声優として成功する秘訣は
「人間付き合い」と「器材付き合い」
この世界は、人間が人間を使います。うまい、ヘタもあるけれど、好みの人間を採用することも多い。だから寡黙な人、人付き合いが苦手な人は向かないようですね。実は社交術も、役者として成功する一つの要素。だからといってプロデューサーやマネージャーにわざとらしいお世辞を言った覚えはありませんよ。心のもち方一つで変わってくるものがあるということです。
それから我々の商売は、器材との関係も重要です。相手は一生マイクですから、声優になろうという人はまず録音器材を手に入れること。数千円のものから始めればいいでしょう。自分の声を繰り返し聴いて、耳を良くし、欠点なり長所なりを発見するのです。我が家はもうスタジオ状態ですよ(笑)、次から次へと買い換えていきましたから。1週間に1回は録音し、それを寝る前に聴く、車に乗ったら聴く。自分の声にほれているわけじゃない、欠点を見いだすために何度でも聴くのです。
プロとは、生やさしいものではありません。では、選ばれた人間しかプロになれないのかといったら、そうじゃない。誰にでもチャンスはあります。そして常に、自分が役者であることを自覚し精進すること。あなたが本当に演じることが好きなら、きっとやってのけるでしょう。
最後に一言。「好きだからこそ努力もできる。我慢もできる」。
(2008年インタビュー)