浪川大輔

【声グラ限定】浪川大輔さんのニューシングル「鼓動」は“心臓”をテーマに自分の武器以外でのアプローチも!

浪川大輔

アーティスト活動10周年を記念したアルバム『Ruts』リリース後の第一弾シングルとなる「鼓動」。コロナ禍のなかで音楽の強さをあらためて感じたという浪川さん。楽しいときも辛いときも変わらずに動いている“心臓”をテーマに、バラエティに富んだ3曲の応援歌が届きました。

心臓をテーマにした「鼓動」

──新曲「鼓動」は発売に先立って、2022年4月2日(土)・4月3日(日)に舞浜アンフィシアターで開催された『LIVE 2022 POMP to POMP』で披露され、初の先行配信となりました。どういった気持ちで「鼓動」の制作をされたのでしょうか。
 ライブを前提に曲を作りたいという気持ちがありました。ライブなのでメッセージが欲しいなと思ったんです。それで「何か曲を作らせてもらえませんか?」とお願いして、完成したのが今回のシングル。配信が先に出るというのも初めてだったので、挑戦してみようという感じでした。

──コンセプチュアルな作品ですが、シングルの方向性はどのように決められたのでしょうか。
 ライブでも話したんですが、もともと自分の努力している姿を見せるのが照れくさくて、あんまり好きじゃないんです(笑)。僕の中でのエンターテインメントは「楽しければいいもの」だと思っているので、あえて苦しいなか頑張っている姿を見せる必要はないのかなと。でも、そういうことを考えていた時に、心臓というものに興味が沸いたんです。心臓って意識があるときもない時も、楽しいときもそうではない時も、一生懸命ずっと動いているじゃないですか。それに加え、曲を作る、ライブをする、何かものごとを始めるときって心臓がドキドキしたり、ワクワクしたり、鼓動が高鳴ったりしているものだなと。

──〈頭には定まらないコンパス 何かを求めこの心臓は今も確かに動いてる〉という歌詞にもあるとおり、心臓は人生のコンパス的な役割を果たしているのかもしれませんね。
そうなんですよね。それで「どんな状況のときも心臓は必ず動いている」っていう、力の源のようなものを歌いたいなと思いました。

──どんな時でもずっと動いていると思うと、なんだか心臓が愛しくなりますね。
 ですよね?(笑) 僕もそう思って。スタッフには驚かれましたけど(笑)。「鼓動」の歌詞は宮崎誠さんに書いてもらっていますが、僕のアイデアをいろいろ書いたメモを渡して、それをもとに作ってもらいました。さっきの話と矛盾しますが、今回のシングルは超苦労したので「大変だった!」と声を大にして言いたいです(笑)。

──たとえば、どんなことに苦戦されたんですか?
 キーですね。全部自分の限界キーで歌っているので、そこが大変でした。もともと声がFくらいまでしかでなかったんですけど、皆さんのご指導のおかげもあり、今は一瞬であればAまで出るようになったんです。ただ、G、Gシャープのロングトーンはきつくて、特にファルセットと表声の間がいつも苦労します。今回は限界に挑戦してクラクラしてしまいました(笑)。

──「鼓動」は伸びやかな歌声だからこそグッとくるものがありました。ミュージックビデオは、バックバンド・ノンストレスの皆さんとの躍動感あふれる映像になっています。テーマにされたことや、撮影中のエピソードなどを教えてください。
 撮影日はライブが近かったこともあって、ノンストレスのメンバーとやったほうが力強さが出るかなと思いました。あと、オーソドックスなバンドスタイルのMVって最近やってこなかったなと。監督と話しながら作っていくなかで、最初から僕が言っていたのは「きれいじゃなくていい」ということ。男くささがあるものがいいなと思っていました。心臓って普段見えないものですが、めちゃくちゃ頑張って動いているというのをあまりきれいに表現したくはないかなと話していました。

──「鼓動」のほかスウィング・ジャズ感あふれる「カウンターブロウ」、ゆるりとしたムードのアコースティックナンバー「スパイス」も収録されています。
 「鼓動」はものごとの初動を描いた曲だったので、なんだか切羽詰まった感じがありました。そこで、リラックスした歌も聴いてほしいなと思い作ったのが「スパイス」。作詞・作曲をお願いした佐伯youthKさんには、日常のちょっとしたことが人生のスパイスになればいいなくらいの「リラックス感のある曲にしてほしい」という話をして、自分の書いたメモを渡しました。一方の「カウンターブロウ」は、「やっても無駄かもしれない。何もできなかったじゃん」っていう今風の少しネガティブな考え方を打ち出したというか……。これまで、あまり否定的なことは書いてこなかったんですが「否定を多めにしてください」とお願いしました。でも応援歌にはしたいから、「生きてればなんとかなるんじゃない?」というメッセージも入れたいなと。「生きてればなんとかなる」ってどん底に落ちてしまった人にはエールになると思うんです。ボクシングに例えたメタファーは作詞をしてもらったミズノゲンキさんが提案してくれました。

──メロディーのイメージも浪川さんからお伝えしていたんでしょうか?
 そうですね。それぞれの曲に対して「こんな雰囲気で作ってほしい」と具体的なイメージを伝えていました。

──さきほどおっしゃっていた“否定をするようなことは書かない”というのは、音楽活動をされる上での矜持でもあるのでしょうか。
 僕の性格的に否定が好きじゃないんです。何か意見を言ったときに“でも”って言われると「“でも”って言われれても……」と悲しくなるじゃないですか(笑)。

──なりますね(笑)。
 もともとアーティスト活動を始めた時に話していたのが「僕は歌もダンスも得意じゃないし、面白いことを常に言えるわけでもない」ということでした。じゃあ何ができるかと言えば、楽しい空気作りだなって。だから「“楽しかったね”とみんなで言えるようなライブをやりたい」と思いながら、アーティスト活動をやってきました。そこに否定はいらなかったんです。でも今回は否定を入れることで、楽しさがより引き立つかもしれないなと思い、挑戦しました。

──そう思われたのには、何かきっかけがあったんですか?
 最近の歌を聴いていると、けっこう強い言葉が入っている印象があったんです。80年代、90年代の曲ってさらに強い言葉があったと思うんですけど、最近は明るいモードの曲が増えていたイメージだったんです。逆にネガティブな言葉やマイナスモードの言葉も、皆さんキャッチーにとらえていて、流行っているんだな、面白いなと感じました。歌うからには聴いている方の心に刺さってほしいので、自分の信じてきた言葉、曲調だけではないアプローチにも挑戦しました

──「カウンターブロウ」での反骨精神を表現した歌声に、ロックな雰囲気も感じます。
 たしかに少しロックっぽくなった感じはありますね。実はあの曲は最大3役くらいのキャラクターとして歌いたいと提案していたんです。その三人のけなし合いをしたいと考えていたんですが、僕の歌声の音域的に、3役の差をつけるのが難しいなと……。お芝居の延長になってしまいそうな気がして諦めたんです。役として表現しない代わりに、否定の言葉が多めになって、その影響でロックな雰囲気になったのかもしれません。

コロナ禍を経て、あらためて音楽の強さを感じた

 ──7枚目のシングル「wonderful days」はコロナ禍に突入し、何が起きるか分からない状態での制作。昨年6月に発売されたアルバム『Ruts』はそんな時代を生きる私たちに寄り添った一枚になりました。そして有観客でライブもできるようになった今、8枚目のシングルをリリース。コロナ禍で、あらためて音楽の強さを感じられることはありましたか?
 皆さん生活が変わったり、変わらざるを得なかったりと、いろいろあったと思うんですけど……そんななかでも音楽は変わらないなと思いました。むしろ、その力は強くなってるんじゃないかなと。まず文化として、ずっと残っているってすごいことだと思うんです。変わらない強さがありながら、人を変える強さがあるものだと感じています。僕自身も、音楽に変えてもらいました。歌える機会をもらえて、ダンスをする機会があって、仲間たちと出会えて、ライブもできて。40半ばを越えて、こんなに歌ったり踊ったりするとは思わなかったですから(笑)。ただ、気持ちと体は別物なので体が痛くなったりしんどいこともあるんですよ(笑)。

──それだけ全力で、一本一本のライブに挑まれていることが伝わってきます。
 僕はひねくれているので、どれだけ全力でやっても「もっとできたんじゃないかな」「あの時こうすればよかったかな」って思っちゃうんですが(苦笑)。でも見てくれる人がいるので。どんな表現者でもそう思っているでしょうけど、見てくれる人がいないとやっている意味がないんですよね。なので、応援してくれている方々に感謝だなと常々思っています。

──浪川さんの心臓が動く瞬間や、スパイスとなることといえば、やはりライブになりますか?
 そうですね、やっぱりライブかな。特に今回のライブはスパイスどころか、スパイシーすぎました(笑)。ライブができるとは思っていなかったので喜びも大きくて、「仲間がいるって良いな」と実感しました。

 

【インフォメーション】

鼓動 豪華盤A (初回限定生産)

浪川大輔

2022年5月18日発売
CD 3曲収録
LACM-34261
¥2,640円(10%税込)/¥2,400円(税抜)

CD INDEX

  1. 鼓動 作詞・作曲・編曲:宮崎誠
  2. カウンターブロウ 作詞:ミズノゲンキ 作曲・編曲:睦月周平
  3. スパイス 作詞・作曲:佐伯youthK 編曲:睦月周平

初回生産分封入特典
フォトブック(24P)
メッセージカード
※豪華盤B、通常盤とは写真・メッセージが異なります。

 

鼓動 豪華盤B (初回限定生産)

浪川大輔

2022年5月18日発売
CD 3曲収録+BD
LACM-34262
¥2,640円(10%税込)/¥2,400円(税抜)

CD INDEX

  1. 鼓動 作詞・作曲・編曲:宮崎誠
  2. カウンターブロウ 作詞:ミズノゲンキ 作曲・編曲:睦月周平
  3. スパイス 作詞・作曲:佐伯youthK 編曲:睦月周平

BD

  1. 鼓動 (MUSIC CLIP)
  2. making of “鼓動”
  3. TRAILER

初回生産分封入特典
メッセージカード
※豪華盤A、通常盤とは写真・メッセージが異なります。

 

鼓動 通常盤

浪川大輔

2022年5月18日発売
CD 3曲収録
LACM-24261
¥1,540円(10%税込)/¥1,400円(税抜)

CD INDEX

  1. 鼓動 作詞・作曲・編曲:宮崎誠
  2. カウンターブロウ 作詞:ミズノゲンキ 作曲・編曲:睦月周平
  3. スパイス 作詞・作曲:佐伯youthK 編曲:睦月周平

初回生産分封入特典
メッセージカード
※豪華盤A、Bとは写真・メッセージが異なります。

 

【プロフィール】
なみかわだいすけ●4月2日生まれ。ステイラック所属。主な出演作はアニメ『ルパン三世 シリーズ』(石川五ヱ門)、『ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャン』(ナルシソ・アナスイ)ほか。

 

【スタッフクレジット】
取材・文/逆井マリ