このコラムでは畠中さんのお仕事や好きなもの、感銘を受けた作品などについて語っていきます。
今回選んだ作品は『ヒトラーの忘れもの』。 戦争映画。観ていて本当につらいですよね。僕も、『シンドラーのリスト』や、『プライベート・ライアン』を観終わった後は、しばらく飯も食えなくなるほど落ち込みました。でもどうして観るのか。それはやっぱり、最もリアルな「人」が描かれていくからです。善悪だけでは片付けられない人の生々しい感情に、こっちも揺さぶられます。そして自分を顧みます。僕ならどうするのか、と。 今回も強く強く揺さぶられました。 この話は、実際にあった出来事をもとにした作品で、第二次世界大戦後にドイツから解放されたデンマークが舞台です。ドイツ人を心底憎むポーランド軍軍曹・ラスムスンに、ドイツ兵捕虜を使って、海岸線に埋められた地雷200万個を撤去せよという任務が下ります。そして軍曹のもとに、ドイツ兵捕虜14名が届けられるのですが、そこにいたのは、全員、10代の少年でした。最初は憎きドイツ人だからと、飯も食べさせずこき使います。が、地雷撤去作業中に命を落とす彼らの姿。そして母親の元に帰りたいと懇願する少年たちの気持ちに触れて、少しずつ、軍曹の気持ちが動いていきます。 終始、リアルな緊張感がスクリーンを包みます。いつ爆発するかわからない。そんななかで爆発装置を解除していく少年たちの手は、恐怖で震えています。本当に、怖くて怖くて画面を直視できないのです。少年たちの迫真の演技がまたすごくて、きっと役作りも相当自分を追い込んでいったのでしょう。流れる涙も、汗も、体の震えも、すべてがリアルです。芝居がリアルすぎて、ドキュメンタリーを観ている錯覚に襲われ、だからこそ、彼らが地雷の上をフラフラ歩くたびに、もう本当に胸が締め付けられて、観ているこっちがどうにかなりそうです。 そんななかで、ラスト、彼らとのある約束をまっとうするために奮闘する軍曹の姿に、本当に感動します。軍曹役のローラン・モラーの気迫はすさまじいもので、このレベルの芝居は、厳しい環境に自分を追い込まないと出せないと思います。それほど、真に迫った芝居でした。脱帽です。 戦争映画はやっぱり重い。たしかにハードです。でも、その映画のなかに、自分だったらどうするかという問いが見つかるのです。この問いは、当たり前だと思っている自分たちの考え方に、必ず大きな一石を投じてくれる。今回もとても大切なものをくれた映画でした。ぜひご覧ください。 |
次回の「畠中祐のゆっくりすくすく」は、2020年1月25日(土)に更新! お楽しみに!
畠中さんに質問!
Q:2019年の抱負に「忘れ物をしない」と「新しい景色を見る!」と答えていただいたのですが、達成できましたか?(群馬県・ANNA)
ANNAさん、質問ありがとうございます!! そうですね、忘れものはガンガン今年もしました、、、
でも新しい景色、これは間違いなく見れましたよ。応援してくれる皆さんがいたから見られました。また来年も見ていきたいです。これからもよろしくお願いします!!
畠中祐が今、答えます!!!
畠中さんが動画でも質問にお答えしていきます。
今回のお便りのテーマは「令和元年に起きたあなたの大事件第3位!」
次回のお便りのテーマは「あなたの大人になったな~という瞬間!」です。皆さんの大人にになったと感じたエピソード、お待ちしております!
畠中さんへの質問&お便りを大募集!
はたなかたすく
8月17日生まれ。神奈川県出身。賢プロダクション所属。主な出演作はアニメ『俺が好きなのは妹だけど妹じゃない』(永見祐)、『バジリスク ~桜花忍法帖~』(甲賀八郎)、『ダイヤのA ActⅡ』(浅田浩文)、『うしおととら』(蒼月潮)、『KING OF PRISM by PrettyRhythm』(香賀美タイガ)ほか。