千葉県東金市を舞台にした“ゆるアニメ”『とーがね!おまつり部』(以下、『とーがね!』)。「スタッフ&キャストに予算の殆どをつぎ込んだ」“動か(け)ないアニメ”として話題を呼んでいる本作。現在YouTubeで好評配信中だ。
故郷の東金市に戻ってきた女子高生・栃野みのり。彼女を中心に、衰退した東金駅西側の商店街を「おまつり」で再び盛り上げようと「おまつり部」の5人が奮闘する青春ストーリーとなっている。
今回は作中でキーパーソンとなる大神真也役の半田健人さん、鈴村展弘監督を直撃。
2人のタッグは2023年で放送20周年を迎える『仮面ライダー555(ファイズ)』(以下、『555』)以来。半田さんが出演に至ったいきさつや収録時のエピソード、鈴村監督の作品に込めた思いなどを語っていただいた。
まずは半田さんにお聞きします。今回どのような形でオファーがあったのでしょう?
半田健人さん(以下、半田):僕は歌手のあべ静江さんと仲良くさせていただいているのですが、ある日あべさんから突然連絡がきまして。どうやら共通の知り合いであるラジオ局の方から僕に頼みごとがあるそうでして。話を聞いたら『とーがね!』への出演依頼でした。
鈴村展弘監督(以下、鈴村監督):私も以前、その局の番組に出演したことがあるのですが、そういう経緯で話がきたんだ。知らなかった(笑)
半田:『とーがね!』の和田プロデューサーが局の方とお知り合いらしく、彼を通してオファーが出されたみたいですね。出演を快諾させていただき、台本を頂いてスタジオに向かったのですが、プレスコアリングでちょっと焦りました。
画のない状態で録られたんですね。
半田:はい。映像を見ながらではなかったので大変でした。こういうご時世なので、掛け合いもできないですし。
鈴村監督:相手のリアクションが見えないからね。大神のデザイン画はできていたので、それを半田君に見せつつ「(半田さんが演じた)『555』の乾 巧っぽいイメージで」と伝えました。
当時を思い出しながら収録に臨まれたのでしょうか?
半田:巧のことを、というよりも、監督からレクチャーを受けること自体に懐かしさを感じました。鈴村監督は『555』のころから演技を役者にゆだねるタイプの方だったんです。
鈴村監督:『555』では半田君が変身後のライダーに声をあてる作業を見てきたので、まったく心配はしていませんでした。
半田:そう言ってもらえるとうれしいです。当時は映像に合わせる形で声を入れていったのですが、まだ完成前でCG処理がされていなかったので、何が起こっているのか想像しづらいシーンも結構ありました。
鈴村監督:ある意味、アニメのアフレコに近かったかもしれませんね。どちらも本当は画ができたものにあてたいとは思いますが(笑)
半田:ともあれ、今回でかなり慣れましたし、もし次に機会があるのでしたらもっとクオリティの高いものをお見せできると思います!
ところで、『555』は2023年で放送20周年を迎えますが、やってみたいことはありますか?
半田:もしできるなら、同じメンバーで最新作を撮りたいですね。
鈴村監督:「もうひとつの『555』」というスタンスで作るのもいいかもしれませんね。当時の映画『パラダイス・ロスト』のようなパラレルですとか。作中で死んでしまったキャラクターもいますし、彼らを復活させるとか。
半田:そもそも20年経ってしまったということで、演じる側もそれなりに歳を取ってしまいましたし、あのころを完全に再現するのは難しいですから。監督がおっしゃるとおり、ちょっと違った設定で演じることができたらいいですね。
ただ、制作するためにはメリットが必要だと思いますし、多くの人を説得できるような意義を見出すのが大変だろうな、というのはあります。
鈴村監督:そこが難しいところですね(苦笑)
話を戻しますが、鈴村さんが『とーがね!』の監督を務められることになった経緯は?
鈴村監督:和田プロデューサーとは昔からの仲でして。最初は別件での連絡だったんですが、それとは別に『とーがね!』の件も相談されたんです。
監督を打診されたのですか?
鈴村監督:最終的にはそういう形になったのですが、最初は彼から「制作に関するアドバイスをほしい」と言われまして。レクチャーをしているうちに「監督をやってもらえませんか?」という話を正式にいただきました。
作品のプロットをご覧になったときの所感をお願いします。
鈴村監督:「街が東西に2分されて対立をする」という設定をみて、正直「大丈夫かな?」と思いました(笑)
ただ、読んでいくうちに町おこしがメインの物語ということで納得しましたね。
懸念材料はありましたか?
鈴村監督:主人公が5人の女の子ということで、それぞれに個性が出るのかがちょっと心配でした。収録の際はそこを特に意識しながらディレクションしました。
メインキャストは鈴村監督の演技指導で非常に勉強になったと絶賛されていました。
鈴村監督:そう言ってもらえるとレクチャーした甲斐があります。今回はプレスコ形式ですし、喜怒哀楽をはっきり出した演技をしてもらいたくて。「メリハリを出してほしい」ということを強くメッセージに込めたつもりです。
半田:今回わかったことなのですが、声優さんの演技を聞いていると、僕らとはやっぱり違うんですよね。“馴染み感”が薄いんです。発声の仕方が根本的に違うからなのかわかりませんが……。
鈴村監督:私は実写の監督が多いので、型にはめるよりも感情を前面に出した演技が好きなんですよね。半田君の演技は作品にしっかりと溶け込んでいたと思うし、私としては違和感はまったくなかったよ。
半田:ありがとうございます!
鈴村監督は実際に東金に行かれたそうですね。
鈴村監督:はい。作品の舞台になった場所に行きまして、現地の方とも交流させていただいたのですが、温かい人たちばかりで。また、ちょうど桜が満開の時期で、景色もすごくきれいでしたね。東金市長ともお話をさせていただき「町おこしに少しでも協力ができれば」という気持ちを改めて持ちました。
町おこしと言えば今年10月、地元のお祭り『日吉神社連合祭典』が8年ぶりに開催されることになったとお聞きしています。
鈴村監督:どうやら『とーがね!』もきっかけのひとつとなって復活が決まったそうで、うれしいです。
今回は関 智一さんや矢尾一樹さんなど、昔から仲よくさせていただいている声優さんに参加してもらったのですが、もし可能なら当日参加してもらいたいな……なんて思っています。
一部のキャラクターのデザインは漫画家の藤沢とおる先生が担当されていることも話題になりました。
鈴村監督:藤沢先生ともつながりがありまして、お願いしたら二つ返事でOKをいただきました!
半田:光栄ですよね。
テレビアニメの第二期があれば、ファンは豪華スタッフ、キャストが集結するのを期待していると思います。
半田:その際はぜひ! 東金はもちろん、日本全国どこでも行きますよ。
鈴村監督:そうですね。私もオファーいただければどこを舞台にした作品でも手がけますので、お待ちしています!
<撮影協力:Cafe&Dining ballo ballo 銀座店>
プロフィール
■半田健人
俳優・歌手・作曲家
1984年6月4日生まれ
『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』のファイナリストに選ばれたことをきっかけに芸能界入り。
『ごくせん』 第5話のゲスト出演でドラマデビュー。
『仮面ライダー555』乾 巧(いぬい たくみ)/ 仮面ライダーファイズ役で初主演を飾る。
『タモリ倶楽部』への出演を機に、高層ビル好きであることが知られるようになる。
鉄道、昭和歌謡といったジャンルへの造詣も深い。
【お知らせ】
半田健人&村上幸平 ツイキャスプレミアム 弾き語りLIVE5
半田健人と村上幸平による弾き語りLIVE!第5弾!「仮面ライダー555」のジャスティファイズはもちろん、特撮ソングを中心に歌い、楽しく語ります!
出演:半田健人 村上幸平
日程:2022年8月21日(日) 20時~22時(終了時間は前後する可能性がございます)
料金:3,500円(税込)*アーカイブは2週間残ります
https://ja.twitcasting.tv/kohei__murakami/shopcart/173309
■鈴村展弘
監督・演出家
1970年6月18日生まれ
東映『特捜エクシードラフト』よりサード助監督として参加。
以来、東映作品で助監督・監督補として務めキャリアを重ねる。
『仮面ライダークウガ』で監督デビュー、『仮面ライダー555』より監督専任となる。
以降、仮面ライダー・スーパー戦隊シリーズの監督として活躍。 北川景子等主演・特撮ドラマ『美少女戦士セーラームーン(’03年)』、 新垣結衣主演ドラマ『sh15uya(’05年)』、 乃木坂46総出演ドラマ『初森ベマーズ(‘15年)』 『湘南純愛組! YOUNG GTO!(‘20年)』などを監督。
『とーがね!おまつり部(‘22年)』ではアニメーションの監督を務める。
【お知らせ】
YouTubeにて鈴村監督がメインパーソナリティーを務める『鈴村監督のグラサンナイト』が公開中。
https://www.youtube.com/c/WalkureMovie