キャラクターの裏に隠された声優たちの素顔に迫る、インタビュー企画『声優図鑑 by声優グランプリ』。今回は『学園アイドルマスター』にて紫雲清夏役を務め、持ち前の歌とダンスでステージにも立つ湊みやさんが登場! ゲームがきっかけで「声優になりたい」という夢を抱いた幼少期のエピソード、そして少年役やソロアーティストとしての活動を目標に掲げる未来予想図まで、たっぷりと語っていただきました。
![]() 湊みや みなとみや●12月16日生まれ。俳協所属。主な出演作は、アニメ『盾の勇者の成り上がり』(亜人の少女)、ゲーム『学園アイドルマスター』(紫雲清夏)、『マブラヴ:ディメンションズ』(グレーテル・イェッケルン)、『ブラウンダスト』(イーヴリン)ほか。 公式HP:https://haikyo.co.jp/profile/profile5.php?ActorID=13064 ★湊さんの手書きプロフィール&コメント動画は2ページ目に! |
ゲームがきっかけで「声優になりたい」と強く思いました
――幼少期はどんな子供でしたか?
音楽が大好きな子供でした。ずっと音楽の道に進みたいと思っていて、ピアノやホルン、トロンボーン、合唱、オペラなど、幅広く習い事をしていました。ただ、性格は明るいというより落ち着いていて真面目なタイプ。暗いわけではないんですけど、大人びているねと言われることが多かったです。
――いろいろな音楽に挑戦していたんですね。それはご自身の希望だったんですか?
もともと家族がみんな音楽をやっていて、兄と母がピアノを弾いていたり楽器を習っていたんです。それを見て私もやりたいなと思ったのがきっかけです。家にピアノもあったので、いつでも練習できる環境でした。それもあって、最初の夢は音楽の先生になることでした。
――その頃からアニメや声優のお仕事にも興味を持っていたのでしょうか?
小さい頃からアニメは好きで、アニメを通じて友達ができたこともありました。そして小学校高学年の時に声優さんの存在を意識するようになり、『アイドルマスター シンデレラガールズ』にハマったことがきっかけで「声優になりたい」と強く思いました。小学校の卒業文集に「声優になりたい」と書いた覚えがあります(笑)。
――夢や目標は周囲に公言するタイプだったんですね。
友達に言いふらすほどではなかったですけど、家族にははっきり伝えていました。「声優になりたい、『アイドルマスター』に出たい。そのために必要な習い事をさせてください」とお願いして、そこからダンスや歌を練習するようになりました。
――ダンスはどのタイミングで始めたんですか?
小学校高学年の頃に、近所のヒップホップのスクールで3年間ほど習っていました。ちょうど声優や『アイドルマスター』の声優さんを意識しはじめた時期で、友達に誘われたこともあり、将来のためにもやってみようかなと思ったのがきっかけです。その後はヒップホップをやめて、オーディションにも役立ちそうなK-POP系のダンスや“歌いながら踊るダンス”を独学で始めました。
――幼少期から音楽やダンスに触れていたんですね。当時、特に影響を受けた作品や声優さんはいますか?
もちろん『アイドルマスター』は大きかったんですが、最初に好きになって声優さんの存在を意識したのは『WORKING!!』というアニメです。大好きで、その作品がきっかけで同じ趣味の友達が増えて、アニメが自分にとってより身近で大切なものになりました。クラスで大っぴらに言うことはなかったんですけど、同じ趣味を持つ子たちとは仲良くなって、放課後に「昨日のアニメ観た?」と感想を言い合ったり。そういう時間がすごく楽しかったです。
――当時の友達が今の湊さんの活躍ぶりを見たらきっと驚きそうですね。
驚いてくれると思います(笑)。当時仲良かった子とは、今でも年に一度くらい食事に行きます。まだ大きな作品に出演してからは会っていないので、次に会うときに「実は出させていただいていて……」と話すのが楽しみです。
――具体的に声優を目指そうと行動に移したのは、いつ頃ですか?
学生時代には演劇部に入っていたんですけど、地元には演劇部のある学校がなかったので、少し離れた学校に通っていたんです。その頃から演技をやりたいと思っていましたね。高校生になると事務所選びを意識するようになって、声優の道に本格的に進もうと考えていました。
――専門学校や養成所でのレッスンが最初の実践的な経験になったんですね。
舞台での演技経験はありましたが、声だけで表現するのは全然違っていて、最初はそのギャップに苦労しました。使う技術が似ている部分もあるけれど、別のベクトルを磨かなければならなくて本当に挑戦の連続でした。ただ、同期とは競い合う部分もありながらとても仲が良くて、今でも養成所時代の友達が一番の親友です。スキル的にも人間関係的にも、人生の中で大きな出会いがあった時期だったと思います。
――壁にぶつかった経験もありましたか?
当時は自分の得意・不得意すらわからなかったので、全部に全力で挑戦していました。これは壁なのかどうかすらわからないまま、とにかくやってみる。立ち止まることはなかったですね。基本的にやってみたらなんとかなるという精神で生きてきたと思います(笑)。
――そういったポジティブな姿勢は幼少期から湊さんが持っている資質なんですかね?
小さい頃に友人関係でうまくいかないことがあって、その時に逃げることも有効な手段だと気づいたんです。無理して耐えるより、別の道を選んだほうが楽になれることもある。その経験があったから視野が広がったし、今の前に進みながら考える姿勢につながっていると思います。
――そして迎えた初めてのオーディションが『学園アイドルマスター』だったんですよね。
事務所に入って初めて渡されたのが『学園アイドルマスター』の資料で、本当に驚きました。私にとっていちばん受けたかった作品だったので「こんな奇跡があるのか!」と、ものすごく気合いが入ったのを覚えています。
――初めての収録現場はいかがでしたか?
ゲーム収録だったので、ほかのキャストさんと一緒ではなく、一人での収録でした。不安もありましたが、監督さんやスタッフさんが丁寧にアドバイスをくださって、本当に育ててもらった感覚です。最初がこの現場で良かったと心から思います。
――養成所でのレッスンと比べて、実際の現場はやはり違いましたか?
全然違いましたね。養成所では正解の演技に近づけることが多いですが、実際の現場は正解がないところから作り上げていかなければいけないんです。監督さんと一緒にキャラクターの正解を生み出す作業で、演じながら考えること自体が大きく違っていました。
――ここまで長く一つのキャラクターに向き合える機会はなかなかないですよね。
本当にそう思います。小学生の頃からずっと憧れてきた作品に、声優として参加できること自体が奇跡です。私の人生の真ん中にある大切な存在が、この役だと思っています。これから先、作品の展開に合わせて私自身も成長していきたいです。努力すればするほど作品に還元できる環境なので、それが何よりのやりがいです。