ゲーム『アイドルマスター シャイニーカラーズ』芹沢あさひ役などで知られる声優の田中有紀さんが、ワンマンライブ『YUKI TANAKA 2nd Live: JUMPIN’ PARTY』を、1月12日(月・祝)に東京・EX THEATER ROPPONGIで開催した。
2024年にソロアーティストとして活動を開始し、同年10月に1stアルバム『Crier』をリリース。翌2025年1月には1stライブ『YUKI TANAKA 1st Live: Crier』を行い、子供の頃から夢見ていたソロステージの夢を叶えた田中さん。それからちょうど1年、数々のステージ経験でさらに成長した歌唱力と表現力だけでなく楽しいサプライズたっぷりのステージを届け、誰もが笑顔になる最高のパーティーを作り上げた。
1年ぶりのソロライブは、理屈抜きで楽しめる時間に!
チケットは完売、当日券も売り切れて大盛況となったこの日。田中さんの好きな色である緑色の照明が開演前の会場をグリーンに染め上げて気分を盛り上げる。
開演時間になり照明が暗転すると、まずはバンドメンバーが登壇。オープニングSE代わりの演奏から、流れるように1stシングルの表題曲「Treasure Chest」へと移行し、田中さんが「2ndライブよろしくー!」と元気よくステージに飛び出してきてライブがスタートする。“今から夜明けを 迎えにゆこう”から始まる歌詞のメッセージが幕開けにぴったりで、温かなエネルギーに満ちた歌声と大きな歓声が一緒に“始まりの鐘”を打ち鳴らす。

歌い終え、一面グリーンのペンライトで染まった客席に向けて「最高!」と呼びかけると、休む間もなく力強いアッパーチューン「From here to HISTORIA」へ。歌い出しの“ここから始まるHISTORIA それは君との約束”に続けて「また会えたね!」とうれしそうに声を上げる。前回のワンマンライブ本編のラストで、この楽曲を歌う直前に小指を掲げてファンと再会の約束をしていた田中さん。それを有言実行できた喜びか、あるいは『JUMPIN’ PARTY』という公演タイトルに合わせてか、楽しそうに飛び跳ねながら歌う姿に、こちらの心も自然とジャンピンしてしまう。
続く「No Pain No Gain」を勇ましく披露すると、最初のMCパートではバンドメンバーの紹介に加えて、それぞれに「あなたにとって必要な緑とは?」という質問を聞いていく。加納誠人さん(ベース)が本物のブロッコリーを取り出してアピールすると、裕木レオンさん(ドラムス)は観客が手にしている緑のペンライト、清水”カルロス”宥人さん(ギター)は持参してきた緑色のギター、森谷優里さん(バンドマスター/キーボード)はオクラと回答。そこから緑のペンライトがオクラっぽい見た目なので本公演では「光るオクラ」と呼ばれることになった。

そんな楽しいやり取りに続いてはカバーコーナー。まずはSNSで事前に募集したファンからのリクエストを参考に選んだ2曲。
「DEAREST DROP」は声優の田所あずささんが2017年に発表したマイナー調のロックナンバーで、情熱的な想いを哀切感たっぷりに自分らしく表現していた。
そして客席にしっかりと視線を送りながら気持ちを込めて歌われたのが、ChouChoさんの「優しさの理由」。実はこの曲、田中さんがNOW ON AIRというユニットで活動していた頃のカバーレパートリーでもあり、当時を知るファンにとっては感動もひとしおだったのではないだろうか。
さらにmilktubの「有頂天人生」を、ポップコーンさながらの弾け具合でぴょんぴょんと飛びながらパフォーマンス。この楽曲は「パーティー感のあるエネルギッシュなライブにしたい」という本公演のコンセプトにピッタリなこともあり、スタッフの提案でセレクトしたと語っていた。

「次の曲はダンス動画が出ているあの曲でございます」と告知すると、クールかつ艶やかなダンスポップ「KURAGET DOWN」へ。グッと大人っぽさを増した歌声、波に揺らめくクラゲのような振り付けでファンを魅了していく。生演奏ならではのイントロが付け足された「MIRROR」では、ミラーボールが煌びやかな光を会場に反射させるなか、バンドの紡ぐメロウなグルーヴに乗りながらシックに歌唱。黒地の衣裳にほどこされたスパンコールの飾りもキラキラと輝いて美しい。
一転して、未来への一歩を後押しするミディアムナンバー「未来スケッチ」では、サビで客席が「Wow Wow」と歌い上げて温かな空間を形成。続く「Familiar」での聴き手を優しく包み込むような歌声も素晴らしく、田中さんが歌いながら手を振るのに合わせて左右に揺れる“光るオクラ”が美しい緑の景色を描き出した。
共に一体感を作り上げてくれたファンに向けて「とてもうれしかったです、ありがとう」と感謝の言葉を述べつつ、「ここからもっと盛り上がるパートです!」と宣言。お待ちかねの1曲、本公演のタイトルにも引用された「JUMPIN’ PARTY」の時間の始まりだ。
ライブを意識して制作された本楽曲は、熱気を高めるコール&レスポンスだけでなく、曲の途中で観客とじゃんけんを行ったり、突然レゲエ~ソカ風のアレンジになってタオルをぶん回すパートが設けられた、異色のパーティーチューン。田中さんも緑色のグッズタオルを手にして、自らも勢いよくジャンプしながら観客を扇動していく。EX THEATER ROPPONGIはジャンプOKの会場ということで、ファンも思う存分に飛び跳ねて心を解放していた。

そして宣言通り、会場をさらに熱くするナンバーが続く。激しく点滅する照明が気分を高揚させた「Going Going Going」、バンドメンバーのソロ回しパートを挟みながら凛々しく駆け抜けた「Blue Wind」、歌い出しから大歓声が巻き起こったデビュー曲「Crier」。
いずれもタイプは違えど強い意志を感じさせるアップナンバーで、特にミクスチャーロック仕立ての「Crier」におけるバンドの熱量高く疾走する演奏、それに後押しされて加速していく田中さんのボーカルは圧倒的で、会場の士気を果てしなく高めていく。
間奏で田中さんが「2ndライブ、今めちゃめちゃ楽しいです! みんなの声も聞かせて」と呼びかけると、ひときわ大きなコールが発生。その声を受け取って一層エネルギッシュに“揺るがない想い”を伝える田中さんの姿は、あまりにもかっこよかった。

ライブは早くも次が最後の楽曲に。その前に田中さんは音楽活動やライブが自分にとっていかに大切なものかを語る。落ち込むようなことがあった時は、みんなとのライブのことを思い出してエネルギーにしているという彼女。だからこそ自分も「お芝居や歌で皆さんに“ありがとう”を伝えて、私からも皆さんにパワーを届けられていたらうれしいなと思いながら活動しています」と思いを伝える。
そして前回のワンマンでの約束に触れて「新たな約束をしませんか?」と提案。またワンマンを開催できるように精進すること、それが叶ったあかつきには「絶対、次も会いに来てくれますか?」と呼びかけ、客席も大歓声で応えて約束を交わすと、「“ありがとう”の気持ちを込めて歌わせていただきます」と告げて、結城アイラさんとの共作で自身が作詞にも携わった「Dear STELLA」を歌い始める。

原曲よりもテンポを落としたピアノバラード風のアレンジに、優しくふくよかな歌声が良く似合う。天体好きの田中さんが、ファンのことを“STELLA(=星)”になぞらえて綴った“ありがとうが止まらないんだよ Dear my STELLA ずっと隣で”という1番サビのフレーズを朗々と歌い上げると、2番からは、これもまた原曲とは異なるリズミカルなバンドアレンジに。まるで行進するようなテンポ感で、田中さんと共に歩いているような気持ちになれる。
最後に再び、さらに強い想いを込めて“Dear my STELLA ずっと隣で”と歌うと、バンドがエモーショナルな演奏を続けるなか、客席全体を見渡しながらうれしそうに手を振り、彼女はステージを後にした。

あまりにも感動的な幕引きだったが、ファンのエネルギーはまだまだ有り余っている。田中さんにパワーを送るべく盛大なアンコールが起こると、「アンコールありがとう、まだまだ楽しんでいこー!」と勢いよく田中さんが登場し、晴れやかな「UP TO DATE」を披露。まるで疲れを感じさせない無尽蔵のポジティブパワーが、この日の思い出をさらに忘れられないものへとアップデートしていく。
その後のMCでは、本公演に合わせて作られたスタッフ用の非売品“考えるな、跳べ!” Tシャツをはじめとしたサイン入りグッズが当たる抽選会を実施。前回のワンマンで客席を見るために購入したという緑色の双眼鏡を今回も取り出し、当選者の姿をしっかりと確認しながら、ファンと楽しい交流の時間を過ごしていた。

そして新曲「I need」のライブ初披露へ。大切な人への感謝の気持ちや共に在りたい気持ちがストレートに綴られていて、そのメッセージに田中さんのピュアで表現豊かな歌声が合わさって、胸が熱くなるほどに想いが伝わってくる。こういった真っ直ぐな楽曲は、小手先の技が通用しないだけに歌いこなすのは難しいものだが、それを見事に聴かせる田中さんは流石だ。
ここで新情報として、レーベルの先輩を迎えてのツーマンライブ企画『Two-man Live 田中有紀 歌姫修行』を5月3日(日)、8月8日(土)、11月15日(日)に開催することと、その第一回は奥井雅美さんを迎えることを発表。
うれしい報告に会場中が喜ぶなか、ついにライブはラストスパートに突入する。田中さんは「いつかまた絶対に会いましょう!」と伝えると、快活なギターロック「Tapestry」を歌唱。芯の太いバンドサウンドと明るくパワフルな歌声、サビの“いつか出会える きっとまた会える”という言葉が、田中さんとファンだけが繋げる明日を約束する。

これで田中さんのオリジナル曲はすべて披露されたのでフィナーレか……と思いきや、田中さんは「みんなありがとう。でも、まだ終わらないからな!」と、自分の体ほどもある特大のパーティークラッカーを持ち出して銀テープを発射し、本公演2度目の「JUMPIN’ PARTY」に雪崩れ込む。まさかのサプライズにこの日一番のコールとジャンプで応える観客。会場が揺れるほどの熱狂ぶりだ。
2番のじゃんけんパートでは、マニピュレーターのパスタさんを含めたバンドメンバー5人とじゃんけんを行い、なんと田中さんが5連勝するというミラクルが発生。最後は会場内にて行われた寄せ書き企画のメッセージカードを全体に貼り付けた巨大クラッカーを再度発射して、ファンとの盛大なパーティーを締め括った。

“考えるな、跳べ!”というコンセプト通りの理屈抜きで楽しめる時間を作りつつ、本人の明るく朗らかな人柄や楽曲に込められた真っ直ぐなメッセージ性もあって、総じて温かな気持ちになれた今回のライブ。じゃんけんにも連勝し、2026年一発目のライブから豪運ぶりを示した田中さんなら、5月からの「歌姫修行」を経て、さらに成長した姿でみんなとの約束をまた果たしてくれることだろう。
取材・文/北野 創 PHOTOGRAPHY BY 中島たくみ
◇セットリスト◇
M1 Treasure Chest
M2 From here to HISTORIA
M3 No Pain No Gain
M4 DEAREST DROP(cover)
M5 優しさの理由(cover)
M6 有頂天人生(cover)
M7 KURAGET DOWN
M8 MIRROR
M9 未来スケッチ
M10 Familiar
M11 JUMPIN’ PARTY
M12 Going Going Going
M13 Blue Wind
M14 Crier
M15 Dear STELLA
M16 UP TO DATE
M17 I need
M18 Tapestry
M19 JUMPIN’ PARTY
◇Profile◇
たなかゆき●6月26 日生まれ。スタイルキューブ所属。主な出演作はアニメ『トリリオンゲーム』(高橋凜々)、『Aランクパーティを離脱した俺は、元教え子たちと迷宮深部を目指す。』(ニーベルン)、『ひゃくえむ。』(椎名)、ゲーム『アイドルマスターシャイニーカラーズ』(芹沢あさひ)ほか。








