畠中祐

畠中祐のゆっくりすくすく 第60回

畠中祐

このコラムでは畠中さんのお仕事や好きなもの、感銘を受けた作品などについて語っていきます。

今回選んだ作品は映画『花束みたいな恋をした』。

正直、ものすごく今を捉えた映画なんじゃないかって、見るのを遠ざけていた映画でした。もう20代後半、ときめきだとかキュンキュンだとかそんなことより仕事しなきゃやばいぜ、みたいな気持ちもあって、もうタイトルからとてつもないキュンキュンさが漂うこの映画が見れなかったのです。

ついに見てしまいました。キュンキュンしたくて。やっぱり必要なのですねこういう感情も。
でも蓋を開けると、確かに今どきを切り取った瞬間もあれど、そこには普遍的な男女のすれ違い、ものすごく苦い瞬間が、リアルに詰め込まれていた映画でした。

あらすじはとてもシンプル、学生の時に、偶然出会った麦と絹。趣味や価値観がとても似ていて、話していてこんなに楽しい。私(僕)この人好きだ。と、恋に落ちる。麦は、絵描きを目指して、フリーのイラストレーターの仕事をしている。絹の方は就職活動をするがうまくいかず、しばらくフリーターをしながら、2人でいる時間に幸せを感じる。絹の就職が決定、彼女は今まで通り、仕事をしながらも2人でいる時間を楽しもうとするのだが、麦の方はイラストの仕事が全くうまくいかずに苦しむ。ついに麦も就職活動を開始し、一般職につくのだが、2人のためだと、仕事に没頭してしまう。そこから、2人の溝はゆっくりと深まっていく。という話でした。

麦の気持ちが痛いほどわかりました。食べていけない焦り。仕事がうまくいかない憤り。自分のことを何度も疑って、苦しんで、だからこそ今までの2人の生活が、すごく呑気なものに思えて、憤りを覚えてしまう。ものすごく身近な感情に、自分でもどうしていいのかわからなくなりました。

でも、きっと絹は、彼に絵を描いていてほしかった。彼のことを信じていたし、その信じる気持ちと、麦はちゃんと向き合うべきだったのかもしれません。仕事を理由に、漠然と責任を取ることを理由に、2人を維持することを理由に、彼女の言葉が、どんどんとどかなくなっていく。
形の見えない大人の責任を背負ってものすごく頑張る麦と、好きなものを好きな瞬間を追い求めて、それを共有することに幸せを感じてきた絹は、もう別れるしか選択肢がなかったのかもしれません。

背中で怒りを表す有村さんの芝居に、揺れに揺れて今にも崩れそうな菅田さんの芝居に、ものすごく胸揺さぶられました。何とリアルで、何と2人のお芝居感があっているのだろうか。生々しくて、とっても好きでした。

またこの映画はきっと、歳を重ねてみると違ってくるのでしょう。誰にも訪れる別れの分岐点、そこを回避していく方法が、もっと明確にわかるようになってくるのかもしれません。でももしかしたら、だからこそぶつかる方法もわからなくなっていくのかもしれない。いくつになってもわからない恋愛。この奥深さと味わいを感じれる、とてもいい映画でした。是非ご覧ください。

次回の「畠中祐のゆっくりすくすく」は、9月25日(土)に更新予定! お楽しみに!

畠中さんに質問!

Q:ドラマに出演するとしたらどんな役を演じてみたいですか?(群馬県・ぽぽ)

ぽぽさん質問ありがとうございます!!
ドラマに出演するなら!いやできるならどんな役でも!という感じです!!
でもやっぱり年齢感は同世代くらいの役がやりたいですかね!!年上すぎると難しいですよね!!

畠中祐が今、答えます!!!

畠中さんが動画でも質問にお答えしていきます。
今回のお便りのテーマは「あなたのアルバイト経験談」です。

次回のお便りのテーマは「あなたの印象に残っているCMソングは何ですか?」です!

1951年の9月7日に初めてCMソング『僕はアマチュアカメラマン』を使ったラジオCMがオンエアされたことより、この日が「CMソングの日」に制定されました。
あの清涼飲料水のあの曲!自動車CMのあの曲!クリスマスシーズンに流れるあの曲!といった形式でおたよりをお送りください♪

畠中さんへの質問&お便りを大募集!


    はたなかたすく
    8月17日生まれ。神奈川県出身。賢プロダクション所属。主な出演作はアニメ『RE-MAIN』(猪俣ババヤロ豊)、『MARS RED』(栗栖秀太郎)、『SK∞ エスケーエイト』(喜屋武暦)、『ましろのおと』(田沼総一)、『ダイヤのA ActⅡ』(浅田浩文)、『うしおととら』(蒼月潮)、『KING OF PRISM by PrettyRhythm』(香賀美タイガ)ほか。