アーティスト活動最後のライブはみんなで熱唱!『沼倉愛美 FINAL LIVE 「みんなで!」』レポート

2020年2月をもって、アーティストとしての活動を終了することを発表した声優・沼倉愛美さん。2月12日にコンプリートベストアルバム「みんなで!」をリリースし、その4日後、アーティストとしての最後のライブが開催された。

「FINAL LIVE『みんなで!』作ろう!プロジェクト」と題し、歌ってほしい楽曲のリクエストを、あらかじめファンに募っていた沼倉さん。また、会場となった豊洲PITの場外にはメッセージボードが設置され、多くのファンが熱い想いを書き込んでいた。

サポートメンバーが姿を現し、ギターの音色が響いてライブはスタート。1曲目はデビューシングルの「叫べ」。ステージ上段に登場した沼倉さんは、満員のフロアに手を振りながら、アップテンポな曲を熱唱。サビでは観客の大合唱が起こり、ライブはいきなりのハイボルテージに。そこから、「ハレルヤDrive!」「Checkmate」と、アグレッシブな曲を畳みかけていく。「Checkmate」では、早くもバンドのメンバー紹介が行われ、各パートのソロに大きな歓声が上がった。

沼倉さんの衣装は、最新曲「みんなで!」のMVと同じ白のツナギ姿。ペンキでカラフルにペインティングされているのもMVと同じだが、ライブのために新たに作った衣装だという。

最初のMCでは、恒例の「ぬーさんのライブのルール」を宣言。①隣の人と仲良く、②女子に優しく、③ぬーさんにはもっと優しく!! というこの三原則も、今日が最後かと思うと感慨深い。

「今日は皆さんに協力していただいたリクエストで、セトリを組みました。なかなか厳しい道のりもございます。準備はよろしいでしょうか!?」と観客に問いかける沼倉さん。その言葉通り、ライブはこの後、長い道のりを辿ることになる。

続いて披露されたのは、「Shining Days」「グッバイ」「Smiling & Smiling」「Good Day」という明るくハッピーな4曲をつないだメドレー。男女2名ずつのダンサーも登場し、ステージはより華やかに。さらに、「彩 -color-」「Benvenuti」と明るい曲を歌いつなぎ、ミディアムバラードの「Hello, Ms.myself」で、一連の流れをフィニッシュさせた。

続いては、アニメソングのカバーメドレー。圧倒的なリクエスト数だったという「恋愛したいっ!」(TVアニメ『恋愛ラボ』OP)から、「心はきっと」(TVアニメ『RELEASE THE SPYCE』キャラクターソング)、「またあした」(TVアニメ『蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-』)とつないでいく。

MCを挟んで、さらに、もう1曲。初めて沼倉愛美の名前で歌った、思い入れのある曲「AVALON」(TVアニメ『THE IDOLM@STER STATION!!!』より)を披露。悠久のときをテーマにした壮大な楽曲を美しく歌い上げて、一旦ステージを降りた。

アクティブな黒の衣装に着替えて再びステージに現れると、次はダンスナンバーのパート。「RELOAD」「This Kiss」「What You Want」「Don’t back」のメドレーからスタートし、「夜と遠心力」「Spiral Flow」「Desires」とテンションを上げていく。このパートのボーカルはどれもクールで大人っぽく、沼倉愛美のもう一つの魅力が発揮された。

次は、本人いわく「ぬーさんの夢をかなえるコーナー」。「どうしても、ある曲をあるお方と一緒に歌いたいと思いまして」というMCに続いて、紹介されたのはTVアニメ『風夏』で、ヒロインの秋月風夏を演じた声優のLynn。思わぬサプライズゲストに、会場は大興奮! そんななか、息の合ったツインボーカルで、『風夏』のOP「Climber’s High!」と挿入歌「星の降る町」を披露した。

3番目の衣装である黒と赤のドレスに着替えると、ここからはバラードのパート。「言の葉」から始まり、「屋根上の朱い花」「まどろみ」「SWAY」3曲のメドレー、さらに「暁」を披露する。沼倉さんのバラードは、穏やかなボーカルが特徴。包み込ような温かさが感じられるナンバーだ。

そして、いよいよライブはクライマックスへ。
「FINALなので、とっておきの地獄を用意しました! 生き残れよ!!」という煽りとともに、「魔法」「アイ」「Anti-Gravity」「My LIVE」と盛り上がり必至のナンバーを、次から次へと繰り出していく。もちろん観客も、大合唱あり、息の合ったクラップあり、ジャンプありで大爆発。地獄のセトリを見事に乗り越えた沼倉さんは、「生き残ったぞー!!」と快哉を上げた。

本編最後の曲は、もちろん最新曲でありライブのタイトル曲である「みんなで!」。
「こういう場所はなくなってしまうんですけど、人生を最高に楽しんで後悔なく生きていますと皆さんに言えるようにこれからも進んでいきたいと思っていて、みなさんにも素敵な笑顔でいてほしいなという願いや約束をこめて、今日のために新曲を作りました」と沼倉さん。「みんなで!」は、誰もを笑顔にするポップナンバーで、観客が参加できるコーラスパートがあるのが特徴。「ウォーウォー!」という合唱が場内に響き渡った。

アンコールは、出演者全員がライブTシャツに着替えて登場。まずは、タオル曲である「Come on New World!!!」で盛り上げ、続く「もっと一緒」では、イントロから観客が一斉にジャンプ。〈あなたのこと 好きなのです〉の歌詞を〈みんなのこと 好きなのです〉と歌い換えて、大きな歓声が上がった。

思いっきり盛り上がった後は、アーティスト沼倉愛美としての最後の挨拶の時間となった。
メドレーも含めて、アーティスト沼倉愛美の曲を全て披露したFINAL LIVE。「未知の領域だったけど、皆さんのおかげで走りきることができました。ありがとうございます!」と笑顔で感謝の気持ちを伝えた沼倉さんだったが、多くの人に支えられたアーティスト活動を振り返っていくうちに涙が。
「私は、自分に『ここにいていいよ』と言うのが下手な人間だったので、この活動を始めて、作品とかキャラクターを被っていない私に居場所がもらえたような気がして。そのまま生きていていいんだよ、と言ってもらえている気がして。皆さんがいてくれたから、この先の人生も、沼倉愛美を胸を張って生きていくことができると思います。本当にありがとうございます」

涙をぬぐって、「最後はみんなで笑って騒いで終わるのが、ぬーさんのライブと思いませんか?」と観客を煽り、ラストは、「ウォーウォー!」のコーラスが入る定番曲「HEY!」。場内の全員の想いが爆発したような盛り上がりとなり、バンマスの伊賀拓郎は途中でキーボードを弾くのをやめ、前に出てダンサーとともに踊り始めるというシーンも。

歌い終わった沼倉さんは、出演者たちとともに晴れやかな表情。マイクを手放し、肉声で「ありがとうございました!」のラストメッセージを伝えて、3時間半にわたるFINAL LIVEの幕が閉じた。