キャラクターの裏に隠された声優たちの素顔に迫る、インタビュー企画『声優図鑑 by声優グランプリ』。今回は、『ぼっち・ざ・ろっく!』の山田リョウ役などで注目を集める水野朔さんを『ぼっち・ざ・ろっく!』の舞台でもある下北沢で撮影した特別編! 劇中のバンド・結束バンドについてや、声優という仕事を目指したきっかけ、今後の目標など、さまざまな角度から語っていただきました。
水野朔(みずの・さく) ソニー・ミュージックアーティスツ所属 オフィシャルサイト:https://smavoice.jp/sakumizuno/ Twitter:https://twitter.com/mizuno_saku
キャストの仲の良さが作品に影響しています
──放送中の『ぼっち・ざ・ろっく!』、すごく面白いです!
ありがとうございます! 私も、とっても面白いと思ってます!
──第5話のライブハウスへの出演オーディションのシーンで、ぼっちちゃん(主人公・後藤ひとりのニックネーム)が極度の緊張で吐きそうになった瞬間、場面が切り替わったじゃないですか。「しばらくお待ちください」というテロップと、次々に映し出される全国各地のダムの写真に。あのシーンを見ていて、腹の底から笑ってしまって(笑)。
私も、あのシーンはずっと楽しみにしていました(笑)。あのシーンのアフレコ用資料素材をいただいたときから、「しばらくお待ちください」という文と全国のダムの映像がすでに貼られていたんですね。これはどういう感じになるんだろうと思っていたら、本当にその映像がまんま使われていて(笑)。あのシーン、めちゃくちゃ面白いですよね!
──嘔吐をあんな手法で表現するなんて、名場面ですよね。あの場面を見てから、『ぼっち・ざ・ろっく!』がますます好きになりました(笑)。まずは、その『ぼっち・ざ・ろっく!』の話からしていければと思うんですが、水野さんはクールで変わり者の結束バンドのベーシスト・山田リョウを演じています。
演じていて思うのは、いつの間にかリョウちゃんが過ごしている青春時代を私も体験しているような気持ちになっているなってことなんです。そう感じるのは、結束バンドのメンバーのグループLINEがあったり、一緒にご飯を食べに行ったり、アニメ内の結束バンドと同じようにキャストのみなさんと仲良くさせていただいているからだと思います。その仲の良さは、演技にも影響しているんじゃないかと思っていて、作品の中でバンドの絆が深まっていくのと同時進行でキャスト同士が仲良くなったことで、あの劇中の結束バンドの雰囲気、成長が表現できたんじゃないかなって。
──確かに、回を重ねるごとに4人の結束が深まっていったし、一人ひとりがどんどん成長していきましたよね。
特にぼっちちゃんの成長が本当にすごいし、1話から見ているとほかのメンバーも含めて応援したくなるのが『ぼっち・ざ・ろっく!』の魅力だと思います。その成長にウルっとしたり、かと思えば爆笑できるシーンもあって笑顔になれる。そのギャップは、『ぼっち・ざ・ろっく!』ならではだなって思いますね。
──クライマックスに向けた展開が、本当に楽しみです。
クライマックスに向けたリョウちゃんは、1話に比べたらさらに図々しくなってるんじゃないかな(笑)。リョウちゃんは前から突拍子もないことを言うんですけど、それは虹夏と一緒のときが多かったと思います。でも今は、ぼっちちゃんにも喜多ちゃんにも言う。それは、リョウちゃんがどんどん心を開いてきているから。特に9話の江ノ島に行く回は一番はっちゃけていて、そのときのリョウちゃんを見ていただけると彼女の素がわかるんじゃないかと思っています。
──リョウちゃんを演じて、一緒に過ごしたからこそ気づいた彼女の魅力は?
最初はクールでダウナーな女の子という印象で、草を食べるシーンもあったので変人で掴みどころのない女の子だなと思っていました(笑)。でも、演技を重ねて内面を理解していくにつれて、ちゃんといろんなことを考えて過ごしていて、真面目な部分もあるんだなって。普段は適当なことを言いがちだけど、空気が読めないわけじゃないし、人を傷つけることも言わない。そんなふうにリョウちゃんのことを理解していくと憎めないし、当初よりも人間味を感じてどんどん好きになりました。
──結束バンドのキャストのみなさんは、アフレコ現場ではどんな様子ですか?
「ぼっちちゃん役のよっぴーさん(青山吉能)は、考えるときに台本を持って人差し指をこめかみに当てています。本人は、気づいていないかもしれません(笑)。喜多ちゃんを演じている(長谷川)育美さんは、喜多ちゃんみたいに動きがすごくかわいいです! アフレコ中の動きが女子高生で、完全に役に入り込んでいるんだなと思います。虹夏役の(鈴代)紗弓さんは、姿勢がめっちゃいいです! 姿勢がいいから、台本の位置が高いんですよ。
──水野さん、よく見ているんですね。
はい! 先輩たちの姿からは、学ぶことが多いですから!
いつか、憧れられる存在になりたいです
──『ぼっち・ざ・ろっく!』では、主人公のぼっちちゃんを始めとする女子高生たちの変化と成長が描かれていますが、水野さん自身はこれまでにどんな変化して、どう成長してきたんでしょうか?
よっぴーさんがラジオで「小学生までは陽キャだった」って言ってたんですけど、私も似ています。大人に対しては人見知りを発動するんですけど、仲良しの友だちの前ではめっちゃはっちゃけて、陽キャみたいな感じでした。でも、特定の親友というか、特に誰かと仲を深めるタイプではなくて、みんなとそれなりに仲がいいっていう。それから高校生になって、そこでやっと他人のことを考えられる人間になったなって自分では思っています。それまでの私は、自分のことばっかり考えていたけど、高校に入って周りのことが目に入るようになってきて、深い仲の友だちも増えました。今でも連絡を取り合っている友だちもいます。高校生になって、気持ち的にどこか大人になったのかもしれません。
──声優になろうと思ったのは、いつぐらいなんですか?
小学5年生ぐらいです。それまでは、『夢色パティシエール』を見たら「私もパティシエールになりたい!」って思う感じだったんですけど、いろんなアニメを見ていくうちに声優という仕事があることを知りました。決定打は、『イナズマイレブン』です。声優になれば、『イナズマイレブン』の登場人物みたいに熱い青春が過ごせて、必殺技を出すこともできる。日常では必殺技なんて出せないから、「声優になったら必殺技が出せる!」と思ったのは子ども心に大きかったです。それから中学生になって、代アニの体験学習に通うようになって。最初は高校の卒業資格も取れる声優の学校に行こうと思って、母にも相談していたんですよ。でも、よく考えた結果、それまでの自分はやりたい職業がコロコロ変わっていたから、専門的な学校に進学して途中でやりたいことが変わったら大変だなと思い直して、普通の高校に進学しました。高校の入学から卒業までの3年間で声優になりたい気持ちが変わらなかったら、もう気持ちは変わらないだろうから、そしたらそこから本格的に声優を目指そうと。そんなふうに考えていて、高校2年生のときに最初に見つけたオーディション(2016年開催の「第5回アニストテレス』)を受けました。それは、あくまでオーディションに慣れておこうと思って受けた形だったんですけど、ありがたいことに今の事務所に声をかけていただいて、高校を卒業した年の夏に上京したんです。
──現在は、小学生時代から夢見ていた声優として活動していますが、今後はどんな声優になっていきたいと考えていますか?
まず、声の演技が本当に楽しくて、私は声で演じることが好きなんだなとあらためて思います。その上で、先輩方の演技を見て勉強になること、アフレコ現場に行かないと得られないことがたくさんありますし、声優のお仕事をさせていただくたびに自分の中で成長が感じられます。自分が納得できる演技を追求して役の人生を生き、努力し続けていきたいと思っています。その姿勢や演技で、いつか誰かの背中を押してあげられるような存在になれたら嬉しいです。
──YouTube文化放送A&Gチャンネル・AG-ON Premiumで配信中の、若手女性声優の登竜門的番組『ラジオどっとあい』で90代目のパーソナリティに就任。毎週金曜日の正午から、『ラジオどっとあい 水野朔の初期値ゼロからのスタートです!』も秋から始まりました。
ラジオは声優というお仕事とは切っても切れない、必要不可欠なものだと思っているのでずっとやりたいと思っていました。今後は、誰かと一緒に番組をやらせていただけるような存在になっていけたら。一人で話すのも楽しいんですけど、何人かで話すことも好きなので!
──結束バンドの4人揃った状態でラジオ番組がやれたら、最高ですよね。
やりたいですね! ラジオ以外では、歌も好きなのでゆくゆくはという気持ちはあります。お母さんが歌手になりたかった人で、子どもの頃から歌は叩き込まれてきたので!
──2023年、プライベートでしたいことも教えてください。
グランピングをしたことがないので、してみたいですね。
──グランピングも、結束バンドのメンバーで行ったら楽しそうです。
うわー! それ、最高ですね! さっそくグループLINEで提案してみます!
アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』番組情報
<CAST>
後藤ひとり:青山吉能
伊地知虹夏:鈴代紗弓
山田リョウ:水野朔
喜多郁代:長谷川育美
<INTRODUCTION>
”ぼっちちゃん”こと後藤ひとりは会話の頭に必ず「あっ」と付けてしまう極度の人見知りで陰キャな少女。
そんな自分でも輝けそうなバンド活動に憧れギターを始めるも、友達がいないため一人で毎日6時間ギターを弾く中学生時代を過ごすことに。
うまくなったギターの演奏動画を”ギターヒーロー”としてネットに投稿したり文化祭ライブで活躍したりする妄想などをしていると、気づいた時にはバンドメンバーを見つけるどころか、友達が一人も出来ないまま高校生になっていた……!
ひきこもり一歩手前の彼女だったがある日”結束バンド”でドラムを担当する伊地知虹夏に声をかけられたことで、日常がほんの少し変わっていくー-。
公式サイト<https://bocchi.rocks/>
公式Twitter<@BTR_anime>