「なにをしていても、つい演技に結びつけて考えてしまう」という真面目な汐谷文康さん。これまでの努力が実って、現在『アイドルマスター SideM』の北村想楽役で注目を集めています。そんな汐谷さんの素顔に、さまざまな角度から迫ってみました!
Profile
しおや ふみよし7月6日生まれ。 俳協所属。主な出演作は、アニメ『バッテリー』(奥平)、ゲーム『アイドルマスター SideM』(北村想楽)、『龍が如く0 誓いの場所』(ミラクル)、TV『本気ですか!? 水瀬さん!!』(ナレーション)ほか
汐谷文康’s LOOK INTO THE FUTURE
お芝居を通して人の心を動かせる、唯一無二の役者になりたい
Fumiyoshi’s PAST
3歳
絵を描くのが好き
絵を描くのが好きで、時間があればずっと絵を描いていました。でも親の目から見るとマセてる子だったみたいで、ときどき達観したようなすごく大人びた発言をしていたと聞きました。外で遊んだ記憶があまりなく、いつも家で遊んでいた覚えがあります。
小学生時代
表現することへの憧れ
芸術鑑賞会のような学校の催しで、劇団の方が来て体育館で公演してくださることがあったんです。その時、友達はあまり興味なさそうにしているのに、僕だけ真剣に見ているというようなことがありました。絵を描くこと以外に習字とかも好きでしたし、思えばこのころから、何かを表現することに憧れていたのかもしれません。
中学2年生
役者になりたいと思い始める
中学に入学して、夜遅くまで起きていても許されるようになったので、ドラマなどを見始めたところ、お芝居って楽しそうだなと感じたんです。それで役者をやってみたいと思うようになりました。でも、俳優さんはイケメンが多いので、僕には難しいだろうなと思っていました(笑)。
中学3年生
アニメを見るようになる
小学校時代から野球をしていたのですが、部活を引退して時間ができたので、さまざまな洋画のDVDをレンタルして観るようになりました。ある日、ふと「今日はアニメを観てみようかな」と思って『新世紀エヴァンゲリオン』を借りてきたところ、すごく面白いなと思ったんです。そこから興味をもって、声だけで表現する声優という仕事を知りました。
高校1年生
演劇部に入部する
進学した高校には演劇部があったので、入部して初めて演技というものに触れました。実際にやってみると想像していた以上に面白かったんです。あと、声を褒められることが多かったので、声を活かして演技できる声優になりたいという思いが高まってきました。
高校3年生
声優専門学校への進学を決める
「声優になりたい」と言ったところ、両親もさまざまな事情で夢を諦めたことがあったようで、僕の夢を全面的に応援してくれました。ただ実家が岩手のため、そうそう簡単に体験入学にも行けないので、とにかく声優専門学校や養成所の資料を集めて検討しました。そこからいくつかの学校に絞って、夏休みに集中的に体験入学や見学をしてみて進学先を決めました。ところが、上京直前の3月に東日本大震災があり、実家が直撃を受けてしまったんです。幸い家族はみんな無事でしたが、一時は「こんな時に上京するなんて」と諦めることを考えました。でも、両親が「行きなさい」と背中を押してくれたんです。
18歳
専門学校に入学
専門学校では、1学年が200人くらいいたんです。僕は人見知りなので、最初はかなり不安がありました。慣れない一人暮らしとしいうこともあり、上京して半年間くらいはホームシックになっていましたね(笑)。でも、同級生はみんな目指すところが一緒なので話が合うことも多く、気づいたら仲良くなっていたという感じです。
19歳
壁に突き当たり悩む
1年次は基礎と舞台演技が中心だったのでのびのびと学べましたが、2年次になると応用編というか、体当たりで演じるだけでなく「どういうふうに演じたら、より相手に伝わるか」のような、テクニックを考えなければならないことが増えたんです。それが非常に難しく感じたというか、どう演じればいいのか悶々と悩んでいました。
20歳
ゆーりんプロにジュニア所属
専門学校の卒業間近まで演技について悩んでいたのですが、現状を打破するためにも、とにかくいろいろな事務所のオーディションを受けてみようと思ってチャレンジしました。その中で合格をいただけたのがゆーりんプロで、しかも僕の通っていた専門学校からは唯一のジュニア所属での合格だったんです。これも大切なご縁だなと思い、ゆーりんさんにお世話になることにしました。
22歳
ゲームアプリ『戦国X』でデビュー
それまでもいくつか作品オーディションを受けていましたが、なかなか結果を出せずにいました。ところが、別の作品オーディションに『戦国X』の音響監督さんが見学にいらっしゃって、声をかけていただけたんです。ゲーム作品なので1人でブースに入っての収録でしたが、それが非常に心細かったのを覚えています。なんとか演じきることはできたものの、自分のもっているものを100%出せたかと言われると自信がありません。当時を振り返ると反省点も多く、現場でいただくアドバイスも非常に勉強になりました。
24歳
『アイドルマスター SideM』に出演
実はこの作品については、3回くらいオーディションを受けているんです。1回目のオーディションは22歳の時で、同期の高塚智人くんと一緒に受けたところ、高塚くんだけ合格しました。互いに励まし合って切磋琢磨してきたライバルですから、高塚くんの合格は本当にうれしかったんですが、当然のことながら同時に悔しさもありましたね。それから何度か声をかけていただいて、僕自身も作品をどんどん好きになって「いつかは出演したい」という気持ちも強くなっていたので、出演が決まったときには、かけがえのない宝物をいただいたような気持ちになりました。
Fumiyoshi’s FUTURE
1年後
着実にキャリアアップ
『アイドルマスター SideM』で、ほんの少しですがみなさんに名前を知ってもらえるようになったので、もっとさまざまな作品に出演して、着実に成長していけたらいいですね。そのためにも全力で、作品オーディションに挑戦したいと思います。
3年後
アニメと外画を両立していたい
アニメやゲームだけでなく、洋画の吹き替えでも活躍できる実力を身につけたいと思っています。吹き替えは、すでに演技をしている役者さんに合わせて声を当てる作業なので、アニメやゲームとはちょっと違った高度なスキルを要求されるんです。そういう現場で活躍できるようになりたいです。
30歳
音楽方面の活動を開始
じつは音楽方面にも興味があるので、マイク前のお芝居だけではなく、ミュージカルへの出演や音楽活動などにも携わってみたいと思っています。あと、海外旅行にも行ってみたいです。演劇の本場といわれるロンドンに行って、本場の舞台や表現を見て刺激を受けたいと思っています。
40歳
プライベートを充実させたい
たくさんの経験を積んで、そろそろ余裕も出てきている頃だと思います。今はとにかくお芝居のこと一直線で頑張っていますが、あまり切羽詰まってしまうと新たな挑戦もできなくなってしまう気がするんです。このころにはお仕事とプライベートのバランスをうまくとって、プライベートでも自分を充実させていけるようになれたらいいですね。
50歳
絵の勉強を始めたい
役者ももちろん続けていたいんですが、子供の頃の夢だった絵のほうにも力を入れてみたいんです。自己流で好き勝手に描くのではなく、油絵など本格的な絵の勉強もしてみたいと思っています。違う方面の表現方法を学ぶことで、演技にもフィードバックできたら最高ですね。
汐谷文康を知る10の質問
ニックネームは?
「ふーみん」と呼ばれることが多いですね。これは子供の頃から呼ばれていました。でも、ほかにもいろいろな呼びかたがあって、「汐やん」とか、それを略して「やん」とかさまざまです。イベントなどで見かけた際は、「ふみよし」と気軽に呼んでいただけたらうれしいです。
好きな食べ物は?
ジャガイモとお米です。ほかにもイチゴとか、豆腐や納豆などの豆類も好きなんですが、この2つは絶対に外せません。僕はお祖母ちゃん子だったので、健康に気を配った食べ物を好んで食べるようになっちゃったんです。最近ハマっているのは牛乳です。
苦手な食べ物は?
昔はミョウガとか、ホルモン、白子など、ちょっとクセのある食べ物が苦手だったんですが、気づかないうちに全部食べられるようになっていました。それどころか、ミョウガを食べて「こんなに美味しかったっけ?」と思うくらいになりました。
趣味は?
母の影響で映画を見る機会が多かったので、映画鑑賞です。以前は洋画を中心に観ていましたが、もっとさまざまなジャンルに触れたほうがいいかと思って、最近は邦画を観るようにしています。作品によって見せかた、メッセージの伝えかた、お芝居の質が違うので、非常に勉強にはなりますが、昔のように純粋には楽しめなくなってしまっているのかもしれません。でも、いい映画は観ているとつい物語に引き込まれてしまうので、実際にお芝居について考えるのは映画を観終わってから、という感じです。
オススメの映画を教えて!
最近いろいろな人にオススメしているのが、『はじまりのうた』というアメリカの映画です。売れなくなった音楽プロデューサーと、彼氏に振られて傷心中のミュージシャンが、ふとしたことから出会って……という物語なんですが、全編に音楽がいっぱい出てくるんです。2人が音楽制作を通じて少しずつ心のわだかまりを解消していくところ、何も持っていない状態から少しずつ踏み出していくところなど、人の力と温かさを感じてすごく励まされます。
自分の性格をひと言でいうと?
良くも悪くもマイペースだと思います。楽観的なところもありますが、それで失敗することもあるので、マイペースは崩さないまでも、もう少し時と場合によってメリハリをつけられたらと思っています。
休日の過ごしかたは?
決まった過ごしかたはないですね。友達から声をかけられれば外出しますし、一人で過ごしたいなと思えば家にこもってDVDを観ていたりもします。絵を描くのも好きなんですが、休日に「よし、絵を描こう」と思い立って描くというよりは、ふとした瞬間に描いていることのほうが多いですね。
最近のマイブームは?
体を鍛えることです。『アイドルマスター SideM』では実際にイベントで踊りながら歌ったりということがあるので、改めて体を鍛えようと思いました。今は自宅での筋トレのほか、週1回スポーツセンターのジムに通っています。やっていると次第に自分を追い込むのが楽しくなってきて、もう1年くらい続けています。
この仕事をしてきて印象に残っていることは?
ゆーりんプロでは年1回舞台公演を行っていて、僕も何度か出演させていただきました。舞台は生ものなので、役者のモチベーションが変わると演技も変わってくるんです。最初は、いつも一定の演技にしなければと思っていましたが、それを逆手にとって「今日はこういう風にアプローチしてみよう」といった感じで、いろいろと試すこともできるんです。そこに気がついてからは、自分の内面の変化ともうまくつきあえるようになった気がします。また、そういったチャレンジから新しい発見があることも多く、どの舞台も非常に印象に残っています。
尊敬している声優さんは?
松本保典さんです。専門学校時代に松本さんの授業を受けたのですが、キャラに対する掘り下げや作品に対する洞察など、僕には考えつかない領域に達しているのを目の当たりにして、「ここまで考えられてこそ本物の役者なんだ」と感じました。僕もそんな役者になりたいと思って、今でも憧れています。
今後演じてみたい役は?
二枚目キャラと悪役キャラです。もちろん主人公を演じてみたいという気持ちもありますが、主人公を脇から冷静に支えるとか、つねに主人公の前をいくような、どっしりした演技をしてみたいんです。あるいは、登場人物すべてを翻弄するような悪役も演じられるようになりたいですね。
From 汐谷文康
汐谷文康
まだまだ駆け出しで、役者としては未熟なところもたくさんあると思います。でも、さまざまな映画を観てきた経験を活かして、吸収できることはすべて吸収し、お芝居を通して人の心を動かせるような役者になれたらと思っています。同時に人間的にも成長し、替えの効かない唯一無二の役者になることが夢です。見るたびに「変わったな、成長したな」と感じていただけるよう、常に変化し続けられるよう、頑張っていきます!