2020年にアーティストデビューを果たし2枚のミニアルバムを発表した工藤晴香さんが、7月7日に1stシングル「Under the Sun」をリリース。カップリングを含め新たなチャレンジがたっぷり詰まった1枚を作り上げました。そこで、ご本人にインタビュー! 制作の裏側を語っていただきました。
冷静に客観視できるようになってきているのかも
――今回のシングルは、夏にピッタリの明るいメロディですね。
今回もデビューアルバムからお世話になっている平地(孝次)さんが作曲してくださったんですけど、聴いたときに私もすごく夏っぽくてポジティブなメロディだなと思いました。
リリース自体も夏だし、「じゃあ、歌詞も夏っぽい感じにしよう」という話になって。
スタッフさんが「恋愛要素が入っている夏曲にしたらどうでしょうか?」と提案してくれました。
――メロディからイメージが膨らんでいったんですね。
そうですね。ただ、これまでリリースしたミニアルバム2枚で私自身の思いや経験を主体にした楽曲は作ってきたので、シングルでは“自分”を一旦切り離してみんながいろんな捉え方をできる作品にしたいと思っていたんです。
なので、今回は俯瞰で観ているような感じです。
あえて映画の要素を入れて、鑑賞している自分とスクリーンの中にいる誰かという位置関係で、物語のような歌詞を書こうとイメージしていました。
――では、今回作詞するにあたりインスピレーションを受けたものというと?
今までに観てきた映画や小説、漫画といったあらゆる作品からインスピレーションを受けていると思います。
――Twitterに「歌詞かいてる」と投稿していましたが、あのときの歌詞が今回のシングルなのでしょうか?
あっ、そうです。あの瞬間、まさに書いていました。
――「明後日までに間に合うかな」とも投稿していましたが、1日で書きあげていましたよね。
そうなんです。今までは歌詞を書くために机に向かって「テーマは何にしよう? テーマテーマテーマテーマ……」と考え込むところからスタートしていたんですけど、今回は「恋愛ソング」「夏」「キャッチー」とある程度テーマが固まっていたのでやりやすかったんです。
おかげで、過去最速で書けました。
――では、制作過程で苦労した部分というと……?
「難しかったな」とか、「大変だな」と感じた部分は今回無いですね。
レコーディングも過去最短レベルでスムーズに終えられましたし。
あ、でも、サビだけ別日に録ったんですよ。
心も体も元気で「行け行け!」って感じでレコーディングしていったんですけど、いざ歌ってみたら「サビは今日じゃないな」とふと思って……。
レコーディング前に別の仕事が入っていたので、自覚がないうちに疲れていたんだと思います。
スタッフさんに「サビだけ別日でもいいですか?」とお願いして、後日録り直しました。
――具体的には、何がいつもと違ったんでしょう?
言葉でいうと、声の太さですかね。
録り直した日にスタッフさんから「声が太くなったね」と言われたので良かったです。
“THE サビ”というか、サビらしい声になっていると思います。
――直感でそこまで気づけるのもすごいですね。
前回までそういう感覚はなかったんですよ。
経験を経て、冷静に客観視できるようになれているのかもしれません。
――MVは映画をテーマにした面白い映像に仕上がっていましたが、工藤さんからは何かオーダーされましたか?
監督とオンラインミーティングをした際に、「歌詞に映画の要素が散りばめられているので、映画っぽくしましょう」という話になって。
監督から「工藤さんと相手役を登場させて、歌詞に沿った物語を進めていく感じでしょうか?」という提案をいただいたんですが、そうすると歌詞の内容が“工藤晴香の思い”に見えてしまうじゃないですか。
なので、「まったく別物にしたいです」「歌詞とはそこまでリンクしないように、でも映画の要素は面白いので生かしてもらいたいです」とはお伝えしました。
そうして、“ゾンビと戦う工藤さん”なMVになったんです。
――恋愛映画ではなく、ゾンビ映画に。しかも工藤さんは、映画の主人公と映画の鑑賞者という1人2役を演じていました。撮影はいかがでしたか?
大変でした。めちゃめちゃ大変でした(笑)。
映像のお芝居の経験はあるけれど、声のお芝居とは違うなとあらためて感じましたね。
声のお芝居だと「おはよう」の一言で終わるシーンも、映像だと「おはよう」という私の顔のアップと、横からのカット、背中側からのカット……といろんなアングルで撮るので同じ芝居を何度もしないといけないんです。
それがめちゃめちゃ難しかったなと。
――カット数も多そうですよね。そもそも1人2役ですし。
多かったですね!(笑) 映画の主人公側だけでも、銃を撃って外すカット、弾が入っていないカット、巻き戻して命中するカットといろいろ撮りました。
でも、楽しかったです! 映画に出ているような感覚も面白かったですし。
――前作までとテイストが大きく異なりますし、ファンの方々にとっても新鮮なMVとなりそうですね。また、ジャケットもポップでかわいらしい雰囲気です。
夏っぽい明るい感じにしたかったので、「プールサイドで撮りたいです」とお伝えしました。
でも、実はこの日すごく曇っていたんです。
私は晴れ女なので、雨予報が曇りで留まってくれたんですけど、厚い雲は消えてくれず、どんより(笑)。
あと、海の近くのスタジオだったのもあって海風がビッシビシ体に当たるんですよ。
――撮影時期はまだ肌寒かったのでは?
そうなんです! 服も夏仕様だったので、めちゃめちゃ寒かったです!
都会のビル風とはまた違う風で「寒っ!」と何度もなっていましたね。それが思い出かな(笑)。
とはいえ、ライティングにすごくこだわってくださって、仕上がりを見てみたら太陽が照りつけているような明るい写真になっていたのでホッとしました。
スタッフさんたちがいろんな工夫を凝らしてくれてありがたかったです。
――ちなみに、タイトルにちなんで工藤さんにとって“太陽”みたいな人は誰なのか聞いてみたいです。
誰だろう? やっぱり、家族じゃないですか?
一緒にいるからといって特別「明るくなれる!」「元気になれる!」といった存在ではないですし、何かを逐一相談するほど頼りきっているわけではないけれど、温かいんですよ。安心できる存在ですね。