今井文也【声優図鑑】

今井文也「お芝居は、同じお仕事が二つとない飽きのこないおもちゃというイメージ」【声優図鑑 by 声優グランプリ】

今井文也【声優図鑑】

キャラクターの裏に隠された自分自身をありのままに語る、インタビュー企画『声優図鑑 by 声優グランプリ』。

今回登場するのは『神クズ☆アイドル』仁淀ユウヤ役、『ぷちセカ』東雲彰人役などで活躍中の今井文也さん。声優になるという目標ができてから、学ぶことがどんどん楽しくなっていったという今井さんに、声優になろうと思ったきっかけや今後の目標など、たっぷりとお聞きしました。プライベートな話も満載でお届けします!

今井文也【声優図鑑】

今井文也
いまいふみや●10月5日生まれ。Rush Style所属。

主な出演作は、アニメ『神クズ☆アイドル』(仁淀ユウヤ)、ゲーム『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク』(東雲彰人)、『A3!』(木ノ崎レント)ほか。

オフィシャルサイト:https://rushstyle.net/talent/fumiyaimai/
Twitter:https://twitter.com/imai1005

★今井さんの手書きプロフィール公開中!
https://ch.nicovideo.jp/seigura/blomaga/ar2137959

通信簿に「落ち着きがありません」って書かれる子どもでした

――今井さんは青森県出身なんですね。
はい。でも東京の寒さにはめっぽう弱くて。僕の出身の津軽も寒いんですけど、雪が降ると室内はそこまで寒くないんですよ。東京は室内にいても寒くて。上京してから7年経ちますけど、このままずっと慣れないんじゃないかと……。

――いつか慣れるといいですね(笑)。津軽弁が特技ということですが、地元では若い人たちも津軽弁を話すんですか?
もちろん話します。僕も今は標準語ですけど、普通にしゃべるとイントネーションがガラッと変わりますし。とはいえ、おじいちゃんおばあちゃんの世代から比べると、若い人たちの津軽弁は他県の人でも聞き取れるくらいにはなっていますので、もし津軽弁の役を演じたら、おじいちゃん役は方言強め、若い人なら方言弱めとか、いろいろ工夫できそうです。

――青森ではどんな子ども時代を過ごしましたか?
田舎だったので、基本は自然に囲まれたわんぱくボーイ(笑)。何もしないで黙ってじっとしているのが苦手なタイプで、体を何かしら動かしていたいんですよね。だから、通信簿には毎年「落ち着きがありません」って書かれていました。

――そのわんぱくぶりは今でも変わらず?
変わらないと思います。というか、以前よりフラフラしているかも。一人で焼肉に行ったりお鍋食べに行ったり、深夜にしゃぶしゃぶ食べてお酒飲んでカラオケしたり……みたいな過ごし方が最近は増えてきて、気楽だなとは思います。東京って人混みは多いけど、人目を気にしないで過ごせるところが僕には合っているのかなと。

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――すっかり東京になじんでいる感じがします。上京する前、学生時代にハマっていたことは?
小中学生の頃は父親の影響でビリヤードにハマって、プロになりたいと思いながらビリヤード場に通っていました。ブームだった時代に父親が好きだった『ブレイクショット』っていう漫画を読んだり、ポール・ニューマンが出ていた『ハスラー』という映画を観たりもしました。高校に入ってからは、部活に熱中したり、友だちとの遊びの幅も広がったりして、遠ざかってしまいましたけど。

――高校の頃はどんなところで遊んでいたんですか?
遊びといっても田舎なので、カラオケやゲームセンターに行ったり、ハンバーガー屋さんでしゃべったりとか。それが楽しくて、ビリヤードどころか勉強もしなくなって、成績は良くなかったです。工業高校なのに工業系の授業が苦手で……。何か別の楽しい仕事はないかなと思っていたときに、声優という仕事に興味が湧いて。興味があったらすぐに行動するほうなので、さっそく親に相談しました。

――工業高校にはやりたいことがあって入ったわけではなかった?
その高校は隣町にあって、自分の住んでる町より栄えていたので(笑)。頑張って受験して、受かって「これで高校は遊べるぞ!」と思っていたら、本当に遊んでばかりで……。楽しかったけど、進路の話をされても他人ごとのように捉えてましたね(笑)。

今井文也【声優図鑑】

お芝居を知ってからようやく自分に向き合えた

――『CLANNAD』を見て声優に目指すようになったとお聞きしました。
そうなんです。『CLANNAD』は現実を忘れるほどのめりこんでしまって、泣いてしまうほどハマったことが自分でも衝撃でした。アニメはもともと好きでしたけど、作品を見て泣くようなことはなかったので。

――同じアニメーションといっても、絵や音楽ではなく、声をあてる声優という仕事に興味をもったと。
絵は描けないし楽器もできないので、アニメやゲーム関連で楽しめるとしたら、演技かなと。一度、スマートフォンのボイスレコーダーで、自分の声を録音して聞いてみたんですが、衝撃ですよね。「うますぎる!」と(笑)。「もしかしたらいけるんじゃないか?」っていう勘違いから、すべてがスタートしました。東京のスクールに入ってからは自分の下手さに打ちのめされることばかりだったし、現場でも反省することが多くて、今、当時の声を聴いたら、お前は何を勘違いしていたんだって思うんでしょうけど。でもあの頃、すごく楽しかったんですよね。ようやく自分と向き合えたというか。結果的には盛大な勘違いだったけど、僕が最初の一歩を踏み出すには必要なことだったのかもしれません。

――独学はしばらく続けていたんですか?
スクールに入るまでは練習しておこうと思って、高2から高3くらいまでは続けていましたね。声優になりたいと思い立った翌日には声優について学べる本を何冊か買って。アニメのセリフをノートに写して音声を消して自分の声をあてたり、漫画のセリフを自分の声で演じてみたり。自分の人生を賭けて大きなことに挑戦していることが楽しくて、充実していました。

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声優の仕事って台本の読み解きや瞬発力がすごく大事

――2022年の夏は『神クズ☆アイドル』で主人公の仁淀ユウヤ役に選ばれました。アニメ初主演が決まったときのお気持ちは?
主人公というポジションより、やる気のない男性アイドルに活発な女性アイドルが入り込むという、難しさと楽しさがある少し変わったキャラクターを任せていただいたことにうれしさを感じましたね。選んでくださった方の期待に応えたいと思いましたし、この役を演じたことで得られるものは多かったです。

――この作品で何かをつかんだ感覚があった?
声優の現場ってスピード感が早くて。今日渡された台本を明日演じるっていうことも多いし、そのなかで、この役の何が魅力で、その短いセリフにどんな意味を込めるのか、みたいな読み解きをするには瞬発力がすごく大事なんです。しかもこの作品はコメディーだから面白くしないといけない。早い段階から収録が始まったので、作品に携われる時間が長かった分、お芝居の幅が広がった気がします。

今井文也【声優図鑑】

――キャラソンが上手という評判が多く、「歌ってみた」動画もかなりの再生回数になっています。
声優になってから歌のお仕事がこんなにあるとは思っていなかったので、自分でも驚いています。あったとしてもキャラソン数曲だと思っていたのに、 『神クズ』なんて1曲でも神バージョンとクズバージョンの2パターンがありますし。

――お芝居と同じように、歌のほうも楽しめているのでしょうか。
お芝居とは違う表現だし、いろんな表現の仕方を探すことも面白いなあと思い、最近ボイトレにも通い始めました。どんどん楽しくなってきているので、今はアーティスト活動にも興味をもっています。各社の皆さま、頑張りますので、今井文也を何卒よろしくお願いいたします。(笑)。

25歳は、内臓、関節、お肌、すべての曲がり角!?

――浦和希さんとの番組がスタートしています。Twitterを拝見したところ、今井さんが浦さんとやりたいという希望を出されたとか。
浦さんとは最初、『URAMITE』っていうコンテンツでご一緒したときに1〜2回話しただけだったんですけど「あ、面白い!」って思ったんですよね。今では飲みに行くこともあります。僕はどの現場でもワ〜ッと飲んでる時と同じようなテンションになるほうですけど、浦さんは騒ぐというより相手に合わせてくれるタイプ。すごく話しやすくて場が和みます。

――お二人のトーク、かなり楽しそうですね。ほかにも、仲の良い声優さんはいますか?
坂田将吾くんはスクール時代から一緒で、年齢も声優歴も一緒。仕事でもよく会うから、ほかにはいない存在だなと思います。先輩だと、伊東健人さんや堀江瞬さんといった、コンテンツでコンビを組んでいるような方々はお会いする機会が多く、ご飯に連れて行ってくださることもあります。

今井文也【声優図鑑】

――今井さんが声優として大切にしていることを教えてください。
知見をもっと深めて、いろんな視点で物事を見られるようにならないとなと思います。最近は大人っぽい役をいただくことが増えているんですが、自分より年上の30代や40代の見え方って20代とは違うと思うので、それを声だけじゃなくて、考え方でも表現できるようになりたいです。あとは健康ですね。25歳は、内臓、関節、お肌、すべての曲がり角。健康第一で!

――どんな声優になりたいですか?
僕、こだわりすぎるとうまくいかないんですよ。今以上のことはできないから、今できることを、力を抜いて楽しむことがいちばんだと思ってます。そういう意味では、今は楽しくできているのかなと。これは僕の感覚ですが、お芝居って同じお仕事が二つとない飽きのこないおもちゃというイメージなんです。飽き性なのに、お芝居に関しては飽きることがない。これからいろんな経験を積んでいきながら、お芝居をもっと楽しんでいきたいので、技術面の向上はもちろん、メンタルや健康の維持にも努めたいなと思います。

【声優図鑑】今井文也さんのコメント動画

次回の「声優図鑑」をお楽しみに!

撮影=石田潤、取材・文=吉田あき、制作・キャスティング協力=吉村尚紀「オブジェクト」

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