さまざまなつらい経験をしてきた池澤春菜さんですが、その体験を活かした自分ならではの演技を追求しています。
プロフィール
いけざわはるな●12月15日生まれ。アクロスエンタテインメント所属。主な出演作はアニメ『マリア様がみてる』(島津由乃)、『キミキス pure rouge』(水澤摩央)、『獣装機攻ダンクーガノヴァ』(飛鷹葵)、『ふたりはプリキュア』(ポルン)ほか。
どんな人にも自分にしかできない演技がある
声優になったきっかけを教えてください。
高校生のときにタイに留学したんですが、留学生活がすごく波瀾万丈で3回くらい死にかけたこともあって、帰国したときは両親が私だと気づかないくらいにやつれていたんです。それで人と会ったり話したりするのがつらくなってしまったんですが、祖父がそんな状態はよくないっていうことで「楽しい人たちがいるから会いに行ってみないか」と誘い出してくれました。そのときにお会いしたのが声優事務所の社長さんで、「こんな人もいるんだ、こんな世界もあるんだ」と思っていたらラジオのオーディションのお話をいただいたんです。それが8月のことだったんですが、気がついたら9月からラジオのアシスタントをすることになってました。
初めて体験したアフレコ現場はいかがでしたか?
右も左も解らない状態でアニメ作品の収録に入ってしまったので、「パクってる」「走って」みたいなスタッフさんからの指示がなにひとつ解らなかったんです。最初の収録はもう大変で、家に帰ってから寝込みました。そんな何も解らない状態でも、オンエアを見たら自分がヘタクソなことだけは解ったんで、哀しくなりましたね。でもほかのキャストさんがすごく親切で、スタジオでうまく動けない私のために、マイクを1本空けて専用にしてくださったり、細かいことまで解りやすくアドバイスしてくださったり、ということがあったので、周りに助けられてここまで来られたっていう感じですね。ほんとにラッキーなスタートを切れたと思ってます。
今後の目標を教えてください。
どんな役がやりたいというのではなくて、自分にしかできない演技をすることですね。どんな体験でも演じるうえではムダになることってないんです。そういう、自分がしてきたさまざまな経験、感じてきたことを演技に生かしていければと思っています。
最後に声優になりたい人へのメッセージをお願いします。
声優になりたいと思ったとき、まずは養成所で演技の基礎を学ぶ人が多いと思いますけど、「これをやったら声優になれる」という道はないし、逆に「こんなことをしたら絶対に声優になれない」ということもないんです。養成所に通って10代でデビューもありだし、いろいろな世界を体験して45歳でデビューというのもアリだと思います。一番大切なのは諦めないことじゃないでしょうか。