富田美憂

【声グラ限定】富田美憂さんニューアルバム『Prologue』は、今の自分が出せる100パーセントの力の集合体

富田美憂
思わずドキッ!とするようなギャップも魅力の一つ

富田美憂

──3曲目の「Run Alone!」はアグレッシブな曲で、ライブで聴きたいです。
この曲に関しては飛び抜けてロックで疾走感があって。「アドレナリンが出るような、ライブ映えする曲が欲しいです!」とお願いして、コンペで選ばせていただいた楽曲です。歌うのがとにかく難しくて(笑)。

──吐息の部分があったり、ラップがあったり。
さらにセリフっぽい部分もあったりと、トリッキーな曲なんです。楽曲の難易度が高くて、自分が今持っているよりも上のレベルが求められている曲だと感じました。レコーディングでも体力を使いましたし、アルバムの中でもいちばん挑戦した曲だと思います。

──<負けるわけない><半端な覚悟じゃ>などの強気な言葉に、感情が乗ってますよね。
ちょっと大変そうなギリギリ感というか。楽曲に必死に食らいついていく感じが出てるかなと思っています。いい意味で、「はぁ」って溜息が漏れるような曲だなと。もしライブなどで歌う機会があったら、皆さんも体力がカラカラになるまで楽しんでほしいなと思っています。

──そこから一転、4曲目「片思いはじめました」は甘酸っぱい片思いを描いた軽やかな楽曲です。
アルバムなので良い意味で富田美憂っぽくない曲があっても良いなと。どちらかというとカッコよくてスタイリッシュな楽曲のイメージがあると思うんですけど、聴いてくださる方にビックリしてもらいたいなと思って。「少女漫画を読んでるような、清涼飲料水のような、ピュアで爽やかで青春って感じの、キュン!となれる恋の歌が歌いたいです!」とお願いして、ピッタリな歌をいただきました。現在進行形で恋をしている方が共感できる曲だと思います。片思いしている最中だからこその楽しさ、切なさが出ていて。少女漫画のヒロインになったような気持ちで歌ったので、レコーディングもすごく楽しかったです。

──まさに炭酸が弾けるような曲なんですが、切なさもあって。でも最後の<片想いをありがと>という言葉は、幸せにも満ちているように感じました。片思いは実らなかったのかな、と思わせる言葉がほかにもありますが、富田さんとしてはどう捉えていますか?
個人的な解釈なんですけど、結ばれてハッピーという曲ではないと思うんです。でもこの曲の主人公は恋という気持ちがわからなかったところから、恋を見つけて、片思いの楽しさ、辛さ、切なさを経験して……実りはしなかったけど、片思いをしたことによって得たものがあったから、こういう気持ちをくれて「ありがとう」って言ったのかなと解釈しました。

──「片思いはじめました」からシングル曲「翼と告白」(5曲目)につながります。
片思いと告白に紐づけて、この位置に入れさせていただきました。「翼と告白」ではキレイな気持ちだけじゃない、リアルな想いも歌わせていただけたらと思っていたんです。そういう意味では「片思いはじめました」のキラキラした世界とのギャップを楽しんでいただけるかなと。

──6曲目「Some day, Summer day」でガラりと印象が変わります。
ライブを前提に作った曲なんです。「ライブのときにみんなにコールをしてもらえたり、タオルを振り回せたりする曲が欲しいです!」とお願いしました。イメージ的には夏フェスですね。発売が初夏ということで、夏っぽい歌詞もすごく似合うなと思いました。レコーディングもライブを想定しながら歌って。皆さんに「一緒に歌おうね!」って気持ちで歌わせていただきました。早くライブで歌いたいです!

──3rdシングル「Broken Sky」を挟み、8曲目に「かりそめ」が収録されています。これがドキッとするような、大人っぽい曲で。
実際にも「ズバ抜けて大人っぽい曲」というリクエストをさせていただきました。声は「ハスキー」ではなく「シルキー」を目指しました! シルクのような艶やかさ、滑らかさ……そういったものを意識しながら歌ったので、今までの富田美憂らしからぬ歌声になっているかなって。これも意外性が狙いでした。

──「シルキー」ってすごく良い言葉ですね。
初めての歌、初めてのアプローチです。私の新しい引き出しが開いた曲になりました。

──<(名もない関係 それじゃ最低 手遅れだって)朝なんて来なきゃ良い>という歌詞なんかも、すごくリアルな、大人の関係といいますか。
はじまりも深夜の12時ですから(笑)。攻めましたね、すごく。私は今21歳ですけど、気持ち的には26、27歳くらいのイメージで歌いました。サビは多少力を入れているんですが「こんなに力を入れず歌ってもいいんですか?」ってくらい力を抜いていて、逆にそれが色っぽいと思っていただけたらと思っています。

──9曲目に収録された「足跡」も、少し年齢が高めのような気がします。アルバムの中では唯一のバラード曲ですね。
実は「ジレンマ」の後日談の曲なんです! 楽曲をチョイスしてくださったコロムビアの担当の方から聞いたときは、「その発想はなかった~!」と驚きました。作詞家さんが一緒なのも意図したものだと思います。もともと「バラードを1曲は入れたい」というお話はしていたんですけど、本当にシンプルな、ピアノメインのオケで。「ジレンマ」と同じく、表情感が活きた曲です。「ジレンマ」と同じく「足跡」にも時計の音が入っていて、そこでもつながりを感じられるかなと思ってます。「ジレンマ」って曲中で葛藤しているじゃないですか。その葛藤から時を経ての心情が「足跡」で。「ジレンマ」でこじれてしまった二人が再会して、お互い大人になって、許し合って……。最後のコーラスでは、切ないだけではない温かな気持ちも出したいなと思っていました。

──「片思いはじめました」「かりそめ」などにも言えることなのですが、今作は全体的に、コーラスにも力が入ってますよね。
「足跡」はこのコーラスがないと温かく終われないんですよね。コーラスもハモも歌を作るうえでめちゃくちゃ大事なものだと思っています。だから事前で家で練習をしてからレコーディングに挑んで、平歌と同じくらいこだわって録って。「片思いはじめました」もハミングのコーラスがあるからこそ、甘酸っぱさが出てるなと。

──そのバランスというのはディレクターさんと相談しつつなんですか?
そうですね。「片思いはじめました」がわかりやすいんですけど、実は最初はもう少し淡々とした印象で録っていたんです。でもDメロ前の間奏とアウトロのコーラスが印象的な曲なので、「少し口角をあげて、明るくにこやかなイメージで歌いましょう!」ってディレクションをいただいて今の形になりました。機会があればぜひ皆さんにもインストを聴いてほしいです!