声優ユニット・スフィアで共に活動する寿美菜子さんと高垣彩陽さん。今年2025年は二人がソロアーティストとしてデビューしてからちょうど15周年にあたり、それを記念した初のツーマンライブ『寿美菜子×高垣彩陽 15th Anniversary Live 2025 “With”』が11月30日に東京・Zepp Shinjukuにて開催された。ここでは昼の部の模様をレポートする。
ツーマンライブ初の試み! お互いの楽曲にコーラス参加
ソロライブとも、スフィアのライブとも違う、寿さんと高垣さんによるツーマンライブ。はたしてどんな一日になるのだろうか?と期待に胸を膨らませるファンがZepp Shinjukuのフロアに詰めかけた。それぞれが両手に持ったペンライトをピンクと紫に灯すなか、最初にステージに現れたシルエットは高垣さんのものだった。

舞台中央のお立ち台に立ち、アカペラで「Dear One」を歌い出すと、客席のペンライトはピンク一色に変わる。「Dear One」の歌い出し「ここまで遠く 歩いてきたから」はデビュー15周年を記念した今日のこの日にぴったりだが、思えばこの曲は10周年の際にリリースされたベストアルバム『Radiant Memories』で新録されたもの。あの日からさらに5年の歳月を歩き続けた高垣さんが今もこうしてステージに立っていると思うと、胸に熱いものが込み上げてくるようだ。
2曲目「Live & Try」でも高垣さんは圧倒的な歌声と表現力で会場を包み込んでいく。高垣さんといえば過去にクラシカルコンサートも開催しているようにホールでの“コンサート”のイメージが強く、ライブハウスで“ライブ”をする姿を見られるのはなかなかレアかもしれない。
本人も「スタンディングの感じは久しぶり」と言いつつ「今日はツーマンライブですけど、つーまんないことには絶対なりません!」と、得意のダジャレで会場をわかせていた。

そして、ギター・山本陽介さん、キーボード・籠島裕昌さん、ドラム・山内康夫さん、ベース&バンマス・山田章典さんとバンドメンバーを紹介した後、「新たな試みです」として「コーラス、寿美菜子!」と寿さんを呼び込む。
これはせっかくのツーマンライブで何かできないかと「お互いの曲にコーラスで入ってみよう」と寿さんから提案したもの。過去にも寿さんと豊崎愛生さん、高垣さんと豊崎さんの組み合わせでツーマンは開催されているが、その時にも行わなかった初の試みだ。

デュエットではなく、メインボーカルとコーラスという形でスフィアのメンバー同士が共演するのはたしかに新鮮で、「Inner Galaxy」「Futurism」の2曲を“with Minako”で披露した。
特に「Futurism」は高垣さんが雪音クリス役を演じ、歴代のエンディングテーマを歌ってきた『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズの中でも寿さん演じるサンジェルマンが初登場した第4期『戦姫絶唱シンフォギアAXZ』の楽曲で、感慨深く耳を傾けていた人も多かったのではないだろうか。
コーラスの寿さんを送り出し、再びソロとなったステージで高垣さんは応援し続けてきてくれたファンへの感謝を込めてソロデビュー曲「君がいる場所」を歌う。さらに続けて、「これからもいっぱい、一緒に夢を叶えていきましょうね!」と1stアルバム『relation』の収録曲「夢のとなり」を歌い、前半パートを締めくくった。
ライブハウスの女王が降臨! そして感動のコラボ楽曲へ……
後半のステージの主役はもちろん寿さん。インターバルの間にペンライトの色を紫に切り替えたファンが待っていると、寿さんは元気いっぱいに舞台へと飛び出してきた。
そこから「ココロスカイ」「Shiny+」「Ambitious map」と3曲続けて歌う寿さんは笑顔全開で、時には客席を巻き込みながら会場全体を盛り上げていく。後に登場する高垣さんが「ライブハウスの女王だよね!」と感心するほど、Zeppの景色が寿さんにはよく似合っていた。

最初のブロックを終えて一息ついた後、「この“with”というライブは私だけじゃなくて、あの人と一緒に作っていきたいなと思います」と言って高垣さんを呼び込もうとするも、「誰だと思う?」と客席に問いかけるボケをしているうちに自ら出てきてしまった高垣さん。
もちろん寿さんパートでも高垣さんがコーラスで参加するとのことで、「ライラック」「唇にWasp」の2曲を“with Ayahi”で披露。高垣さんは子供の頃に生まれて初めて見に行ったライブで見た生コーラスのかっこよさに魅せられて、いつか自分もコーラス隊になりたいという夢を抱いたそうで、その夢がここで叶う形となった。
「泣かないように頑張る」と言ってコーラスの大役を務め上げた高垣さんを送り出した後は、「black hole」でまたも激しく“ライブハウスの女王”ぶりを見せつける。その「black hole」のシングルのカップリングだった「Another Wonderland」を最後に歌い、後半パートに幕を下ろした。


ここまでの二人それぞれのステージも満足度は十分だったが、やはりボーカルとして二人が並び立つ姿も見たいもの。そんな願いがこもったかのようなアンコールの声に応えて再びステージに帰ってきた二人は寿さんの楽曲「girly highester!」をコラボで熱唱し、「彩陽の“ガリハイ”超新鮮でいいよね!」と寿さんもご満悦の様子。
もう1曲は高垣さんが過去にカバーした楽曲の中から「Defying Gravity」(ミュージカル『WICKED』より)をデュエット。ミュージカル鑑賞が二人共通の趣味とあって、歌い終えた後には「胸がいっぱいになる……」(寿)、「一緒に歌えてうれしいです」(高垣)と感慨深げな様子だった。

ラストに歌うのはもちろん、11月12日にリリースしたばかりの二人のコラボシングル「Beyond Days」。15周年の記念ライブを締めくくるにふさわしい最高潮の盛り上がりでフィナーレを飾ったが、「また絶対どこかで会いましょう!」「これからもよろしくね!」と口々に言っていたように、二人の物語はこれからもまだまだ続いていく。15周年を一つの節目に、今後またどんな活躍を見せてくれるのか楽しみだ。


▼Profile
ことぶきみなこ●9月17日生まれ。ミュージックレイン所属。
主な出演作はアニメ『響け!ユーフォニアム』シリーズ(田中あすか)、『きみの色』(八鹿スミカ)、『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』(デボラ・ゴリーニ)ほか。
たかがきあやひ●10月25日生まれ。ミュージックレイン所属。
主な出演作はアニメ『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズ(雪音クリス)、『うる星やつら』(藤波竜之介)、『SI-VIS : The Sound of Heroes』(三枝聖那)、『アークナイツ』(フロストノヴァ)ほか。
▼SET LIST
〈高垣彩陽〉
M1. Dear One
M2. Live & Try
M3. Inner Galaxy(with Minako)
M4. Futurism(with Minako)
M5. 君がいる場所
M6. 夢のとなり
〈寿美菜子〉
M7. ココロスカイ
M8. Shiny+
M9. Ambitious map
M10. ライラック(with Ayahi)
M11. 唇にWasp(with Ayahi)
M12. black hole
M13. Another Wonderland
〈寿美菜子&高垣彩陽〉
EN1. girly highester!
EN2. Defying Gravity
EN3. Beyond Days
取材・文/仲上佳克 撮影/佐藤 薫









