畠中祐

畠中祐のゆっくりすくすく 第63回

畠中祐

このコラムでは畠中さんのお仕事や好きなもの、感銘を受けた作品などについて語っていきます。

今回選んだ作品は映画『(500)日のサマー』。

ついこの前、僕は失恋しました。もちろん舞台の話です。僕は大学の友達、鵜久森達彦というやつがやっている「オフワンズ」という劇団の企画舞台に参加してきました。相方も学年一個下の役者さんの富山華佳さん、完全に大学の仲間のみで芝居を作る。7年ぶりのひっさびさの舞台でした。

今回やった舞台「STAY “A T” Home」
この話は、明夫と千春という登場人物が、大学3年生の時から1年間付き合い別れ、そして5年後、ひょんなことから、一つの部屋に閉じ込められて、お互い再びぶつかり合ううちに「あの時、こうすればよかったんだ」みたいなものに気付きながら、また再び少しずつ寄り添っていく話でした。

いや、あくまで舞台での話だし、舞台終わって次の日にはもう切り替えられてて、全部忘れて日常に戻れると思っていたのです。が、、、現実はそんなに甘くなく、なんでしょうこれ、本当に失恋した気分になっているのが正直なところです。なんか元気出ない。音楽聴くにも失恋ソングばっかり。様子がおかしい。全然体から気持ちが抜けてない。どうしてダメだったんだろう、、、みたいなことばかり考えてしまう。なにこれ。どうすればいいのこれ。すごい気持ち悪い。気持ち悪いぞ俺。

 

もうね、とことん浸ってみるかと、、、
傷口に塩を塗るつもりで、映画『(500)日のサマー』を見ました。これ、もしかしたら数年前にコラムに書いたかも、、、もういいよ、、、、何回でも書かせてくれ、、、だって振られたんだもの、、、振られた時と言ったらこの映画でしょ、、、すみません、、、お付き合いください、、、

この話は、グリーティングカード会社でのカードのコピーを書いているトムと、秘書のサマーの、500日間に渡る恋の行く末を、トムの視点から描いた映画になっております。

最初この映画を見た時、なんだこの女はああああとトムの視点になって怒り狂ったものです。付き合わないで友達でいましょうと言うサマー。それは都合のいい関係って事? 僕もトムのように「きっと」を想像してしまいます。だから、彼女の笑顔は本当に嬉しいし、初めてのデート、初めて誕生日を祝った場所、その「はじめて」の全てに一喜一憂し、勝手に喜んで、勝手に舞い上がってはしゃぎます。男子、馬鹿だ。

でもこの映画を何度も観てると、彼女の誠実さにも気づくのです。彼を考えて、そして少しずつ変わろうとするサマー、不器用なのかもしれないけど、彼女は彼女なりに誠実に向き合おうとしていた。だから、流した涙だったり、最後のシーンだったり、そのヒントが随所に隠されています。

それを、都合よく解釈して、ある種自分の理想の形に落とし込もうとしてたのは、トム、君だったのかもしれない。でも結局彼自身、傷ついて傷ついて、傷ついた先に自分を見つけて変わっていきます。サマーのように、運命を信じない、だからこそ運命をその手で掴んでいく男になろうとします。

そして最後に、、、、

ものすごく背中を押されるラスト。運命は結局あるのかないのかはわからないけど、それでも、恋をしたくなる。どんなに傷ついても、だからきっと面白いんだろうと思わせてくれる映画です。

まだなぜか板の上で失恋した気持ちを引きずってしまってる状況ではありますが、また再び『(500)日のサマー」に背中を押してもらいながら、あと1週間後、また頑張るんだと思いました。やっぱりいい映画だこれ。今はとことん時間や仕事が癒してくれるまで待とう。甘えよう。恋愛って素晴らしい。

皆様も是非ご覧ください。

次回の「畠中祐のゆっくりすくすく」は、12月25日(土)に更新予定! お楽しみに!

畠中さんに質問!

Q:年内で、「これはやっておきたい!」ということはありますか?(大分県・握り)

握りさん!!!
質問ありがとうございました、、、今はなんか燃え尽きた感があって考えられませんが、、、、いっぱい美味しいもの食べたいですね、、、年内最後に、、、、

畠中祐が今、答えます!!!

畠中さんが動画でも質問にお答えしていきます。
今回のお便りのテーマは「あなたの好きな寿司ネタは?」です。

次回のお便りのテーマは「あなたの1万円でする自分へのご褒美は?」です!

好きなアーティストのライブ・おいしいレストランで友達とディナー・グッズ買いまくる!など、あなたの1万円でしたい自分へのご褒美を教えてください。
※1958年12月1日は日本銀行から一万円札が初発行された日ということで次回テーマに決定。

畠中さんへの質問&お便りを大募集!


    はたなかたすく
    8月17日生まれ。神奈川県出身。賢プロダクション所属。主な出演作はアニメ『RE-MAIN』(猪俣ババヤロ豊)、『MARS RED』(栗栖秀太郎)、『SK∞ エスケーエイト』(喜屋武暦)、『ましろのおと』(田沼総一)、『ダイヤのA ActⅡ』(浅田浩文)、『うしおととら』(蒼月潮)、『KING OF PRISM by PrettyRhythm』(香賀美タイガ)ほか。