2019年発売のシングル「save my world」以来、約5年ぶりのソロリリースにして初のEPとなる『Curious』を発表した寿美菜子さん。全6曲のうち5曲を本人が作詞したという今回の作品には、どんな思いが込められているのか? その制作秘話や収録曲の聴きどころ、11月に開催が迫ったライブツアー“Golden hour”へ向けての意気込みを聞いてみた。
自分らしさの範疇で作詞をさせてもらいました
――まず、1st EP 『Curious』を制作されたきっかけを教えてください。
きっかけとしては今年の5月に(豊崎)愛生ちゃんと私の二人で『さよなら中野サンプラザ音楽祭』に出演させてもらったときに、ライブを見てくださっていたチームのスタッフさんたちが「これは何か作らなくては!」と思ってくださったことが大きいですね。ただ、アルバムを作るにはあまり(既存曲の)曲数がたまっていなかったので、新曲だけで構成するEPがいちばんいい形なんじゃないかということになりました。
――全6曲の新曲のうち、5曲で寿さん自身が作詞をされています。
作詞はもともと基本的に自分でする方向になっていたので、私もそう思ってはいたんですけど、なにせ作詞をするのも約5年ぶりだったので「もしかしたら書けないかもしれないです」と弱音を吐く瞬間もありました。なので、とりあえずトライして、ダメだったら誰かにお願いしようとなって。
――結果、誰かにお願いすることなく5曲の詞を書き上げました。
たぶん書きたいことがたまっていたんでしょうね。約5年分の思いとか、今回EPを作るにあたって感じたこととか。その瞬間、瞬間を切り取って、詰め込んでいく感じでした。
――書き始めることで作詞に対する感性が高まっていくということもありましたか?
たしかにアンテナが一気に立っていく感覚がありました。おかげで作詞をしている時期はブログとかも語りが多くなったり、綴ることを楽しみ始める瞬間が多かったりした気がしていて。なので、作詞を始めると意外とスルスルと。逆に今回は自分から遠く離れた歌詞がないので、よくも悪くも自分らしさの範疇で書かせてもらったのかなという気はします。
――1曲目の「唇にWasp」も自分らしさの範疇にある歌詞なんですか?
あはは(笑)。この「唇にWasp」は私が夢で見た話で、唇にスズメバチ(Wasp)が止まって、「わあ!」って思う夢を実際に見たんですよ。
――なかなか怖い夢ですね。
夢占いとかで見るとハチは幸運の虫と言われていたりするんですけど、あの夢を見たときは「何か気をつけなきゃいけないんだろうな」と思った記憶がありますね。あと、普段から言葉を扱う仕事をしていると言葉のチョイスが難しいなと思うことがよくあって、どのように相手に伝えようかとすごく悩んで考えたり、逆に考えすぎてうまく言えなかったりということが多々あるので、それを今回この夢の話と歌詞に乗せて、教訓のような歌にしました。聴くたびに反省というか、「気をつけよう」と思わされる曲を作ろうと(笑)。
――2曲目は「Sense of Wonder」。
「Sense of Wonder」は暁月というユニットのひびね。くんに楽曲を提供していただきました。年齢的にZ世代の方とご一緒すると、いつの間にか自分も年を重ねたものだなと思うのですが(笑)、やっぱりちょっと違う感覚があるんですよね。EDMサウンドなんですけど、音数はあるものの削ぎ落とされている感覚があって、それってやっぱり今っぽいなという印象があるなあと。そこにどんな歌詞を乗せようかなと考えていたときに、ちょうどこの曲は最後に収録だったのもあって、ジャケ写もMVも撮影が終わった後だったんですよ。どちらの撮影も奇跡的にお天気に恵まれて、そんな奇跡を感じる瞬間が今回のEPを作るにあたってもありましたし、普段のお仕事のなかでもたくさんのご縁を感じることがある。それって奇跡でもあるし、運命でもあるけど、すべて決まっているような気もしたりして、そういう不思議な感覚を言葉にするとどうなるかなということでトライしてみました。
――3曲目は「DIVE INTO」。
この楽曲は少し懐かしい寿ロックがテーマというか、昔の私が歌ってそうだけど、今の私が歌ってもちゃんとハマるんじゃないかという楽曲をチョイスしてもらいました。歌詞はかわいらしいにクレージーさを加えた恋愛観ともいえるし、今は多くの方が推し活をされていると思うので、私も推していただいている側ではありますけど、そういったところとも重ねて歌えるかなというので作った1曲です。