声優、そしてアーティストとして活躍する石原夏織さんがデビューシングルをリリースしたのが2018年。一度、大宮ソニックシティで『石原夏織 1st LIVE Sunny Spot Story』を開催しているが、ツアーは今回が初めてとなる。しかも今回のツアーは、4thシングル「Face to Face」を引っ提げてのもの。ツアータイトル「Face to FACE」には、“ライブツアーでさまざまな地域の人に会いに行きたい”という想いが込められている。
東名阪を巡った1stライブツアーのファイナルは東京! 公演終盤には涙を流す一幕も
プロローグの映像と音楽が観客のテンションを高めていく。石原さんがステージの2階部分に登場しての1曲目は、デビュー曲「Blooming Flower」。映像とシンクロしたダンスはこれまでも見せてくれていたが、やはりとてもステージに映える。スクリーンに黄色い花びらが降りしきる中でのパフォーマンスは美しく、会場も青と黄色のペンライトで盛り上がっていく。そして、スモークがステージに広がった中で、ロックチューン「半透明な世界で」を熱唱。
憧れのアーティストがよくライブをしていたのが中野サンプラザで、ここはいつか立ちたい憧れの場所だったという。そこに今立てている喜びを語ると、続いては4人のダンサーが入ってのパフォーマンス。レーザーや映像が曲を彩る「CREATION×CREATION」、「ポペラ・ホリカ」を披露。後者はハートがいっぱいの映像とキュートなダンスという、ピンクのかわいい世界。グッと惹きつけられる演出だ。
衣装チェンジの時間を使っての映像コーナーでは、オリンピックイヤーにかけて、「カオリンピック2020」という、石原さんがいろいろな競技で女性ADと対決する企画を実施。記録より記憶に残る闘いをと宣言したとおり、本当に記憶に残るプレイが続出。「フラフープ」「一人レシーブ」「ぐるぐるバット」「走り高跳び」をやったのだが、たとえば一人レシーブでは、自分のレシーブしたボールが頭に当たったり、狙ってないはずなのに確実に笑いを取って行くのは、さすがとしか言いようがない。
そんな幕間の映像でも退屈させない彼女のライブ。花柄の赤い新衣装でステージに再び登場すると、映像で唯一勝利していたフラフープにステージ上でもチャレンジ。映像より全然できない姿を見せ、やっぱり笑いを取ると、再びライブへ。
懐かしい気持ちを思い出させてくれると言ってカバーしたのは、現在放送中のTVアニメで、自身も水守ゆめ莉役で出演中の『推しが武道館いってくれたら死ぬ』のOPテーマ「Clover wish」。昔からの彼女のファンはグッとくる思いもあったのではないだろうか。ゆめ莉のカラーであるパープルの傘を使ったダンサーのダンスも良かった。「Crispy love」はキュートに、「Orange Note」では会場がオレンジになって常夏感を演出。そんなキュンとくるナンバーを続けた後は、再び映像コーナーへ。
ここでは台湾で撮影を行った「Face to Face」MVメイキングムービーのアナザーバージョンを上映。そこでは今回のライブツアーに対する気持ちも語られていた。映像が終わり、ステージに戻って来た石原さんは、「台湾でライブについて話をしたはずなのに、どこで使うんだろう?と思っていたら、ここだった!」とMCで楽しく話していた。
今回のライブは、いろんな季節を感じさせてくれた演出も特徴の一つだろう。ステージの前に紗幕を下ろし、そこに雪や雨を投影しながら歌った「empathy -winter alone ver.-」「雨模様リグレット」の立体的な演出。会場内にいることを忘れさせるような時間だった。そして雨が上がり、ミラーボールを回しながら、ちょっと大人な世界観で魅せた「Taste of Marmalade」でこのブロックを締めくくると、ライブのクライマックスはやはり、彼女のカッコいいダンスが見られるあの曲たち。
クールなダンスパフォーマンスは、彼女の大きな魅力の一つだ。ダンサー4人を含めた5人での映像「ーDANCE TRANSDUCTIONー」がスクリーンに流れると、観客の期待は大きくなっていく。映像の中で踊っていた5人がまるで現実世界に召喚されたかのようにステージに登場すると、映像や光とシンクロしながら「Singularity Point」「Ray Rule」 「TEMPEST」を立て続けにパフォーマンスする。小柄なはずの体が大きく見えるのは、彼女の自信がしっかりダンスで表現されているからだろう。彼女も「私もこの曲たちを歌うと楽しくてテンションが上がるけど、みんなの気持ちも上がっているのがわかって、とてもうれしかったです」と伝えていた。そして最後は「Face to Face」。<会いたくて 会いたくて この思い 止められない>から始まるこの曲で、みんなとライブで出会えた喜びを伝えて本編を終えた。
アンコールでは、このツアーに対する思いを吐露。「皆さんの温かさがありがたいなと思うツアーでした。カバーで「Clover wish」を選んだんですけど、視聴者として『推し武道』を観ているとすごく共感できて、まだCDを出してなかったくらいの頃を思い出すんです。応援してくれる方が10人いるかいないかくらいのところから出発して、こうやって月日がたって……。アニメだったり音楽だったりいろんなところを入り口に私の存在を知ってくれて、こんなにたくさんの方が集まってくれている。それはすごいことだなって思います。だからこの『Face to Face』という“みんなに会いに行く”というテーマのツアーで歌うなら、この曲が良いんじゃないかと思って選ばせていただきました」と涙ながらに伝える。そして最後は「皆さんの応援を大事にいただいて、私もそれに負けないくらい、「応援していて良かった」と思ってもらえる、みんなに自慢に思ってもらえるアーティストになれるよう、これからも頑張っていきます」と力強い言葉を残した。
MCの後は、会場をカラフルに染め上げて「虹のソルフェージュ」で感謝の思いを伝えると、「♮ Melody」ではステージから手を左右に振りながら歌う。アンコールの最後はもう一度「Face to Face」で「みんなに会えて良かった!」と叫び、ツアーを締めくくった。今出せるものを出しきったツアーでさらに大きくなった彼女。ファンが自慢したくなるアーティストにはすでになれていると感じながら、もっともっと大きくなって、さらに大きなステージから手を振る笑顔が見たいと思うライブだった。
石原夏織 1st LIVE TOUR「Face to FACE」 supported by animelo mix
2020年2月24日(月・祝)
東京・中野サンプラザ
<セットリスト>
01. Blooming Flower
02. 半透明の世界で
03. CREATION×CREATION
04. ポペラ・ホリカ
05. Clover wish
06. Crispy love
07. Orange Note
08. empathy -winter alone ver.-
09. 雨模様リグレット
10. Taste of Marmalade
11. Singularity Point
12. Ray Rule
13. TEMPEST
14. Face to Face
EN01. 虹のソルフェージュ
EN02. ♮ Melody
EN03. Face to Face
石原夏織 1st LIVE TOUR『Face to FACE』 Blu-ray&DVD発売決定!
2020年2月24日 東京・中野サンプラザでのファイナル公演の模様を収録。映像特典として、「-Short Movie-”飛べ! 絶叫マシンツアー”(大阪公演より)」「-Short Movie-”叫べ! オバケ克服大作戦”(愛知公演より)」「Making of Face to FACE」も収録されている。
発売日:2020年6月17日(水)
<BD>
品番:PCXP.50775
価格:¥6,800+税
*フォトブックレット封入/初回特典:スペシャルBOX仕様
<DVD>
品番:PCBP.54270
価格:¥6,000+税
*フォトブックレット封入
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取材・文/塚越淳一