西田敏行さんこそ私が目指す、クセになる役者さんの代表格です
――初めてアフレコに参加したのはいつ頃でしょうか?
2021年の『裏世界ピクニック』のガヤです。学食での学生の会話を男性声優さんと掛け合ったのですが、ガヤなので台本もなく必死で言葉をひねり出しました。その時、音響監督さんから「面白い」と言っていただけたのがうれしくて、「やっぱり“面白い”は正義だ」と思った覚えがあります。
――名前の付いた役は、webアニメ『トニカクカワイイ 女子高編』の紅蛍が最初ですよね。
原作マンガにも登場する役で。佐倉綾音さん、前田佳織里さん、林鼓子さんなどの先輩方と、初めて掛け合うことができて本当にうれしかったです。ただ用語もマイクワークもわからず、絵に口を合わせるのも初めてだったので、とにかく皆さんの足を引っ張らないことだけを考えていました。その結果、蛍ちゃんの魅力を最大限引き出すことができなかったと、終わった時はとても落ち込みました。その悔しさをバネにして、次は自分が目指す面白さとか、もっと深みのあるお芝居がしたいと強く思いました。
――それが活かされたのが、『響け!ユーフォニアム3』(以下、『ユーフォ』)の上石弥生であったり、『学園アイドルマスター』(以下、『学マス』)の花海佑芽だったりするのでしょうか?
そうですね。『ユーフォ』はもともと大好きな作品なのですが、自分としてはオーディションにあまり手応えを感じていなかったので、上石弥生ちゃん役で合格を頂けた時はすごくビックリしました。でも憧れの声優さんの一人である黒沢ともよさんと一緒の現場に行けることがすごくうれしかったです。マイクワークがうまく立ち回れないなど、先輩方に迷惑をおかけする日々だったのですが、先輩方が本当に優しくて、一から丁寧に教えてくださって。「お菓子いる?」と声をかけてくださったり、私の緊張をほぐすためにたくさん話しかけてくださったりもしました。それこそ私が目指す「クセになるお芝居」をされている方もたくさんいらっしゃったので、めちゃくちゃ勉強になったし、緊張もあったけど刺激がいっぱいでした。
――『ユーフォ』で3年生になった黄前久美子が1年生の上石弥生を指導するみたいな、ストーリーとも通じる現場だったのですね。
本当に学校みたいでしたね。初めて『ユーフォ』の現場に行った時は、「北宇治高校へようこそ!」と言って迎えてくださってとても感動しました。
――また『学マス』では、キャラクターソングも担当されています。「グースーピー」や「つよつよ最強エクササイズ」など佑芽の曲は個性的で、ファンから電波ソング、喉破壊ソングなどと呼ばれています。声も特徴的で、それこそクセになる感じでした。
ありがとうございます。佑芽は「声がクセになる」と言っていただけることが多くて、それはすごくうれしいです。もともと私はクラシック調の、ディズニープリンセスが歌うような歌やミュージカルやバラードの曲が好きで歌うのも得意なのですが、佑芽はそれとは発声からまるで違って、歌声のきれいさよりも感情の爆発を重視しているので最初はめちゃくちゃ不安でした。でも歌っていくうちに自分の新たな道が開けた感覚がありましたね。「こういう歌もできるんだ!」って。今はとても楽しく、好き勝手に歌わせていただいています。
――音楽は聴くのもお好きですか?
はい! アーティストではSEKAI NO OWARIさんが大好きです。ファンタジーな世界観もですが、ダークめで風刺の強い曲も多くて、それが私にすごく刺さります。ファンクラブに入っていてライブにも足を運ぶなど、推し活もしています。2025年から2026年にかけては15周年イヤーなのでライブがあれば絶対に行きたいです。あとは劇伴を聴くのも好きですね。梶浦由記さん、林ゆうきさん、久石譲さんなどが特に好きです。オーケストラが入っているサウンドは浸って聴き入ってしまいます。
――将来についても聞かせてください。今後「こんな人みたいになっていたい」というような未来の姿はありますか?
歌も声優もミュージカルもやられて、私が大好きな『アナと雪の女王』の吹き替えをされていた神田沙也加さんは憧れです。お芝居の深さでいうと、西田敏行さんです。
――西田敏行さんですか!?
きっかけは『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』の蛭間重勝役で、西田さんが書かれた本も全部読んだし、『釣りバカ日誌』や『池中玄太80キロ』など、出られていた作品は全部観ています。全部面白くて、それこそ私が目指すクセになる役者さんの代表格です。
――西田さんは歌もうまくて、舞台もやられていて、エンターテイナーという印象ですよね。
だから私は、エンターテイナーになりたいです。「声優」という一つに絞るのではなく、「表現者」というカテゴリーで生きていきたい。その範囲内で、できることなら欲張りだと言われようとも全部やりたいです!
――では最後に、読者へメッセージをお願いします。
いかんせん不器用なもので、番組やイベントなどで火力高めのあおりをしがちなのですが、それは誰かを傷つけたいわけではなく、感謝の気持ちの裏返しです。もっと私のことを知っていただいて、応援したいと思っていただけるように頑張っていきたいです。「面白いな」とか「もっと見ていたい」と思ってもらえる人になれるように、声優として役者として、エンターテイナーとして頑張っていきますので、今後ともよろしくお願いいたします!
~声優未来予想図~
Q:これからどんな声優を目指したいですか?
1年後の私 いろんな役をやっていたい
声優としてもっといろんな新しいキャラクターと出会って演じて、もっと役幅が広がっていたら!
3年後の私 幅広い音楽表現ができていたら
『学マス』の花海佑芽のようなキャラクターソングとは別に、もっといろいろな音楽的な表現や活動ができていたらうれしいです。
5年後の私 代表作がたくさん増えていたら
たくさんの作品に主役やメインキャラクターとして出演して、声優やアニメに詳しくない人でも、「声優と言えば松田彩音さん」と言ってもらえるような存在になっていたい!
10年後の私 エンターテイナーとして大成
声優を主軸に、歌、ラジオ、舞台など、今挑戦したいと思っていることが全部叶えられていたらうれしい。それこそドームとか大きな会場でライブができるようになっていたらいいなと思うし、今声楽を学んでいるのでサントリーホールや東京オペラシティで、オーケストラをバックに歌ってみたいという夢もあります。
撮影/白木淳也 ヘアメイク/GiGGLE 取材・文/榑林史章
松田彩音さん手書きプロフィール
松田彩音さんコメント動画
▼動画URLはこちら
https://youtu.be/OHgpjrvuYbg
















