染谷俊之「声の仕事も舞台も映像も。つらいことも大変なことも、全部ひっくるめて役者の仕事が好き」【声優図鑑 by 声優グランプリ】

染谷俊之「声の仕事も舞台も映像も。つらいことも大変なことも、全部ひっくるめて役者の仕事が好き」【声優図鑑 by 声優グランプリ】

染谷俊之「声の仕事も舞台も映像も。つらいことも大変なことも、全部ひっくるめて役者の仕事が好き」【声優図鑑 by 声優グランプリ】

キャラクターの裏に隠された声優たちの素顔に迫る、インタビュー企画『声優図鑑 by声優グランプリ』。

今回は、舞台や映像作品で活躍しながら、『HUGっと!プリキュア』若宮アンリ/キュアアンフィ役、『BAKUMATSU』土方歳三 、二代目無限斎役など、声の仕事でもファンを楽しませている染谷俊之さん。学校の先生を目指していた大学時代に経験した転機、初めてのアフレコの思い出、役者としての抱負などのお話を通して、ジャンルを超えて活躍する染谷さんの魅力に迫りました!

染谷俊之「声の仕事も舞台も映像も。つらいことも大変なことも、全部ひっくるめて役者の仕事が好き」【声優図鑑 by 声優グランプリ】

染谷俊之
そめやとしゆき●12月17日生まれ。神奈川県出身。GFA所属。主な出演作は、『HUGっと!プリキュア』(若宮アンリ)、『BAKUMATSU』(土方歳三)、『Dimensionハイスクール』(桃谷総司)、舞台『刀剣乱舞』(鶴丸国永)ほか。

オフィシャルサイト:https://toshiyukisomey.net/
X:https://twitter.com/some_toshi
Instagram:https://www.instagram.com/someya_toshiyuki/

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学生の頃はビビリ。役者に興味があるのに行動できなかった

――2.5次元の舞台では美しい姿を披露しながら、SNSやYouTubeではユニークな一面を見せている染谷さんですが、幼い頃はどんな子供だったんでしょうか。
やんちゃだったみたいで、目を離すとすぐにどこかに行ってしまってたみたいですね。あと、目は小さい頃から大きくて、クリクリしてたみたいで。

――子供時代の写真を見たらすぐに見つけられそうですね。10代の頃はどんなことに打ち込んでいましたか?
中高でバレーボールをやっていて、中学生の頃はかなり打ち込んでました。最初はそんなつもりなかったんですけど、入ってみたら、都大会にも出て頑張っているチームだったので、頑張っているみんなの姿を見ていたら、その流れで……。でも、後輩が入ってこなくて、僕らの代でバレー部がなくなっちゃったんですよ。ちょっとショックでした。部活紹介の時に“原則毎日”って書いたら、誰も入ってきてくれませんでしたね。(笑)

染谷俊之「声の仕事も舞台も映像も。つらいことも大変なことも、全部ひっくるめて役者の仕事が好き」【声優図鑑 by 声優グランプリ】

――それだけ本気の部活だったんですね。ずっと続けていた染谷さんも毎日行っていたと。
ほぼ毎日行ってました。塾にも通っていたので、中学生時代は忙しかったですね。でも高校に入ってからは週2回になったので、それがちょうど良くて。高校時代は楽んでバレーボールをやっていました。

――学生の頃に一度デビューしたそうですが、もともと芸能界に興味はあったんでしょうか。
ありました。映画『ウォーターボーイズ』がすごく好きなんですけど、初めて観た時に役者っていいなと興味を持って。でも全然行動に移せなかったんです。そんな時に、同級生だった女の子が僕の写真を芸能事務所に送ってくれたりなどありまして事務所に一時期通っていた時期があったんですが、すぐにやめてしまって……。もともと学校の先生を目指していたので、大学に入学したんですけど、そこでまた、今の事務所の社長と偶然知り合った母親が「うちの子どうですか」と売り込んでくれたみたいで。

――運命を感じる出来事ですね。それに、同級生に写真を送られるなんて、学校でも目立つタイプだったんだろうなと。
いや……それが、めちゃくちゃ恥ずかしがりで。人前に立つことはそんなに好きじゃなかったような気がします。でも、人を笑わせるのは好きでしたね。学校では「染谷は面白い」って言ってもらってました。

染谷俊之「声の仕事も舞台も映像も。つらいことも大変なことも、全部ひっくるめて役者の仕事が好き」【声優図鑑 by 声優グランプリ】

――ちなみに、映画作品はその頃、よく観ていたんですか?
映画はよく観ていました。学園モノもよく観ていて、『学校の怪談』なんかも好きでしたね。同世代の子供が映画でお芝居しているのが単純にすごいなと思って。面白い作品を観ると、自分はどうしてそっち側にいないんだろう……と思うタイプだったので、役者の仕事にはすごく興味があったんだと思います。

――当時、憧れの俳優さんはいたんですか?
まだ演技の良し悪しはよくわからなかったけど、『ウォーターボーイズ』の妻夫木聡さんはすごく素敵だなと思って。中学の頃、髪が長かったんですけど、髪を切れと言われた時に、床屋で「妻夫木さんみたいにしてください」って言ったのを覚えてます。

――しっかり影響は受けていたようですね(笑)。でも行動には移せなかったと。
さっきお話した、前の事務所のオーディションに行くのもすごく気が重かったんですよ。人前でお芝居をする勇気が全然出なくて。入口まで行ってからも、入ろうかどうか悩んで。そうしたら受付の人に声を掛けられて、ちょっと悩んでいることを話したら「せっかくだから受けてみたら?」と背中を押されました。興味はあるけど行動が伴わない、ビビリだったんだと思います。

染谷俊之「声の仕事も舞台も映像も。つらいことも大変なことも、全部ひっくるめて役者の仕事が好き」【声優図鑑 by 声優グランプリ】

――なるほど。じゃあ、そこで受付の人に声を掛けてもらっていなかったら……。
この業界に入っていなかったかもしれませんね。ただ、その事務所に入ってからも、人前に出ると緊張して頭が真っ白になっちゃって、お芝居なんてやっぱり向いていないと思っちゃったんですよね。オーディションを受けてもほとんど落ちるし。そこで悔しいとは思うけど、やっぱりうまくできなくて。

――その後「お芝居がしたい」と思えるようになった転機はありましたか?
ありましたね。大学生の頃、エキストラなどの仕事をしながら、学校の先生の勉強をしていて。ある日、『恋して悪魔〜ヴァンパイア☆ボーイ〜』(2009年)っていうドラマのオーディションに受かったんです。それがちょうど、教育実習に行く時期とかぶってしまって。どっちか選ばなきゃいけない時に、本気で考えて、せっかくの人生だから本当にやりたいほうをやってみようと。教育課程は全部やめて、役者の道を選びました。

染谷俊之「声の仕事も舞台も映像も。つらいことも大変なことも、全部ひっくるめて役者の仕事が好き」【声優図鑑 by 声優グランプリ】

――そこですっぱりと。学校の先生も長く夢見ていただけに、戸惑いはありませんでしたか?
スパッとやめましたね。2次審査まで頑張ったドラマのオーディションに受かったことが本当に嬉しかったので。お芝居に少し自信が持てるようになったし、それが、役者でやっていこうという決意につながったんだと思います。

――このドラマ、中山優馬さんが主演で、他のキャストも豪華だし、しかも染谷さんが好きだという学園モノでしたね。実際に憧れの現場に入ってみていかがでしたか。
人気キャストの中に入れたって思う余裕はまったくなくて、もう必死でした。ただ、翌朝まで続くような撮影スケジュールは大変でしたけど、年が近くて、同じように役者を目指しているという境遇の人たちと一緒にお芝居するのは楽しかったです。主人公のクラスのひとりっていう役でセリフが少なかったので、もっとがっつりお芝居をしたい! っていう欲も出てきましたね。

染谷俊之「声の仕事も舞台も映像も。つらいことも大変なことも、全部ひっくるめて役者の仕事が好き」【声優図鑑 by 声優グランプリ】

大変なこともつらいことも全部ひっくるめて、役者の仕事が好き

――ドラマで初レギュラーを務めてから、舞台を含めて出演作が増えていきましたね。テレビアニメに出るようになったのは、いつ頃ですか?
初めてのアニメは『雨色ココア in Hawaii』(2016年)で、アフレコもこの時が初めて。5分くらいのショートアニメだったので、収録は僕ひとり。相談できる人もいないし、ノウハウもなくて、現場で覚えるっていう感じでした。セリフは多くなかったけど、これでいいのかなっていう怖さはありましたね。そのアニメがきっかけで始まったラジオも、白井悠介くんと一緒に3年間くらいやっていました。

――テレビアニメ『BAKUMATSU』の土方歳三役も話題になりましたが、『学園ベビーシッターズ』で演じられた子供好きの変態…という山羊朋也役もけっこう新鮮だったと思います。
あの作品にはすごく癒されました。赤ちゃんが頑張っている姿ってそれだけで泣けてくるというか。すごく素敵な作品だったと思います。

――『HUGっと!プリキュア』では初の男性プリキュアという若宮アンリ/キュアアンフィニ役に注目が集まりましたね。
僕は準レギュラーの役柄で、この作品って台本は必ず部外秘にされているので、先の展開をまったく知らなくて。そうしたら、他のキャストの方々から「アンリくん、来週の回でプリキュアになってるよ」と言われて。

――それは驚きますね。
ファンの方も含め、みんな驚いていたと思います。一夜限りのプリキュアではありましたけど。『HUGっと!プリキュア』って、プリキュア15周年を記念した作品で、主人公が子供を産むっていうプリキュアの中でもすごく攻めた内容だったんですよね。そういう作品に携われたことが嬉しかったです。

染谷俊之「声の仕事も舞台も映像も。つらいことも大変なことも、全部ひっくるめて役者の仕事が好き」【声優図鑑 by 声優グランプリ】

――その後の『Dimensionハイスクール』(桃谷総司役)は、実写パートと3Dパートにわかれて放送されるという珍しいタイプの作品でした。ダブルで収録があったということですよね。
はい、だからとても大変でした。アニメーションにするためのモーションキャプチャーも自分たちが動いていたし。それで、長時間の撮影に疲れてしまって。地方の廃校での撮影だったんですけど、休憩時間に休もうと思ってマネージャーさんの車に横になっていたら、金縛りになってしまって。そこで、防災頭巾をかぶったおばあちゃん3人に車の窓をノックされるっていう体験を……。

――防災頭巾……。地方の廃校で!?
あの、疲れすぎたり、寝不足だったりすると、たまに不思議な体験をすることがあるんですよね。でも現場自体は、蒼井翔太くんなんかも出られていて、とっても素敵でした。

――おそろしい体験をされましたね。ちなみに、舞台のほうではすでに幅広く演じられていますが、声のお芝居でも挑戦してみたいジャンルや役はありますか?
好きだった漫画のアニメ化には携わってみたいなって思います。大好きだった『進撃の巨人』はもうアニメ化されちゃいましたけど。それから、ゆくゆくは『黒子のバスケ』の(小野)賢章くんみたいに、自分がアニメで担当したキャラクターを舞台でも演じるっていうのも挑戦してみたいです。

染谷俊之「声の仕事も舞台も映像も。つらいことも大変なことも、全部ひっくるめて役者の仕事が好き」【声優図鑑 by 声優グランプリ】

――あらためて、ジャンルを横断しながら幅広く活躍されているなと感じます。
声優のお仕事も、舞台も映像も、満遍なく携わっていきたいんです。それぞれに良さがあって、いろいろな刺激がありますし、いろんな形でエンターテイメントを届けられるのはいいなと思うので。また、素敵な方々とご一緒できるのでこれからが楽しみです。

――それだけ役者のお仕事がお好きなんだな、ということが伝わってきました。
この仕事は好きですね。演じることはもちろん、いろんな作品に巡り合って、現場でいろいろな人に出会い、ロケで地方に行って……そういうことを全部ひっくるめて好きなんだと思います。大変なことも、つらいことも全部。大好きな役者の仕事ができているのは幸せなことだなと感じています。

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

撮影=石田潤、取材・文=吉田あき、制作・キャスティング協力=吉村尚紀「オブジェクト」

染谷俊之さんコメント動画

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