「パスタ」のジャケット撮影で使った食品サンプルや、これまでのライブをイメージさせる小物などがちりばめられた5周年にぴったりなステージセットの中で、これまでとそしてこれからを感じさせてくれる爽やかなライブを披露した伊藤美来さん。
彼女の念願でもあった東京国際フォーラム ホールAでのライブの模様をレポートします。
ここから先は、私が皆さんを肯定したり、
安心させる存在になっていきたい!
伊藤さんのデビュー5周年を記念して制作された9thシングル「パスタ」。
この表題曲は彼女自身が作詞・作曲をしたものだったが、今回のツアータイトル「伊藤美来 Live Tour 2022『What a Sauce!』」もパスタにちなんだもので、
これまでの楽曲をパスタソースになぞらえて、いろんなソースの味を楽しんでほしい、そして驚いてほしいという思いが込められていた。
そう言えるほど、いろんなテイストの曲が増えたということなのだが、ライブのオープニングに、いきなり驚かされることとなる。
紗幕でステージセットが見えないようになっていたのだが、「No.6」のイントロが始まると、その紗幕に、ダンサーのシルエットが浮かび上がる。
スパイ映画のようなスタートから紗幕が落ちると、そこに伊藤さんがいるのかと思いきやその姿は見当たらない。
すると、まさかの天井から降りてくるという衝撃。
スパイ、怪盗ものの映画を見たかのようなインパクトだった。全貌が見えたステージセットの両サイドには映画のフィルムのようなデザインが施されていたのだが、これは、長年のファンにとっては思い出深いものだったのではないだろうか。
東京国際フォーラム ホールCでのライブ『伊藤美来 4th Live Miku’s Adventures 2018 ~Live is Movie~』をスケールアップさせたようで、これまでの軌跡を意識させる演出だった。
ダンサー4人と息の合ったパフォーマンスを見せつけた「Shocking Blue」。5人でのフォーメーションダンスは、彼女が大好きな特撮作品を見ているかのようだった。
「閃きハートビート」ではセンタースクリーンも登場。
笑顔で歌う表情が大きく映し出され、〈(恋は奇跡)〉のところでウィンクをしたときは、大きく声を上げたい気持ちをグッと堪えたファンも多かったことだろう。
最初のMCで、「まさか、上から降りてくる日がくるとは!」とおどけてみせる。
「今回のライブは、日本語にすると”なんてソースだ!”になります。今日はいろんな味をたくさん楽しんでもらって、お腹いっぱいになってもらえたらいいなと思います。私もそろそろお腹が空いてきましたね~」と挨拶すると、続くブロックは飲食にまつわるタイトルが続く。
「Morning Coffee」では一人でステージに立ち、美しいロングトーンを響かせる。
左右にステップを軽く踏みながら、落ちサビではクラップも起こっていた。
「Pistachio」では、ステージ上の2階部分中央、ランウェイのようになっていた部分がぐるっと回転。
裏手に隠されていたLEDパネルとカフェテーブルが登場すると、ダンサーがテーブルと椅子をセットし始める。
そこへお腹をさすりながら降りてくると、準備のできたレストランへとたどり着く。
歌いつつお芝居のような演出をするのは、もはや彼女のライブの特徴の一つになっているかもしれない。
続く「パスタ」はテーブル席について、しっとりと歌い始める。
会場のペンライトが真っ赤だったのは、トマトソースをイメージしてのことだろうか……。
この曲にはゆったりと心を落ち着かせる癒やし効果があり、ただただ心地良く音楽を聴いていると、2番でウエイトレス役のダンサーに何やら注文。
曲のラストにパスタがやってきたのだが、それをフォークでうまく巻くことができず、慌ててパスタを頬張る姿がスクリーンに映し出されていた。
タイミングがバッチリ合わなかったときに出た困ったような笑顔もかわいらしい。
直後のMCで「まだパスタが(口の中に)いる。少量のパスタを食べようと思ったんだけど、なんか、うまく巻けなかった……。でもにんにくとレモンの味がしました。美味しかった」と、パスタが塩レモンパスタだったことを告白。
動画などでもいろんなものを食べているイメージがある彼女だが、ついにステージ上でご飯を食べるまでになるという、なかなかレアなシーンを目撃した気がする。
そして、自身が大人になったことを伝え、「私もいつの間にか大人になっていて、大人になると昔見てた景色と今の景色が違って見えたりするなと思って。楽曲もそうで、昔歌っていた曲を聴くと、今だったらこんな感じで表現したいなと思ったり、今の私だから歌える曲があったり、感覚が成長している感じがするんです。そういう新しい発見があるので、大人になるのも悪くないなぁと思います。これから歌う曲は、甘酸っぱかったり大人っぽい味がする曲たちです」と伝えると、「No.6」のカップリング曲で、竹内アンナが作詞・作曲をした「気づかない?気づきたくない?」を披露。
彼女にとってチャレンジも多かった楽曲だが、おしゃれなサウンドを颯爽と乗りこなし、ラップもクールに決めていた。
そしてシティポップで意味深な歌詞が印象的な「土曜のルール」では、フェイクをカッコよく決め、失恋曲の「ルージュバック」もオトナっぽく、最後はとてもエモーショナルに歌い切っていた。
ダンサーによるダンスパフォーマンスと伊藤さんが試着をしまくるというショートムービーが映し出されると、白い衣装から、青いドレスに着替えた伊藤さんがステージに再登場!「傘の中でキスして」は、ダンサー4人が役者のように踊りながら、代わる代わる登場して、同じ傘を受け継ぎながらパフォーマンスしていく。
最後の落ちサビでその傘を受け取ると、しっとりと切ない歌声を響かせる。
続く「恋はMovie」ではメガホンを持った伊藤さんの「よーい! アクション!」の掛け声で曲が始まり、今度は楽しそうに歌っていた。
新曲「青100色」について「アーティスト活動5周年を迎えて初めての主題歌で、5年経ったからこそ大きくなった姿を見てもらいたかったんです。この曲を作った時に、原点回帰というか……今までの私の音楽の方向性や雰囲気を守りつつ、成長した姿も見てもらえる一曲にしたいと思ったんです」と伝え、スクリーンに映し出される映像をバックに歌っていく。MVで使っていた空のオブジェや青い風鈴を映したり、〈星座が旅している〉のところでは流れ星が流れるなど、歌詞に沿った映像が、楽曲の切なさや爽やかさを助長してくれる。
最後のロングトーンもしっかりと響かせると、まさに原点であるデビュー曲「泡とベルベーヌ」を歌っていく。
この曲の爽やかさは、今も彼女の音楽の軸として存在していると感じられた。
「久しぶりに、国際フォーラムという場所で歌うことができて本当にうれしいです! 感無量です。皆さんまだまだクラップいけますか! ここからラストスパート盛り上がっていきましょう!」と煽ると、ライブで盛り上がるために作った「La-Pa-Pa Cream Puff」を披露!大きなクラップと一緒に歌える曲で、ダンスも手をパクパクさせたり、双眼鏡を覗いているよう動きがあったりと、歌詞に合わせた振り付けがかわいらしい。
ダンサーと共にアイドルっぽさ全開で歌った「ミラクル」は、ただただ幸せになれる時間だったし、ファンのことを歌った「all yours」では、「みんなの全力を見せて!」と言って、一体感のあるステージを作り出し、ファンとの絆を再確認していた。
「ホールCでライブをした時も、いつかはホールAに立ちたいと思いながらライブをしていたので、今ここでライブをしていることが感慨深いです。ここまでくることができたのも皆さんの応援のおかげです。今日は緊張もしていたし、私にはもったいない会場じゃないかと思っていたんですけど、皆さんが会いに来てくださって、マスク越しからも笑顔が見えていて、それに勇気をもらいながらライブをすることができました。5年間いろいろありましたけど、たくさんの愛情や夢、いろんなものをもらってやってこれたと思っています。感謝してもしきれないです。前回は思いがあふれて泣いてしまったんですけど、今回のツアーはみんなに笑って帰ってほしいなと思っていました。この5年間の皆さんの声のおかげで、私は自信をもつことができたり、自分を肯定することができるようになったので、ここから先は、私が皆さんを肯定したり安心させたりできる存在に……アーティスト、役者、表現者になっていきたいと思います! 少しでも恩返しができたらいいなと思っています」と力強く伝えると、大きな大きな拍手が起こる。
最後は「みんな今日はお腹いっぱいになりましたか? みんなの今日の色をたくさん見せてください。これが私です! これからもよろしくお願いします」と言って「ワタシイロ」を、少し目をうるませながらも笑顔で歌い、彼女らしく本編を締めくくった。
飾らない、ありのままの伊藤美来を見せつつ、表現力の広がりも感じさせてくれた今回のツアー。その中でも、これからの力強い決意を受け取れたことは大きかった。
大きな拍手に応えて登場したアンコールでは、「みんなが大好きなポニーテールにしていたから時間がかかっちゃった」と照れ笑いをし、「孤高の光 Lonely dark」で盛り上がり、ラストは「みんなと私はベストフレンドですよ!」と伝えて「君に話したいこと」を歌い、みんなに「ありがとう」と「またね」を伝えてツアーを終えた。
伊藤美来 Live Tour 2022『What a Sauce!』
2022年4月16日(土)
東京・東京国際フォーラム ホールA
<セットリスト>
01. No.6
02. Shocking Blue
03. 閃きハートビート
04. Morning Coffee
05. Pistachio
06. パスタ
07. 気づかない?気づきたくない?
08. 土曜のルール
09. ルージュバック
10. 傘の中でキスして
11. 恋はMovie
12. 青100色
13. 泡とベルベーヌ
14. La-Pa-Pa Cream Puff
15. ミラクル
16. all yours
17. ワタシイロ
EN1. 孤高の光 Lonely dark
EN2. 君に話したいこと
撮影/川田洋司 取材・文/塚越淳一
声優グランプリ5月号では、伊藤美来さんが表紙&巻頭大特集に登場!
好評発売中の伊藤美来さんニューシングル「青100色」について、今回のライブツアーでも披露された「La-Pa-Pa Cream Puff」のお話や、アーティスト、役者、表現者としての“伊藤美来の今”が見える特集になっています。
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