キャラクターの裏に隠された声優たちの素顔に迫るインタビュー企画『声優図鑑 by 声優グランプリ』。
今回登場するのは、『フットサルボーイズ!!!!!』京極聖役、『タロット男子 ~22人の見習い占い師~』ホープ・ハングドマン役、そして2023年放送予定の『夢見る男子は現実主義者』佐城渉役でアニメ初主演を果たす宮瀬尚也さん。
小学5年生で声優の仕事を意識しはじめ、高校卒業後は声優の専門学校へ。「プロになったつもりで毎日を過ごす」という独自の考え方で学生生活を送っていたとか。ほかにも初主演作の見どころや声優になってからの交友関係など、幅広くお話を聞かせてくれました。ユニークな内容で強烈なインパクトを残す宮瀬さんのインタビューに注目です!
宮瀬尚也 オフィシャルサイト:https://kenyu-office.com/miyasenaoya/ ★宮瀬さんの手書きプロフィール公開中! |
異世界転生に憧れたのは小学5年生の頃
――幼少時はどんな子どもでしたか?
あまり記憶にないんですけど、幼少期からいろいろなところに連れて行ってもらって、毎週外食、外出していたみたいです。
――小学校から高校くらいまで、熱中していたことはありますか?
小学生の頃はよく自由帳に絵を描いていました。自分で考えた海賊船みたいな絵を描いて、その間取りを自分で考えるのが好きだったんですよ。絵本か何かから影響を受けたみたいです。今も絵はたまに描きますけど、全然うまくはなく(笑)。その頃は、冒険したいというか、たぶん異世界とかファンタジーの世界に行きたいっていう気持ちがあったんだと思います。その時の気持ちが、声優になった今の自分につながっているので。
――ファンタジーや二次元の世界を意識し始めたのは、いつ頃から?
異世界転生とか、作品の中に入ってみたいと思うようになったのは、たしか小学5年生くらい。声優になりたいと思ったのも同じ頃です。学校の行事で観に行ったミュージカルに憧れて、でも歌やダンスをできる気がしなくて……。ほかに役者関係の仕事を調べていたら、声優という職業を見つけたんです。ちょうど同じ頃に深夜アニメを見始めていて、『灼眼のシャナ』を観た時に「この世界に入りたい!」と強烈に思いました。
――同時期にさまざまな刺激を受けていたのですね。『灼眼のシャナ』はどんなところが好きだったんですか?
まずはヒロインを好きになったんですよ。登場人物の一人ひとりにストーリーがあるから、こんな人生もあるんだ、と没入することもできて。戦闘シーンは小学生の「戦いたい!」っていう気持ちを刺激してくれました。
「命をかけて学ぶ」と誓いを立てて専門学校へ
――高校卒業後に日本工学院専門学校に入るまではどんなふうに過ごしていましたか?
中学時代は3年間陸上部で部活に明け暮れて、家ではネットゲームばかりで過ごしたんですけど、高校を卒業する時に、大学、養成所、専門学校のどれに進むのか悩みました。結局、大学を選んで受験勉強をしていましたが、最後の最後でやっぱり声優になりたいなと。
――大学はすんなり諦められましたか?
そもそも気持ちは専門学校のほうに向いていたんです。今となったらいろんな選択肢があることがわかりますけど、その頃はみんなが大学に行くなら自分もそのほうがいいのかなと思っていたんですよね。親には反対されましたけど、それまでなんとなく高校に通っていた時期と違って、「命かけて学びます!」という誓いを立てて。
――その結果、声優になっていますから、かなりの努力があったのではないかと思います。
頑張ったというより、「プロになりたいんだったら、すでにプロだと思って学ぼう」という気持ちで毎日過ごしていました。朝5時頃に起きて、現場と同じように、学校には絶対に遅れないで1時間前に到着。雪が降る日は始発で行くこともありました。
――「プロの気持ちで過ごす」と、さらりとおっしゃりましたがそれはすごいことですね。
目指すだけでは一生成長できない気がしていて。でも、すでにプロなんだと思ったら本気で戦えるし、高いレベルを目指せる。専門学校でトップになったら、きっとどこかの事務所に所属できるはず!と思っていました。今考えると甘いんですけど。
――実際、成績はどうだったのか気になります。
おかげさまで、成績表はすごかったですよ。S、S、S、S……でSばかり。
――すごい。
これは本当です(笑)。
――当時と今で演技への向き合い方に変化はありますか?
自分の出ている作品を見て「まだまだだな」と思うことばかりなのですが、そんな中でも「これはいいな」と思えることも出てきて、ようやく自分の演技を客観的に見られるようになってきた気がします。
――今年はいよいよアニメ初主演を務める『夢見る男子は現実主義者』が放送予定。見どころを教えてください。
なんといっても、女性のキャラクターが全員タイプといっても過言ではないくらい魅力的! そしてキャラクターたちのすれ違いも見どころです。これがもう本当にもどかしくて……。佐城渉くんを演じながら、客観的に見ている自分としては「なんでそこですれ違うんだ〜!」って心の中で叫び続けていますから(笑)。観ている方にもこのもどかしさを感じてもらえたらと思います。
――ラブコメ作品ですけど、ご自身の恋愛観と重なるところも?
難しいなあ……でも、似ているところはあるかも。僕自身、ウザいと言われてもアタックし続けるタイプだと思うので。でも佐城渉くんは、いろんな女性から言い寄られて羨ましいなと思います(笑)。
注目してくれる方を大切にしたい
――恋愛のドキドキ感を楽しみたい人は必見ですね。声優としてますます忙しくなる毎日だと思いますが、お休みの日は何をして過ごすことが多いですか?
ずっと寝ています。朝一度起きて、また寝て、昼頃に起きて、また寝て……それを繰り返した後、夜10時くらいになってから「やばい! 一日が終わる!」と気づいて、ご飯を食べ、お風呂に入って寝るんです。仕事の時は思うんですよ、ゲームしたい、実家に帰りたい、旅行もしたい……とか。でも、いざ休みになると寝てしまいます。布に包まれているのが気持ち良くて(笑)。
――それはもう、本当にエネルギーチャージしているんですね(笑)。趣味の散歩に行くことは?
現場の移動がある時はけっこう歩いています。原宿から新宿までとか。街並みを眺めてみたり、時間があれば、気になる道を曲がってみたり。でも、最近は時間が空いたら家に帰って、パソコンをいじったり仮眠していたりすることが多いです。
――声優同士の交流で、よく会うような方はいますか?
ホーリーピークの山本智哉さんです。先輩ですけど冗談を言い合えるような関係で、仲良くさせてもらっています。一緒にゲームしたり、都合があえばご飯に誘ったりとか。以前、一緒に食事したあと、山本さんの家まで2時間かけて歩いて帰ったことがあって。僕はそこからまた自宅まで2時間かけて歩いたんですけど……(笑)。
――それくらい一緒にいても話が途切れないと。
そうですね。ずっとゲラゲラ笑いながら。最近は全然構ってくれないので寂しいなあ(笑)。それから『フットサルボーイズ!!!!!』で同じチームだった先輩方にもお世話になっています。峯田大夢さんはお兄さん的な存在で、馬場惇平さんは「面倒くさい」と言いながらも、「いつご飯に誘ってくれるの?」って聞いてくださるので、僕のことが好きなのかも?(笑)
――そういえばTwitterで「ファッションではなくナチュラルに狂人」と言われたことがあるという投稿がありましたが、宮瀬さんにはそんな一面も?
話す機会の多いディレクターさんがおっしゃった言葉なんですけど、その日は睡眠不足でテンションがおかしかったんです。ずっとハイテンションで喋っていたので、“変人ぶってるわけじゃなくて本物だね”っていう意味だったのかなと。でも、自分でも変だと思います(笑)。
――これから、そういった一面が公の場でも出るかもしれませんね(笑)。
「喋らなければイケメン」と言ってくださる方もいますが、化けの皮がはがれていくかもしれません(笑)。
ナチュラルな芝居もアニメっぽい芝居もできるように
――声優を目指していた頃は、どんな将来を描いていましたか?
宮野真守さんのような歌って踊れる声優を目指していて、事務所のオーディションでも「東京ドームを埋めて5万人のライブをします」と言いました! いざ声優になってみたら簡単ではないことがわかったし、何度か歌わせていただいた作品もありますが、まだまだ足りない部分が多くて……。でも今は、あくまでも声優は芝居ができることが大前提で、アイドルのような活動はそこに付随するものかなと思っています。
――声優のお仕事でこだわっていることがあれば教えてください。
プロになって先輩に言われたことがあるのは、どんな現場に入ってもスタッフさんたちと対等な立場でいるということ。これは常に意識しています。ディレクションは大切に受け止めながらも、自分でいいなと思う表現は、遠慮なく出していくようにしたいです。
――今年はアニメ初主演ということもあって、宮瀬さんにとって特別な一年になるかもしれませんね。これからどんな声優になっていきたいですか?
共演させていただいた花守ゆみりさんをはじめ、細谷佳正さん、宮本侑芽さんなど、第一線で活躍されている方たちは、本当にそこに存在しているかのような、ナチュラルなお芝居をされるんです。それでいて、さらにアニメっぽいお芝居もされるので、僕もそういう声優を目指します。その上で、マルチタレントとして求められる歌やダンス、フリートークの瞬発力も身に付けていきたいです。
【声優図鑑】宮瀬尚也さんのコメント動画
次回の「声優図鑑」をお楽しみに!
撮影=石田潤、取材・文=吉田あき、制作・キャスティング協力=吉村尚紀「オブジェクト」