチュラルっぽさというか、素人っぽさが当初の売りだったのかもしれないです(笑)。今は少~しはうまくなったと思います。少しですけど。35年もやってますからね。

ベテランを追い越す努力を続けないと、
生き残っていけない

声優のお仕事を始めて35年以上になりますが、やってきた作品の数としては多くないんですよ。ただ、いわゆる代表作と呼ばれるようなものに出合える機会が多かったし、宮崎駿さんの作品に出していただけたことが、今お仕事を続けていられる〝私〟が存在できている理由だと思います。

だから、どういう作品、どういう役に出合っていくかというのは、長くお仕事を続けるうえで大事なことだと思います。そして、その役に対しての仕事をきちんとこなすこと。それをしておかないと、次はないかもしれない世界ですからね。
最初は、その人の素材が素敵であれば、それだけでいいかもしれないけど、現場で「もっといいものを」という意識を強くもっていないと、そこで終わってしまうかもしれない。なので、もっとモチベーションを上げていかないとね。

私のようなベテランがまだ辞めずに残っているし、もう少し若いベテランもいることを考えると、そこを追い越す努力を続けないと、この世界では生き残っていけないと思います。おとなしい役が多くて、どんなにおとなしいイメージの人でも、内面は強くて負けず嫌いな役者さんばかりが残っているように思います。「もうダメだ」と思ったら、その時点でダメになってしまうので、そこで「頑張るんだ」と奮起する強さがないと。私も「この役、失敗しちゃった」と反省したことはありましたが、「もうだめだな」とはならなかったです。