畠中祐のゆっくりすくすく 第44回

このコラムでは畠中さんのお仕事や好きなもの、感銘を受けた作品などについて語っていきます。

今回選んだ映画は『クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』。

僕が5歳頃のときでしょうか。母親に連れて行ってもらった、先輩役者さんたちが集う河原でのバーベキューに、藤原啓治さんがいました。「ほら、あんたが大好きなクレヨンしんちゃんのおとーちゃんだよ」と説明を受けても、5歳の僕は信じませんでした。というのも、小さい僕の中での野原ひろしはもう本当に普通のとーちゃんで、そのときお会いした啓治さんとは似ても似つかなかったのです。だってダンディでセクシーでしたし、サングラスが似合いそうでしたし、だから5歳の僕は、相当疑ってかかりました。「証明してよ!! ひろしの声やって証明してよ!!」と僕は啓治さんに食ってかかったのです。いやほんと、もし自分の子供がこんなこと言ったら引っ叩きたいですよ。本当にすみません。でも、啓治さんは、そんな僕に笑顔で、あのとーちゃんの温かい声で「おーい!しんのすけー!!」と、やってくださいました。もう、まさに、ひろしでした。ものすごいびっくりしたのと、うれしかったのを覚えています。そのあと、たびたびひろしの声をお願いしながら、いっぱい遊んでもらいました。

だから僕の中では、とーちゃんです。

そのあと『うしおととら』で親父役をやってくれたのも藤原啓治さんでした。だから、小さい頃から今でも、とーちゃんと言ったら啓治さんなのです。

だからやっぱり今回紹介する映画はクレヨンしんちゃんですよ!! もう声が聴きたくなってしまいまして、観ちゃいますよね映画クレヨンしんちゃん!! もうどの作品を観ようか迷いました。名作が多いですよね。その中で、今日は、いっぱいとーちゃんが堪能できる作品。ロボとーちゃんを選ばせていただきます。

父親の威厳がなくなってきた昨今。野原ひろしもまた、家で頼りのない父親として見られていました。そんななか、無料だからと受けたエステでなんとロボットに変えられてしまいます。ロボットになったとーちゃん、ロボとーちゃんに戸惑うみさえ。ですがしんのすけだけは、最初からとーちゃんとして受け入れました。何故ロボットになってしまったのかをたどると、謎のエステの存在にたどり着きます。その裏には、日本の弱い父親の復権を企てる「父ゆれ同盟」の恐ろしい陰謀があったのです、、、!!

と、このような物語になっています。

いやぁ、最高のひろしが堪能できました。

ギャグシーンは本当に腹抱えて笑えて、ここぞって時は抜群にカッコよくて、ラストシーンは涙が止まらない。そんな、生き生きとした藤原啓治さんのお芝居。『モーレツ!オトナ帝国の逆襲』のときの、靴の匂いをかぎながらヒロシが号泣するシーンでも思ったのですが、本当に、啓治さんのお芝居には、人間臭い温もりがあって、しんのすけへの家族への愛が、ビンビン伝わってくるのです。ラストシーン、ボロボロになった体でしんのすけの頭を撫でながら、「お前はいい子だ。でっかくなれよ」と語りかけるシーンは、今まで父としてしんのすけを愛してきた月日と、本物の愛を感じて、もう聞いてるこっちは涙が止まりませんでした。やっぱり、やっぱり最高にかっこいいよひろし、俺らのとーちゃんだぜひろし。

こんなに生き生きとひろしがそこにいて、そしてこうして物語の中で生きている。こんなに温もりあふれる芝居が、作品の中で生き続けている。啓治さんのお芝居を感じて、そのことを強く実感できました。涙が止まりませんでした。

いやぁ、啓治さん、最高のお芝居をありがとうございました。またとーちゃんに会いたくなったら、たくさん作品を見返したいと思います。本当に、本当に、ありがとうございました。

次回の「畠中祐のゆっくりすくすく」は、5月30日(土)に更新予定! お楽しみに!

畠中さんに質問!

Q:得意な家事はありますか? (山梨県・仁美)

仁美さん!! 質問! ありがとうございます!!!
そうですね、皿洗いですね!! 高速で洗えます!! もちろんキレイに洗ってますよ!!! 安心してください!!!

畠中祐が今、答えます!!!

畠中さんが動画でも質問にお答えしていきます。
今回のお便りのテーマは「人生でついた最大の嘘

次回のお便りのテーマは「今、家で何してる?」です。「楽しい自宅での過ごし方」や「おうち時間を楽しくするためのおすすめのコンテンツ」など、皆さんのおたよりをお待ちしております!

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    はたなかたすく
    8月17日生まれ。神奈川県出身。賢プロダクション所属。主な出演作はアニメ『俺が好きなのは妹だけど妹じゃない』(永見祐)、『バジリスク ~桜花忍法帖~』(甲賀八郎)、『ダイヤのA ActⅡ』(浅田浩文)、『うしおととら』(蒼月潮)、『KING OF PRISM by PrettyRhythm』(香賀美タイガ)ほか。