キャラクターの裏に隠された声優たちの素顔に迫る、インタビュー企画『声優図鑑 by声優グランプリ』。
今回は、2024年4月からJTB Next Creationで声優活動をスタートさせたばかりの上原あゆみさんが登場。小さな頃は人見知りで、女の子だけのクラスで3年間過ごしたという高校時代からアクティブになり、声優を目指して専門学校に入ったという上原さん。仕事とプライベートにまつわる本音を聞かせてくれた、上原さん史上初のインタビューに注目を!
上原あゆみ |
「私は声優になるんだ」と当然のように思っていた
――まずは、今日の衣装のポイントを教えてもらえますか?
最近大人っぽい服に惹かれてロング丈のワンピースをよく着るんですけど、今日はスカートにしました。フリルやリボンがついている可愛い感じの服も久しぶりです。
――上原さんの内面に近いのは、可愛いのと大人っぽいのとどちらですか?
一人っ子だからなのか、人見知りで、マネージャーさんからよく「借りてきた猫みたい」って言われるんです(笑)。最初はツンとして見えることがあるかもしれないけど、仲良くなったらグイグイいけるほうです!
――声優という仕事のどんなところに憧れましたか?
なりたいと思った明確なきっかけが思い出せなくて。小さな頃からアニメを観ていて、気づいたら、私も声優になるんだと自然と思っていました。自分が読み取った感情をそのままお芝居に乗せて伝えられるところが、すごい職業だなと思います。
――というと、お芝居に興味を持ったということ?
自分の感情を表に出すのが苦手なので、キャラクターを演じると、人前に立って喋ることの恥ずかしさがなくなるというか。自分じゃない存在になると強くなれる気がして。専門学校で初めてお芝居をした時、普段は出していないような喜怒哀楽を躊躇なく表現することができて、感情を表に出すことの楽しさを知りました。
――初の演技で壁にぶつかることもあったんじゃないかと思いますが、専門学校で一番学べたと思うことは?
舞台が苦手で。恥ずかしいとか緊張するというより、生身の自分を見られている状況から逃げ出したくて。でも音楽や照明がつくとスッと入り込めて、全部で2回あったんですけど、2回目の舞台は楽しめました。1回目は双子の猫の役で、相方の女の子が一緒に相談しながら支えてくれる子だったから、頑張れたのかなと思います。2回目は裏表が激しいアイドル役で、裏では言葉遣いが悪くなって「オラ〜!」と声を張り上げるようなセリフもありました。
国語の授業でずっと妄想している子供でした
――徐々にお芝居を楽しめるようになった様子が伝わります。もう少し過去を振り返ったお話を聞きたいのですが、小さい頃はどんな子供でしたか?
スーパーに行ってもお母さんの手をずっと離さないような子でした。その頃から目立つのが嫌いで、特にフルーツバスケットっていう遊びがあるのですが、それが苦手で。そういう機会があると仮病を使って逃げていたくらい。でも今、役に立っているなと思うのは、そういう時に国語の教科書に載っている物語の世界に1人で入り込んでいたことですね。その話の中に私がいたらどうなるんだろう…とか、授業中なのにずっと妄想してました(笑)。
――すごいですね。物語の中に自分を登場させられるなんて、このお仕事に向いているんだろうなと思います。
お話を読んで絵を描くような図工の授業でも、発想が面白いと言われて……。なんだろう、お話を読んだまま描くんじゃなくて、お話の先にある設定を細かく考えて描いていた記憶はあります。でも、中学生の時にライトノベルにハマって自分でも挑戦したら、分量の多さについていけなくて挫折しました(笑)。
――ライトノベルが好きだったんですね。他にも、10代の頃にはまっていたことはありますか?
山口県の田舎のほうの出身なんですけど、趣味や部活というより、とにかく学校が楽しかったです。1学年に男の子が10人くらいしかいない女子校みたいな学校で、3年間女の子だけのクラス。バレンタインはタッパーの中に作ったお菓子を入れてきて交換会をしたり、みんなでキャッキャ言いながらプール掃除をしたりとか。文化祭ではファッションショーとダンス、バンドに出ていたし、体育祭では対抗リレーに出ました。
――人見知りだった小さい頃に比べると、すごくアクティブになった印象ですね。
女の子しかいなかったから気が楽になったんだと思います。コロナ禍でずっと友達と出掛けられなかったので、その間に貯めたお小遣いで仲のいい友達と2人でハウステンボスに旅行して。それが高校時代の一番の思い出です。その子は委員長になるような目立つ子だったんですけど、2人でいる時はお互いによく喋って。今は声優の仕事を応援してくれています。
特徴のない声を「演じ分け」で活かしたい
――今はレッスンを受けながら声優の仕事を始めているそうですが、実際のアフレコ現場を経験してみていかがですか?
私、いつも役作りをしすぎるところがあって、ディレクションをいただいた時になかなか変えられないのが今の課題かなと思っていて。周りの先輩方は、しっかり役作りをされている上に、ディレクションで柔軟に対応されているのですごいなと思いました。
――憧れの声優さんがいたら教えてほしいです。
ファイルーズあいさんに憧れています。アニメでも、エンドロールを見るまで演じている役がわからなかったりして、キャラクターごとの演じ分けがすばらしいなと。私の声は特徴的なほうではないので、演技で役を演じ分けられるようになりたくて。
――自分の声の特徴について把握されているとは、さすがですね。周りから言われることもありますか?
こういう役が合うねっていうのは先生や友達から言ってもらえるんですけど、合いそうな役っていうのがバラバラで。それが悩みでもありつつ、何かに活かせたらいいなと思って。結果、演じ分けられるようになろうと思いました。
うちのワンちゃんのクロワッサンみたいな匂いが好き
――プライベートではまっていることを教えてほしいです。プロフィールには趣味に「キツネやオオカミの動画を見る」、特技に「散歩している犬の種類当て」と書かれていて、動物がお好きなのかなと。
大好きです。おっしゃる通り、キツネとか犬とか、耳が三角形の動物が好きで。うちでもワンちゃんを飼っていて、ほんとは猫も大好きですけど、重度の猫アレルギーなので猫は動画を観て癒されてます。ワンちゃんの匂いも好き。うちのワンちゃんはクロワッサンみたいな匂いが好きなんですよ。あと、ガソリンの匂いも好きです。
――ガソリンの匂い好きって、時々聞くんですけど……。
みんな好きじゃないですかね? 私の周りでは「私も好き」って言われることが多い気がします。親とガソリンスタンドに行った時は、外に出てなるべくいっぱい匂いを嗅ぎます(笑)。
――好きな匂いを逃さないように(笑)。
でも香水とか、ちゃんといい匂いも好きで。通り過ぎた人の香水を当てられます。学校でも「今日○○つけてるでしょ?」って香水を当てていたら、周りから気持ち悪がられて(笑)。
――(笑)。じゃあプライベートの時間は、動物の動画を観たりしながら過ごしていると。
そうですね。それ以外の時間は基本的にずっと寝ています。寝るのが大好きで。でも眠りが浅いって言われたので鍼を刺してもらったら、すごく眠れるようになりました。鍼を刺してもらって起き上がった瞬間から体が軽くて、次の日の朝、よく眠れたことをすごく実感しました。
――鍼って、痛いかもって思う人が多いと思うのですが。
そうですよね。でも髪の毛より細い鍼だと紹介されてたから。行ってみたら、すごく気持ち良かったのではまりそうです。おうちでは美顔器も使うし、ネイルサロンにも毎月行きます。
バトル系のアニメ出演とキャラソンに憧れます
――これから演じてみたい役や、出演してみたい作品のジャンルはありますか?
バトル系に出てみたいです。戦う女の子がすごく好きなので。キャラソンにも憧れがあって、担当したキャラクターの歌を歌うことが、以前からずっと変わらない目標です。
――アニメをよく観ていたそうですが、その中にはバトル作品も?
はい。小学生くらいから少年ジャンプを読んでいたから、ですかね。バトルものに憧れます。小さい時も、ポケモンやアイドル系は全然観てなくて。男の子がはまるようなアニメが好きだったので、そこから影響を受けているかもしれません。
――キャラソンを歌うとしたら、どんな曲のイメージですか?
どんなキャラクターに合うのかわからないけど、普段はかっこいい系の歌が好きなので、かっこいい歌を歌えたら嬉しいなと思います。
――好きなアーティストさんが、かっこいい系とか?
ボカロがすごく好きで。女の子のアイドルも好きで、そういう歌も聞きます。推しは、MEWM(ミューム)っていうグループのももこちゃん。Xを見るのが大好きで、ももこちゃんのXがすごく面白いので好きになりました。=LOVEの歌もよく聴きます。指原莉乃さんが歌詞を書いていたりするんですけど、女の子に寄せているような歌詞がすごく可愛くて好きです。
――最後に、この記事を読んでいる方に伝えたいことはありますか?
まだまだ新人ですが、これから頑張ってきっとたくさんの作品に出ると思いますので、ぜひ見守っていただけたら嬉しいです。
撮影=石田潤、取材・文=吉田あき、制作・キャスティング協力=吉村尚紀「オブジェクト」