約4年ぶりのアルバム『MONSTER』をリリースする榊原ゆいさんのロングインタビューが到着!収録曲の魅力などたっぷりとお届け!

アルバムに込めた思いとは

5月10日(水)に約4年ぶりのアルバム『MONSTER』をリリースした榊原ゆいさん。
収録曲の魅力やMV、ジャケットに込めた思いなどをロングインタビューでお届け!

インタビュー

——『MONSTER』アルバムは前作『Emotion』から約4年ぶりのアルバムリリースとなります。

榊原ゆい:アルバム自体4年ぶりのリリースなんですが、自分の中ではそんなにたっている印象がないんですよね。コロナ禍でも対策をしながらソロライブを休まずやっていたからだと思うんですけど。

——なるほど(笑)。

榊原ゆい:とはいえ、今まで私の中でアルバムリリースはリリースイベントのサイン会とレコ発ライブまでがワンセットだったので。このサイン会がなかなかコロナ禍で開催できなかった。そのタイミングを見計らっているうちに4年たってしまった感じですね。

——確かに店頭イベントもようやくできるようになってきましたからね。

榊原ゆい:そうなんです。それとライブのタイミングで、これまで年3回のライブを開催していて。2月のバレンタインライブがコアファン向けの私一人でステージに立つマニアック曲中心のライブ、春のツアーがダンサーと一緒にパフォーマンスするライブ、そして秋のバースデーライブがバンドで生演奏なライブと、コンセプトを分けているんです。そうなると、レコ発ライブをやるとしたら春のツアーだよな……ということに昨年末に気付いて、これはアルバム制作の時間がないぞ、と(笑)。それで表題曲の「MONSTER」を正月休み返上で作詞作曲しました。

——その表題曲「MONSTER」はダンサブルかつ、これまでにないほどにHip-Hopなテイストの楽曲になっています。これは春のツアーを意識してのものなんですか?

榊原ゆい:それもあります。それと今回はMV制作もしようと思っていたので、動画ビジュアル的に意識したところもあります。というのもデビュー以降たくさんのMVを作ってきたのですが、最近はご無沙汰だったので。

——それは何か理由があったんですか?

榊原ゆい:当初は楽曲の世界観を映像でも表現したいという想いが強くて、MV制作に力を入れていたんです。ただ、あまりにも作りすぎてしまって、ちょっと立ち止まる時間が必要になってしまったんですね。それでアルバムはリリースしてはいたんですが、アニメ『聖刻の竜騎士』の主題歌「聖剣なんていらない」のタイアップシングルを最後に、9年MVを撮っていませんでした。

——そんなになるんですね。

榊原ゆい:そうなんです。それでコロナの時期に始めた自分の公式YouTubeチャンネルに過去のMVを上げていってみたんですが、やっぱり今の自分からすると過去のパフォーマンスはまだまだだったなぁと思って。その時、ここ数年で私を知った人がこのMVを見たら、「これくらいのパフォーマンスなんだ」と思われてしまうのではないかって怖くなったんですね。さすがに昔の作品からは自分のパフォーマンスが成長している自信はありますから!ここは「今の榊原ゆい」のパフォーマンスを見てもらいたい!という気持ちが強くなって、アルバムの表題曲「MONSTER」では久しぶりにMVを撮影しようと思って、そこのイメージも踏まえて作詞作曲しました。そして振付けやパフォーマンスの先生のお仕事もしているので、こういう感じの表現もできますという私の幅の資料にもなればいいなと。

——それが「MONSTER」のMVなんですね。

榊原ゆい:久しぶりのMV撮影で準備など大変なことも多かったんですが、撮影するって決めたことで自分でもさらに前向きな気分になれたのは間違いありません。そのきっかけがコロナ禍に出し始めた動画配信であると考えると、私自身にとって大切な時間でもあったのかもしれませんね。

——楽曲としてどのような想いで作られたのでしょう。

榊原ゆい:SNSを見ていると、私のことを「化け物」とか「魔女」とか「ラスボス」とか、いろいろ人間離れしているように書かれていることが多いんですよ(笑)。

——いえいえ、それは誉め言葉ですよ(笑)。

榊原ゆい:もちろんそれは伝わってきていますので大丈夫です(笑)。それで、改めてこれまでを振り返ってみると、忙しい時は部屋に凄い量の台本が何作品もあったり、5時間のゲームやアニメのアフレコ現場を1日2本はしごしたり、ラジオやイベントやお呼ばれライブに、自分が一からプロデュースするソロライブがあって、もちろんそのライブの振付けやダンスリハもあり、さらにタイアップものの新曲を作詞作曲したり、自身のアルバムも毎年リリースして……そんなことをずーっとやってきても一度も倒れたり、心が疲れたりとかなかったんですよ。そりゃ「化け物」って言われるなって思うんですけど(笑)、これって生まれた最初から化け物だったわけじゃなく、自分のやりたい「榊原ゆい」でい続けようとした結果「化け物」と呼ばれるくらいになっているだけなんです。だから今の私でいるために体も心も元気に頑張れる自分は「MONSTER」かもしれないけど、でもそうなるために努力している自分は普通の人間であってMONSTERじゃないんだよ、ということも踏まえて作った曲なんです。

——MVやジャケットに登場するマスクは……。

榊原ゆい:MONSTERって言われている私はこのマスクのようなもので、本当は普通の人間が自分のできる限り頑張っているだけなんだよって意味ですね。「榊原ゆいだからこれだけできる」んじゃなくて、「自分が好きな榊原ゆいでいるためにやってきた」んです。

——決して特別な存在ではない。

榊原ゆい:誰だって好きなことにかける情熱は大きいと思うんです。例えばファンの方だったら私のライブに参加するために、チケット代を払って、ライブに参加する時間を捻出して来てくれるわけですよね。その情熱と、私が「榊原ゆい」でいるための情熱って、根本は一緒だと思うんですよ。ゲームに熱中して徹夜しちゃうのも似てるかもしれない。私の場合はその見え方や「お仕事」ということでガッツリとMONSTERになっちゃっているだけなんです。でも私は生きていてこの「お仕事」が一番好きなことなので……こうなるのは当たり前だと思っています(笑)。

——つまり僕たちへ向けた楽曲でもあるんですね

榊原ゆい:そうなんです。歌詞は私らしいちょっとキツめの崖から突き落とす系ですけど(笑)、私からみんなへの応援歌でもあり、私自身への応援歌でもある曲なんです。奮い立たせる曲ですね。

——そんな「MONSTER」を始め、収録曲は14曲あるのですが、榊原さんは先日Twitterで、「一度曲順通りに聴いてほしい」と言われていましたよね。

榊原ゆい:今までのアルバムも自分でマスタリングスタジオに行って、曲順はもちろん、曲間のタイミングまで私の感覚でエンジニアさんにお伝えして決めてきました。なのでこれまでのアルバムでも同様のことを言ってきてはいたんですよね。

——確かに以前のアルバム発売の時も、そういうコメントはありました。

榊原ゆい:でもここ数年で、アルバムを買うより、お気に入りの曲を個別に配信購入して聴く人が増えましたよね。特にコロナ禍でレコード屋さんに行きにくくなって、より顕著になったと思っているんです。そういう時代だからこそ、アルバム1枚を通して聴くという楽しみ方をしてほしいという気持ちが強くなったんです。例えばお芝居でも、うまくセリフが言えればいいというだけじゃなく、その時その時の間が大事になってくる。間も含めて作品なんです。でも最近はドラマや映画も1.5倍速で見たりする人も多いじゃないですか。気持ちはわかるんです。情報として取り入れるならその方が効率的ですから。でも、せっかくなら1回だけでいいから1つの作品として、曲順の意味や曲間のタイミングまでどんな感覚なのかを味わってほしいんです。そんな気持ちがあのTweetになっちゃっいました(笑)。

——おじさん世代としては納得してしまうご意見です(笑)。

榊原ゆい:特に私のアルバムは1枚を通じてのコンセプトで曲を作っているわけではなく、表題曲はオリジナルですが、他は様々なタイアップ曲が中心になって収録されています。だからこそそれを「1枚のアルバム」という作品にするために、曲順や曲間をものすごく考えていますから。

——確かに今回のアルバムはタイトルチューンの「MONSTER」でガツンとスタートしますが、アルバム前半はポップなゲームソングがメインで、後半はメロディアスで印象深い楽曲が並びます。

榊原ゆい:いつもいろんな作家さんに書いていただいた楽曲を歌わせていただくので。本当に素晴らしい楽曲ばかりで、それを私の一枚のアルバムとして聴いていただくためにはどうしたらいいか……それなら今回は収録曲のラインナップ的に、前半と後半で雰囲気の異なる楽曲を集めようと考えたんです。ただ、今までの流れはなんだったんだ!と一気に吹き飛ばすくらいのパンチのある「MONO turn ないと♡」をアルバムの最後に持ってくることは最初から決めていました(笑)。

——それにしても今回収録されたタイアップ曲も、これまで同様バラエティー豊かですよね。

榊原ゆい:そうなんですよ。20年くらいお世話になっているメーカーさんの楽曲もあれば、最近お声掛けいただいたメーカーさんもある。パチンコの曲もあれば同人ゲームの楽曲もあって。「レッツ・ワーキング!」や「愛を殺し」は海外の方からオファーをいただいた楽曲ですし。ここにきてお仕事の幅やお仕事の交流がまた広がってきているなって実感があります。

——パチンコ関連曲は3曲ありますね。

榊原ゆい:パチンコの曲ってなかなか聴けないんですよね。まず当たらないと流れないし、ワンコーラス分流れるとも限らないし(笑)。去年の夏、大阪でパチンコ・パチスロ楽曲のライブイベントがあって、そこで「Shiny」を歌ったんですけど、ファンの方の熱量がすごかったんです。その時に、こんなに喜んでもらえるなら、これからアルバムにパチンコ・パチスロ曲を収録して、自分のライブでフルで歌えるようにしようって思ったんです。

——やはり当たり曲なので、パチンコ・パチスロファンはテンションが上がるんでしょうね。

榊原ゆい:私はパチンコもパチスロもやらないんですけど、ゲームやアニメのタイアップ曲も、楽曲とゲームやアニメの印象的なシーンを一緒に記憶している人って多いんですよね。ライブで曲が流れると、それも思い出してアガるわけです。それと同じことがパチンコ・パチスロの挿入曲でもあるんだろうなって思いました。なんてったって当たり曲ですもんね(笑)!

——ということは今回3曲入っていますが……。

榊原ゆい:ライブで歌いますよ! もちろんフルバージョンを!ぜひパチンコ・パチスロファンの方にも生で聴きに来てほしいですね。

——でも、そういうことにイベントで気づくっていうのも素敵な経験ですね。

榊原ゆい:イベントやライブでの経験が、自分の中で「次はこうしてみよう」というアイデアにいろいろと繋がる事が多いですね。ライブとしてその瞬間が楽しいのは勿論ですが、そこから次のアイデアが生まれるのも楽しみの一つです。

——そして先ほどもお話に出ました「愛を殺し」ですが、こちらはタイアップ曲ではないんですよね。

榊原ゆい:この楽曲は、当時制作されていたゲーム用の楽曲だったらしいんです。でも、曲を作ったNinaさんが失恋されて、その経験をもとに楽曲を作り直したそうなんです。それを一度YouTubeで公開されていたらしいのですが、イメージが違って……と。それからアレンジを変更して、歌詞を日本語に翻訳して新しい歌い手を探していて、そこで私に辿り着いていただけたみたいなんです。Ninaさんの中でもいろいろな思いがあって、人生の紆余曲折の中で私に繋がった。私の歌をとても喜んでいただけたみたいで、今回印象深い1曲です。

——これまでの榊原さんの曲の中にはなかった雰囲気の歌詞ですよね。

榊原ゆい:そうなんです。言葉がものすごく新鮮でした。でもこの歌詞の言葉だけでなくもっと沢山のNinaさんの想いがこめられた歌なんだろうなって感じました。キャラっぽい作った声や綺麗な声よりも、生々しい「人」の声でこの歌の心を表現したいと思いました。

——レコーディングはどのように行われたんですか?

榊原ゆい:歌のレコーディングはこちらにまかせていただいて、私のセルフプロデュースで録音しました。その歌データを向こうにお送りしてミックスしていただきました。

——その意味では「MONSTER」とは違った意味で、これまでの活動から生まれた1曲ですね。

榊原ゆい:そうですね。こんなにも作り手のリアルな想いのこもった曲を表現する歌手に私を選んで委ねていただいたことが本当に嬉しかったです。

——これだけ色々な背景を持つ曲があると、やはりアルバム1枚を通して楽しみたくなりますね。

榊原ゆい:ぜひお願いします(笑)。

——そんな『MONSTER』アルバムを引っ提げてのライブは、どのようなスケジュールなのですか?

榊原ゆい:5月27日(土)が大阪で6月3日(土)が東京です。共に昼夜公演がありますが、それぞれセットリストは変えています。もちろん『MONSTER』アルバム収録の14曲は、この4つの公演すべてに全曲入っています。でもそれ以外の楽曲は昼と夜で全曲違っていて、大阪と東京でも少し違っています!今回は事前に歌う楽曲を公開しようと思っています。セトリを見てどの公演に行きたいか予習も踏まえて知りたい方は見られるように、見ずに当日のお楽しみにしたい方は見えないように選択できる形の公表にします(笑)!

——コロナもひと段落っぽいので、ライブも盛り上がりそうですね。

榊原ゆい:今のところ、今回のライブはマスクありですが、声出しOKになっています。私が歌うだけじゃなくてお客さんも一緒に声を出して盛り上がってもらえるのが榊原ゆいのライブだと思うんです。普段声を出さない方も周りを見て一緒に声を出し発散するのも良いと思うんです(笑)!コロナの中のライブは、お客さんが声を出せるような楽曲は意識してセットリストから極力外して、ステージ上だけでも完結するような構成にしていたんですけど、そういう曲の選び方をしていると悲しくなってきちゃうんですよね。ライブをやってもどこか物足りないですし。今年2月のバレンタインライブでしっかりと声出しを解禁したんですけど、もう充実感がハンパなかったんですよ。久しぶりにライブをやりきった疲労感がありました(笑)。

——サイン会も開催されるんですよね。

榊原ゆい:こちらは秋葉原のソフマップAKIBAアミューズメント館で5月14日(日)にトーク&サイン会を開催します。ぜひアルバム『MONSTER』にサインを書きつつ、お一人ずつと少しでもお話できたら嬉しいです!参加方法など詳しくは公式サイトをご確認ください。

——それでは最後にファンへメッセージをお願いします。

榊原ゆい:たくさん楽曲提供をいただき、今でも歌えていること、ライブを続けさせていただいていることの幸せを、改めて今年はかみしめています。続けていくことって本当に難しいことなんですが、私の熱量だけでは続けてこれなかった。そしてこれからも皆さんが曲を聴いてくれて、ライブに来てくれるからこその私の熱量が発揮されると思うので。エンタメ界で長く続けていくのは本当に大変なことをコロナ禍を経て今まで以上に痛感しています。ライブを続けていくためにも、良いライブにするためにも、模索する事や、色んな事を試してみたりご協力をお願いする事もたくさんあると思いますが、ライブ常連の方はもちろん、今までライブに行った事ないという方にも、まずはライブに来て頂いて生のステージを楽しんでもらえるよう、この心と体で精一杯生みだして行くので!厳しい時でもファンの皆さんの笑顔を思い浮かべながら頑張るので、榊原ゆいのパフォーマンスを見に来て楽しんでやってください!これからも応援よろしくお願いします!

インタビュー・テキスト/ 今 俊郎

アルバム、ライブツアー情報

榊原ゆい アルバム『MONSTER』
official通販サイト(ワードレコーズ)
https://wardrecords.com/page/sakakibarayui/monster/

榊原ゆい アルバム『MONSTER』
ライブツアー『MONSTER★LOVE×Live2023』
5/27(土)大阪、6/3(土)東京
特設HP
http://www.sakakibarayui.com/info/mll2023/

概要

榊原ゆい 公式HP
http://www.sakakibarayui.com/index2.html

榊原ゆい 公式YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC5jhyfNc706uAj2wAC5I3LQ

榊原ゆい 公式Twitter
https://twitter.com/yuisakakibara