富田美憂

【声グラ限定】富田美憂さんニューアルバム『Prologue』は、今の自分が出せる100パーセントの力の集合体

富田美憂

2019年11月のデビュー以降、ポップからロックまでカラフルな歌の数々を届けてきた声優・アーティストの富田美憂さんが、6月30日(水)に自身初となるフルアルバム『Prologue』をリリース! 収録曲のうち、自身が作詞を手掛けた「Letter」をはじめとする7曲の新譜を中心に、たっぷりお話をうかがいました!

 

新曲のコンセプトと世界観は富田さん自身が提案!

富田美憂

──今作には19歳から21歳の間に録り溜めた楽曲が収録されています。19歳から21歳を振り返ると、どのような時間だったと思いますか?
子供から大人に変わる節目をアルバムという形で取って置けることがすごくうれしいです。このアルバムのコンセプトを一つ挙げるとしたら、“成長”でした。ここ数年、精神的に変わったように感じているんです。音楽は人となりが表れるものだからこそ、子供から大人に切り替わって、成長していく過程を表現できるんじゃないかなって。

──音楽って人となりが出るものだからこそ、すべて声に出てしまいますもんね。逆に怖いというか……。
そうなんですよね! 今までいろいろな作家さんの曲を歌わせていただいてきましたが、それぞれの曲に、作家さんが歩んできた人生やバックボーン、人となりも表れているので……。だから私自身も本気で向き合わないといけないなって思いました。

──ところで、子供から大人に切り替わった瞬間というのは、どのようなときに感じたんでしょうか?
学生の頃は学校とお仕事の往復の日々で、今振り返ると、「お仕事」という自覚はあったものの、どこか部活のような感覚があったように思います。当時は10代という年齢を珍しがられることも多かったですし、自分自身はそれを特別なことだと思っていたわけでもないんですが、20歳になって10代という肩書きがなくなったときに、これからは純粋に実力で勝負していかないと生き残れないんだと身が引き締まりました。お仕事に対する重み、責任感について改めて考え直す機会になりましたね。

──アルバムタイトルは富田さんが考えられたとのこと。1stアルバムにピッタリな言葉ですね。
ありがとうございます! そう言っていただけるとうれしいです。去年の夏ぐらいからアルバムのお話があったので、ありがたいことに準備期間がたくさんあったんです。新曲のそれぞれのコンセプトから、世界観、トラック順まで私が考えさせていただきました。

──曲は基本的にコンペで選ばれたのでしょうか?
はい。コンペではマネージャーさん、コロムビアの方々が厳選した上で、私のもとに20曲くらい届いて、その中から相談しつつ選ばせていただきました。多くの曲をいただいたんですが、歌いたいなと思う曲って直感で決まるもので。今までもコンペで長考したものってあまりないんです。

──直観は大事ですね!
本当にそうなんです! その後レコーディングして歌ったものを聴くと、「直感は間違ってなかったな」っていつも思います。

──最初に取り掛かったのはどの楽曲なんでしょうか?
リード曲の「ジレンマ」(2曲目収録)を最初にレコーディングしました。3rdシングルの「Broken Sky」(7曲目収録/『無能なナナ』OP曲)をリリースするときに、カップリング曲を含めてコンペをさせていただいたんですが、実は「ジレンマ」はそのときに挙がっていた楽曲で、私もスタッフの皆さんも「この曲良いね!」って言っていたんです。『無能なナナ』のイメージもあったので、「Broken Sky」を選ばせていただいたんですが、「別の機会にぜひ歌いたい!」と、今まで温めていました。

──念願叶ったんですね! 大人っぽい印象の曲ですが、富田さんが惹かれたポイントというのは?
すごく大人っぽくて、今までの富田美憂のイメージとはガラッと変えられる曲だなと。1曲ごとに違う表情を見せていきたいと思っていたので、ピッタリな曲だなと思っていました。コンペの段階では作家さんのお名前は知らなかったんですが、フタを開けたら1stシングルカップリングである「Ageha Twilight」を作ってくれたGRPさんが作曲されていて、驚きました。

──てっきり「Present Moment」と「ジレンマ」をつなげたのは、作家さんが同じだからという意図もあったかと思っていましたが、運命的というか。
ご縁があったんだなと思いました。アルバムを出すとなったとき「リード曲、どんなものがくるんだろう」って皆さん想像すると思うんですが、「ジレンマ」は良い意味で誰も想像しなかった方向性の曲だと思うんです。精神的にも技術的にも少し上がって、大人になった今だからこそ出せる声だなって。そうした意図もあって1曲目の「Present Moment」の次に「ジレンマ」を収録しているんです。「Present Moment」は当時の等身大の楽曲だったので、1stシングルと今の差を感じてほしいなと思いこの順番にしました。

──「ジレンマ」のレコーディングはいかがでしたか?
歌う時はプレッシャーもありました。GRPさんの意図だと思うんですが、あえてオケがシンプルで、声が活きる楽曲になっているんです。その分、ごまかしが利かない。そういう意味では、私自身のポテンシャルが如実に出る楽曲だなって。普段からお芝居をやっているからこそできる表情、抑揚の付け方を活かせるだろうなと思ったので、自分でも「これやりすぎじゃない?」って思うくらい、あえて表情をつけてみました。

──それが良いエッセンンスになってますよね。特にDメロの切ない声からは感情があふれ出していて。
Dメロはこの曲の中でも特に気持ちを出した部分なんです。客観的に見て「切ないな」「色っぽいな」って思っていただけたら良いなと。

──MVも過度な装飾はなく、表情を見せる内容になっています。
監督が「表情を大切にして撮りたい」と言ってくださったんです。これまでのMVとはまた違った表情が出たらいいなと思っていました。だから今回はとにかく「顔!」って感じです(笑)。無駄なものがいっさいないシンプルな場所に私がポツンといるカットであったりとか。どこまで表情を出していいかがわからず、曲の雰囲気を壊さないようにと試行錯誤しながらの撮影でしたが、素敵に仕上げていただきました。観ていただいた皆さんにぜひ驚いてほしいなと思ってます。

──赤い衣装もすごく似合ってますよね。静かに燃えるような赤というか。
ありがとうございます! 楽曲自体は静かな雰囲気ですが、実は熱いというか。ビジュアル面、歌声、ダイレクトに気持ちがグッと前に出た曲になっているので、イメージ的にも赤がピッタリだなと思ってます。