神谷浩史

アニメはもちろん、ラジオ、ナレーションからイベントまで、まさにマルチにこなす神谷さんからのメッセージ。実力とキャラクターの両方を確立する神谷さんから、学校を選ぶときのポイントなど、親身なメッセージを伺いました。

プロフィール

かみやひろし……1月28日生まれ。青二プロダクション所属。主な出演作は、アニメ『さよなら絶望先生』シリーズ(糸色望)、『化物語』(阿良々木暦)、『神曲奏界ポリフォニカ クリムゾンS』(タタラ・フォロン)、『夏目友人帳』(夏目貴志)、『機動戦士ガンダム00』(ティエリア・アーデ)、『マクロスF』(ミハエル・ブラン)ほか。

vol.1 声優の仕事は多岐にわたっているから、自分が「どうしたいのか」が大事になってくると思います。

声優をめざす方たちへ、応援メッセージをお願いします。

応援はしたいのですが、アドヴァイスをするのって、むずかしいんですよね。正直、「こうすればいいよ」という決まった方法は、ないんですよ。極端な話、「今日から私は声優です」と言った時点で、誰でも声優になれるわけですから。ですから大事なのは、「声優になる!」と言ったときに、自分で“そのハードルをどこに設定するか”だと思います。いちばん低いハードルなら、自分の声をマイクで録ってネットにあげて、このアドレスまでご連絡いただければ参上します、という形でも、声優になれるわけです。そうではなくて、プロダクションに所属して、声優雑誌に出るような人になりたい、と思うなら、また話は違ってきますしね。

具体的なアドヴァイスは、しにくいわけですね。

そうですね。とくに今は、声優という仕事が、すごく多種多様にわたっているので、「何をすればいいか」というのは、本人が「どうなりたいか」によると思うんですよね。声優って、昔はもっとスペシャリストの観が強くて、ピンポイントだった気がするんです。声だけで、アニメーションとかラジオドラマ、CDドラマ、CM、外画の吹き替えをする仕事、という感じで、わかりやすかった印象がある。でも最近は、たとえば『声優グランプリ』さんに出させていただくお仕事にしても、衣裳を着て撮影して、アニメ作品を宣伝するための役割も果たして、コメントを言うこともありますし。女性声優さんでも歌手としても活動して大会場をいっぱいにする方もいる。本当に多種多様なんです。

幅広いお仕事をされていますが、「声優」の仕事をひとことで言うと?

僕は、声優の仕事って、あくまでも“声のプロ”だと思います。たとえば歌手としても活躍されている方も、声のプロだからこそ、声を芯にして、歌を歌える才能を発揮しているんだと思うんです。僕も番組や雑誌やイベントで、顔出しのお仕事をすることもありますが、それもすべて、声に特化していった結果、仕事が広がってきた、ということだととらえています。ですから、「声優になりたい」イコール「有名になりたい」、人前に出て拍手されたい、と思うのだとしたら、それはちょっと違うかもしれないな、とは思いますね。

(取材:2009年)

vol.2 声のプロとして特化しつつ、人としても面白みを磨いてほしい。

学ぶ場を選ぶときに、気をつけるべきことは?

体験談でしか言えませんが、僕の場合は、青ニ塾を選んでよかったと思うのは、1年間学んだ後に、オーディションに合格すれば、プロダクションに所属できるという、受け皿がある、ということが大きかったですね。まあ、最初は知らないで入ったんですけど(笑)。もちろん、所属した後は、もう自分が努力するしかないわけですが、プロダクションに入るということは、やはり声優という業界に入る、入口ですよね。所属していることで、その業界の最前線にいる、ということですから、あとは本人の努力しだいです。

その他に、今、これをやっておけ、というアドヴァイスは?

今、声優さんに、グラビアだったり、歌、ラジオなど、いろんなことを求める傾向が増えているので、それに応えられる器をどこで作るか、ですね。たとえば、ラジオ番組をやる仕事のオファーがきたときに、しゃべる内容がないと、困るわけですよね。声優になりたい方たちは、アニメーションが大好きだったり、声優さんが大好きだったりすると思うし、それは悪くないことだと思うんです。ただ、「それだけ」だと、もしかしたら、仕事の現場では通用しないかもしれませんよ、ということは、知っておいたほうがいいかもしれません。声優やアニメーションの世界とは、まったく違う何か、自分が夢中になれたり、詳しかったり、人に語れるものを持っていることも、大切。それは、歌が歌えることでもいいし、車にすごく詳しいとか、なんでもいい。人として、何かを磨いておくといいと思いますね。

(取材:2009年)