大の歌謡曲好きを公言する雨宮天さんが、まるでプライベートのカラオケ気分で自分の好きな歌をひたすら歌いまくる『雨宮天 音楽で彩るリサイタル』。2年に一度の開催が、好評を博してついに第五回にまで到達! 今回も天ちゃんバンドでおなじみ“ちゃんへい”こと荒幡亮平さんをピアノ演奏に迎え、珠玉の音楽を奏でていた。
シティポップに知る人ぞ知るオススメ曲も! リサイタルの新しい試み
2017年に第一回が開催され、5回目ともなるともはや定番のイベントとなってきた感のある『雨宮天 音楽で彩るリサイタル』だが、その楽しみ方は人それぞれだろう。もともと歌謡曲が好きな人、もしくは昭和の時代を生きた人にとってはどんな楽曲を雨宮さんが歌ってくれるのかを予想しながら。あるいは歌謡曲をよく知らないという人でも、楽曲の雰囲気によってさまざまな表現を見せる雨宮さんの歌のポテンシャルに圧倒させられる。何より見ていて楽しいのは、雨宮さん自身がいちばん楽しんでいる様子がステージから伝わってくること。今回も雨宮さんに負けず劣らずの歌謡曲愛好家である天ちゃんバンドのバンドマスター・荒幡さんと作り上げる音楽で、会場に集まった多くのファンを魅了した。
1曲目はリサイタルでは欠かすことのできない中森明菜の楽曲から「少女A」をチョイス。デビュー初期にリリースされたものだけに反抗期の少女らしい尖った歌詞が印象的な楽曲だが、これが雨宮さんにはよく似合う。「じれったい、じれったい」の振付けも再現したという雨宮さんは愚痴っぽい歌詞の曲が歌っていて楽しいとのこと。「そんなつもりはなかったんだけど、この後も愚痴っぽい曲が出てきます。特に男性に対する愚痴になりますので、男性の皆さんは喜んでお待ちください(笑)」と、MCでは異例の注意喚起(?)をしていた。続く2曲目「真夜中のドア~stay with me」(松原みき)は少女から一気に大人になり、情感たっぷりに歌い上げる。こちらはジャンル的には歌謡曲というよりシティポップとなり、雨宮さんとしても挑戦の1曲だ。松原みきといえば『劇場版ダーティペア』や『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』など80~90年代のアニソンでも知られるが、MCの中で荒幡さんから『GU-GUガンモ』のオープニングとエンディングも歌っていたことを教えられて盛り上がる一幕も。
このリサイタルで歌われる楽曲たちは世代を超えて誰もが知っている不朽の名曲、もしくはリアルタイム世代にはドンピシャで懐かしい往年の大ヒット曲が歌われることがほとんどだったが、今回は「私がオススメしたい曲」として知る人ぞ知る隠れた名曲を歌う場面も。その最初の曲が、記念すべき第一回のリサイタルでオープニングナンバーとして歌った「異邦人」のオリジナルアーティスト・久保田早紀の「シャングリラ」。「異邦人」を彷彿とさせるエキゾチックな歌詞とメロディーは、雨宮さんが初めて聴いて“一聴き惚れ”したというのもうなずけるほど印象的で、これをきっかけに原曲に興味を持った人も少なくなかったのではないだろうか。ちなみに雨宮さんが「シャングリラ」を知ったきっかけは雨宮さん以上に歌謡曲に詳しいという大地葉さんと一緒にカラオケに行ったときに大地さんが歌っているのを聴いたことだったという。「シャングリラ」に続いては「駅」(竹内まりや)、「赤いスイートピー」(松田聖子)と、前半はゆったりと身をゆだねられるような楽曲が続いていく。「赤いスイートピー」はさすがに客席のほとんどの人が知っているようで、イントロが流れた瞬間にペンライトの色を赤色に切り替えた人も多く、その様子を見た雨宮さんは「スイートピー畑が広がっていて、揺らしてくれていましたね」と笑顔を見せていた。
本人作詞作曲の新曲をサプライズで初お披露目!
中盤では荒幡さんのピアノ伴奏のみで楽曲をお届けするピアノコーナーに。ここでは雨宮さんも椅子に腰かけて、ゆったりとした気分で歌声を響かせる。「なごり雪」(かぐや姫)、「糸」(中島みゆき)、「最後の雨」(中西保志)と3曲続けて歌ったピアノゾーンの楽曲たちは、どれも胸がキュッとなるような曲ばかり。雨宮さんの気持ちがこもった歌声も、静寂に包まれた会場全体へと響き渡る。まさに極上の音楽を楽しめる時間帯となっていた。
3曲を終えたところで、雨宮さんから会場のファンへのサプライズ! このリサイタルのために、自作の新曲を用意してきたという。振り返れば第二回で初めて作詞・作曲に挑戦した「火花」を1コーラスだけ披露したことはあったが、そこから曲作りのスキルも上がったということで今回はフルサイズでお披露目することに。こちらも荒幡さんのピアノと共に歌い上げた「Heart Note」は「私としては新しい」という甘いピアノバラード。作家としての雨宮さんの新境地が見られたような1曲だったが、残念ながら現段階ではCDに収録される予定はないとのこと。いつか音源として聴ける日が来ることを期待したいところだ。
ここまでバラエティー豊かな構成で楽しませてくれたリサイタルも、残すところあと3曲。ラストスパートの先陣を切るのは、「シャングリラ」と同様のオススメ枠である「サファリ・ナイト」(大橋純子)。男女の恋愛をサファリになぞらえた歌詞は令和の今ではあまり見られない、いわば昭和歌謡の醍醐味が詰まっているともいえる楽曲で、これも雨宮さんが知ったきっかけは大地さんとのカラオケだったという。続いて歌ったのは90年代のヒット曲「「男」」(久宝留理子)。これこそが序盤で予告していた「男性に対する愚痴」を歌った歌で、男性に対する不平不満をぶちまけたセンセーショナルな歌詞はオリジナルの発表当時にも大きな話題を集めていた。そして、ラストを締めくくるのは永遠の歌姫テレサ・テンの代表曲「時の流れに身をまかせ」。
「私の歌謡曲への愛がもし伝わっていて、こうやって第五回を迎えられていたのだったら、こんなにうれしいことはないです。そして、私の歌を聴きに来てくれている皆さんに毎回言うことになってしまうのも忍びないですが、絶対に本家を聴いてください!」
雨宮さんによる“布教”が完了してこそのリサイタル。そんな歌謡曲愛を全身で浴びられるイベントがこれからも続いていくことを願いながら第五回の幕が下ろされた。
取材・文/仲上佳克
◇SET LIST◇
第五回 雨宮天 音楽で彩るリサイタル 昼公演
01. 少女A(中森明菜)
02. 真夜中のドア~stay with me(松原みき)
03. シャングリラ(久保田早紀)
04. 駅(竹内まりや)
05. 赤いスイートピー(松田聖子)
06. なごり雪(かぐや姫)
07. 糸(中島みゆき)
08. 最後の雨(中西保志)
09. Heart Note
10. サファリ・ナイト(大橋純子)
11. 「男」(久宝留理子)
12. 時の流れに身をまかせ(テレサ・テン)
◇Profile◇
雨宮 天
あまみやそら●8月28日生まれ。ミュージックレイン所属。主な出演作はアニメ『卓球少女 -閃光のかなたへ-』(ワン・ルー)、『#コンパス2.0 戦闘摂理解析システム』(ジャンヌ)、『黒岩メダカに私の可愛いが通じない』(湘南旭)ほか。
◇リリース情報◇
ライブでも披露した楽曲が多数収録!
『COVERSⅢ-Sora Amamiya favorite songs-』
2025年6月18日(水)発売
4,000円(税込)
<収録曲>
01. シャングリラ (オリジナルアーティスト:久保田早紀)
02. 初恋 (オリジナルアーティスト:村下孝蔵)
03. 赤いスイートピー (オリジナルアーティスト:松田聖子)
04. シルエット・ロマンス (オリジナルアーティスト:大橋純子)
05. 雨の慕情 (オリジナルアーティスト:八代亜紀)
06. DESIRE―情熱― (オリジナルアーティスト:中森明菜)
07. 駅 (オリジナルアーティスト:竹内まりや)
08. 糸 (オリジナルアーティスト:中島みゆき)
09. 最後の雨 (オリジナルアーティスト:中西保志)
10. 時の流れに身をまかせ (オリジナルアーティスト:テレサ・テン)
雨宮天 公式Twitter https://twitter.com/Amamiyastaff
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